【本】増税亡者を名指しで糺す! ( 田中秀臣, 2018.12.07)

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経済に興味がある方、生活している方に是非とも読んでいただきたい良書です。


次の問いに1つでも「Yes」という方は必読です。

Q1.日本の国家財政は危機的?

Q2.社会保障財源には消費税が最適?

Q3.テレビや新聞などのマスコミは国民生活にとって大切な情報を正確に伝えている?

Q4.政治家や財界、官僚、経済学者などの方々は国民生活のために正しい政策を実行するプロフェッショナル?

Q5.消費増税しなければ金融政策はどうでも良い?

Q6.政府のプライマリーバランス黒字化目標は重要?

Q7.消費税率5%より多く支払ったことがある?


2019年10月の「消費増税」とその増税への対策が話題です。その増税は、国民生活の観点からも経済学的観点からも「下策」であると筆者は述べています。


増税や引き締めた金融政策など「緊縮主義」によるマクロ経済政策が「失われた20年」を招いた(人災)と分析されています。


経済の歴史的な問題の背景や直近の話題などあり、とても勉強になります。

中でも、岩田規久男前日銀副総裁と「なぜ消費増税の悪影響が日本では強く、そして長期間にわたって残り続けるのか?」(安倍総理が同様の問いをクルーグマンにしていました)について会話し、お二人が出した答えは、悲しい事実と言えましょう(詳細は著書の第1章をご参照ください)。


特に重要だと感じたのは

“経済を積極的に回復させるには、金融政策と財政政策の両方の協調が必要である。どれか他方がダメで、他方がいいというものではない。もちろんデフレ脱却には金融政策が前提条件である。“(p.222-223)


”経済論を分類するうえでは、消費増税に対する賛否で区別するのも重要ではある。だが、それは日本がつい数年前まで本格的にはまっていた大停滞の主因を、日本経済の構造的な問題だと考えている人たちと、そうではなく金融政策の失敗(と財政政策との協調の失敗)にあると考える人たちとの区別をするほうが格段に重要である。“(p.223)


激しく同意します。


書籍全体を通して事実に基づいた内容が書かれています。また、雇用や自殺、ロスジェネなどへの対策なども言及されており、「人中心の経済政策」を掲げていた石橋湛山を思い出しました。


書籍で糾されていた財務省やメディア、政治家、財界人、日銀プロパー、エコノミストらには、「自己中心の経済政策」が根付いています。

そのような「増税亡者」に騙されないように学びたいものです。


「経済学を学ぶ目的は、経済問題に対する出来合いの対処法を得るためではなく、そのようなものを受け売りして経済を語る者にだまされないようにするためである」(by ジョーン・ロビンソン)


雇用など人中心の経済政策を掲げる田中秀臣さんの著書が多くの方に読まれることを期待します。

もう一冊買って、知人に贈呈します。

それほど、良い内容でした。

ありがとうございます。