日銀の金融政策決定会合の議事要旨(2018年4月26、27日開催分)が公開されました。

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2018/g180427.pdf


財務省出身の黒田総裁が再任され、デフレを長いこと続けてきた日銀で企画担当を担ってきた雨宮氏が副総裁に昇格し、リフレ派と言われる若田部昌澄氏が副総裁という新体制になってから初めての会合ということで注目していました。


この会合では、金融政策の現状維持を決定しました。片岡剛士委員だけは、更なる金融緩和を求め、

 “消費税増税や米国景気後退など2020年度まで のリスク要因を考慮すると、金融緩和を一段と強化することが望ましく、10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、長期国債の買入れを行うことが適当であるとして反対した“

と、あります。


経済・物価情勢についても片岡委員は

”消費者物価の前年比について、見通し期間中に2%に向けて上昇率を高めていく可能性は現時点では低いほか、金融緩和のコミットメントを維持する観点から、引き続き、「基本的見解」に2%程度に達する時期を明記すべきとして、関連する記述に反対した“

と、コミットメントとそれを裏付ける政策の強化に言及しています。


2年で2%という物価目標達成が未達となった理由は説明した(消費増税や原油安、海外経済の影響)と理解していますが、5年で2%が未達であることの説明は充分になされておらす、その対応も充分ではないのに「現状維持決定会合」を繰り返している日銀を見ると、物価目標2%をオーバーシュートする日はまだ遠いな、という「期待」に働きかけてくれます。


財務省出身の総裁であるためか、国債金利の目標だけは達成しています。消費者物価指数や長期国債買入増加額は、目標と目処から距離があります。




議事要旨の15、16ページでは

“ある委員は、現在の政策の要はコミットメントであるとしたうえで、予想インフレ率を2%にアンカーするために、これを強化する手段がないか、更なる研究と議論が望ましいと述べた。

この間、一人の委員は、新体制の発足にあたり、デフレ脱却と持続的な経済成長を実現するために求められる、日本銀行と政府の役割を記した「共同声明」の意義を確認しておくことが重要であると述べた。 また、別のある委員は、「物価安定の目標」の達成に向けたリスク要因が顕在化し得る場合には、「共同声明」の理念に則って政府と日本銀行が具体的に行動し、最適な措置を協議・実行することを検討してもよいのではないかと述べた”


複数の委員が政府との共同声明に言及しています。現在の金融政策は、財政政策の更なる拡張による金利上昇をYCC(イールドカーブコントロール)により対応した時に、金融政策も拡張される仕組みという受動的なものです。


2018年の骨太の方針を見ても、大規模な財政拡張は期待できそうにありません。


需給ギャップがプラスになったせいでしょうか、国債と「ガッツのあるリフレ派」の供給不足が続きそうです(^-^)