金融政策に関して深い知見をお持ちの方は、拙ブログの本記事をお読み頂くよりは、他の有意義なことに時間をお使いください。

マンキューの十大原理から2つを先ずはじめに見ておきましょう。

9. 政府が紙幣を印刷しすぎると、物価が上昇する


10.社会は、インフレ率と失業率の短期的なトレードオフに直面している


ふー、では、とあるブログを拝読します。

"金融政策によって雇用が改善しているわけではない。そもそも日銀の金融政策の目的には雇用はうたっておらず(FRBは目標に含む)、物価の安定が目的のはずであり、金融政策により物価目標を達成することで雇用の改善も図られるというものがシナリオではなかったのか。物価が上がらず雇用だけが回復するというのであれば、その要因としては金融政策以外の要因が大きいとみるのが妥当ではなかろうか"(*1)

日銀法第二条には次のようにかかれています。

"日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。"


金融政策が影響を与えるのは、物価だけではありません。
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図表出典:岩田規久男日銀副総裁講演資料

FRB は、雇用の最大化と物価安定を目指しています。

Section 2A. Monetary policy objectives


"The Board of Governors of the Federal Reserve System and the Federal Open Market Committee shall maintain long run growth of the monetary and credit aggregates commensurate with the economy's long run potential to increase production, so as to promote effectively the goals of maximum employment, stable prices, and moderate long-term interest rates."



ECB は次のように雇用も意識しています。

Objective of monetary policy


"Without prejudice to the objective of price stability", the Eurosystem shall also "support the general economic policies in the Union with a view to contributing to the achievement of the objectives of the Union". These include inter alia "full employment" and "balanced economic growth".


金融政策によって有効需要を創出できるからこそ、雇用需要増加につながるのではないでしょうか。

=== 2017.08.02 8:20 追記 ここから ===

日銀審議委員の就任された片岡さんの解説と図表を参照しよう。


"短期的には物価と失業率(景気)のトレード・オフが成り立つため、低い失業率を達成しようとすると過度に高いインフレ率に落ち込んでしまうリスクが高まる。一方で、マイルドなデフレに陥っているわが国のように、物価上昇率がゼロ近傍もしくはデフレの下だと、高失業率に陥るリスクが高まってしまうインフレ目標政策は、マイルドなインフレ率とほどほどの失業率を維持することで、短期的な景気動向を安定化させることを目指す政策である"


このインフレ目標政策を採用している国は約30カ国ほど。これらの国々やFRB、ECBなどに

「金融政策で雇用は回復しない!」

と言ったら、どうなるのでしょう(汗


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=== 2017.08.02 8:20 追記 ここまで ===

また、「物価が上がらず」というのは、認識の問題かもしれませんが、「上がった後に消費増税などの影響で下がった」というのが事実ではないでしょうか?

また、「量的・質的金融緩和」の効果はなかったというのであれば、日銀は「総括的な 検証(背景説明)」の補論図表6においてマクロ経済モデルによるシミュレーション結果を提示しているので、これを実証的に否定してみせて欲しい。

(国会の閉会中審査で、自分の思い込みで「加計ありき!」や「行政が歪められた!」といった類の「思い込み」をファクトに基づかずに開陳されていた方を見かけたばかりな気がします)


消費税率8%への引き上げによる可処分所得の減少は、「わんしょっと」では決してなく、税率の引き下げや税率の引き上げにによる可処分所得の減少を上回るだけの所得増などがないと、続いていくものです。


先ずは、マンキュー入門経済学を熟読するところから始めてみる、というのも悪くないと思いますよ。

N.グレゴリー マンキュー

マンキュー入門経済学 (第2版)

http://amzn.to/2uVUMdD




(*1)[金融緩和で雇用が回復という理屈はおかしい]

http://bullbear.exblog.jp/25951762/



(*2)コミケで発売、「デフレ脱却戦記」脱稿!

http://blog.guts-kaneko.com/archives/577


(*3) 「落ち込む消費への政策割り当てを、さっさとやりましょう! #消費減税はいいぞ」

 ⇒ http://ameblo.jp/shinchanchi2015/entry-12136162464.html