リーマンショック後の金融政策に関して、非常に示唆に富むツイートをなさっておられた方をお見かけしたので、取り上げてみたいと思います。

1)マネーストックの前年比がプラスだからといって、充分な金融政策を実施したとは言えない
2)リーマンショック震源地の米国よりも、2008,2009年の実質落ち込みは激しかった

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3) too little , too late な白川方明さんの「金融緩和」のおかげか、一時1ドル=75.54円(2011年10月31日)、白川さんの任期中はコアコアCPIが-2%〜0%以下に93.3%もの期間、制御されていた




民主党政権時、日銀の総裁は白川方明(しらかわ まさあき)さんでした。
白川方明日銀総裁(当時)は、どんな金融政策を行なったのでしょうか。

日銀の仕事っぷりを以下の記事(*1)で振り返ってみましょう。

(*1)【SYNODOS】日銀がいかに仕事をしていないかが分かる、たったひとつのグラフ/村上尚己 / エコノミスト

https://synodos.jp/economy/518


マッカラムルールとは、目標とする経済成長(=名目成長=名目GDP成長率)を実現するためには、どの程度の規模、中央銀行が金融緩和政策(=ベースマネーの拡大政策)を行えばいいか? がわかる計算方法である。上のグラフは、そのマッカラムルールから算出される結果を可視化したものである。このグラフこそが、いかに日銀が仕事をしてこなかったかが一目でわかるグラフになっている。”(*1)

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図表出典:(*1)


このグラフでは、リーマンショック後のアメリカの金融緩和(=ベースマネー拡大)の規模があまりにも大きいため、「もしアメリカが4%の名目経済成長を目標とした場合はどうか?」という数字で計算しているが、FRBは実際、まさに4%の名目成長に本来必要なはずの金融緩和の“規模”を、大きく超える形で金融緩和政策を行っているのである(そして、リーマンショック前までのFRBは、名目4%の名目成長を目指して、果敢な金融政策運営を行なっていたことが見て取れるグラフだ)。”(*1)

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図表出典:(*1)

FRBのバーナンキは凄いですね。
日銀の白川さん、日本を-0.5%の名目成長に陥らせる程度のベースマネー拡大しか行なっていなかったという…あ、ある意味「すごーい」ですね。

元日銀審議委員の中原伸之さんのご講演資料を見てみましょう。

(*2)国家ビジョン研究会主催シンポジウム
『日本再生のカギは日銀法改正にあり』(中原伸之,2011.11.24)

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図表出典:(*2)

リーマン・ブラザーズの金融商品を余り保有していなかった、「リーマンショックの被害が軽く、三菱UFJはモルガンスタンレーを最初から支えるなどできた」のですが、白川さんの金融政策には敵わなかったようです。
震源地の米国よりも、日本経済は落ち込んでしまいました。


白川さんも懸命に「金融緩和」しておられたようですが、やっぱり too little , too late だったようです。
利下げ余地がないなどとのご意見もありましたが、事実は異なります。

(*3)米欧6中銀が協調利下げ、日銀は参加せず金融調節面の改善検討 (ロイター, 2008.10.09 )

https://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-34193220081008


米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)など米欧の6中銀は8日、協調利下げに踏み切ったと発表した。利下げ幅は6中銀とも0.5%。日銀は利下げせず、金融調節面での改善の検討を始めることを明らかにした”(*3)



リーマン・ブラザーズの金融商品を余り保有していなかったから、日本は大したことなく(ハチに刺された程度でしたっけ?)で、利下げ余地も無いそうなんで、日銀も何もしなかったんですかね。


ところが…利下げ余地が無いはずなのに、他の中銀は一度に0.5%の利下げをするところもあったのに、白川さんにかかれば、2回も利下げ(*4)(*5)しちゃいます。0.2ずつ刻んで…


利下げ余地が無いのに利下げしちゃうなんて

すごーい(^-^)


(*4)日銀が政策金利0.3%に引き下げ、総裁「1カ月で経済・金融変化」(ロイター, 2008.10.31)

https://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-34676820081031


(*5)政策金利を0.1%に引き下げ、CP買い入れを時限導入=日銀 (ロイター, 2008.12.19 )

https://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-35543120081219



「第一、まともな中央銀行の人間がインフレ抑制のためにインフレターゲットはしても、インフレ誘因のためにターゲットを設定するとか、あり得んですわ」との声も聞かれましたが、デフレ脱却のために物価安定目標を言い出した(2013年1月)のは、白川さんなのです。白川さんの「すごーい」とことを遠回しに批判なさっているのでしょうか…
デフレの克服と物価安定数値目標政策についても資料があったので共有します。

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図表出典:前述のURL


「一般の人が分かるということは、政治家にも分かるということだ(笑)」と、若田部さんの著書 #本当の経済の話をしよう にありました。


私のような一般人が分かるのですから、政治家の方も分かるかと。
白川さんの「すごーい」ところを忘れないために書いた記事です。ご参考まで。

 「「白川さん」という特異な日銀総裁」

 ⇒ http://ameblo.jp/shinchanchi2015/entry-12036171931.html


 「白川さんの驚くべき物価制御力」

 ⇒ http://ameblo.jp/shinchanchi2015/entry-12036363355.html


 「日銀総裁(福井、白川、黒田)の金融政策を比べてみた」

 ⇒ http://ameblo.jp/shinchanchi2015/entry-12051879383.html



可愛らしいアイコンを眺めると癒されるらしいです。