日銀の総括検証が行われ、その結果の報告と金融政策の変更(現状の金融政策を補強する措置と受け止めております)がありました。

《目で見る金融緩和の「総括的な検証」と「長期金利操作付き量的・質的金融緩和」》(日本銀行,2016.09.21)

「目で見る」ポイントは以下の9つです。

1)量的・質的金融緩和(QQE)は効果があった
2)2%の物価安定目標達成を阻害した要因は、原油価格下落、消費増税、新興国市場不安定化など海外経済減速など
3)予想物価上昇率を決定する要因
4)マイナス金利の効果は名目金利下押し
5)マイナス金利の貸出金利への波及
6)マイナス金利の金融機関への影響
7)年限別金利低下が需給ギャップに与える影響
8)予想物価上昇率をどうやって引き上げようとそているのか?
9)短期、長期の金利にどのように働きかけるのか


不満を申し上げますと、
・物価安定目標達成のコミットメント強化が「期待」を動かすに至っていないのではないか?

・需要低下招いた大きな要因は、消費増税であり、その増税の影響に楽観的であったことへの反省と次の2つの謎理論検証がありません。

一つ目は、消費増税延期すると国債金利が急騰する「どえらいリスク」は杞憂であったこと。このリスクを強調し、消費増税に前のめりだった「セントラル馬鹿」もとい「セントラルバンカー」を知っています。
(長期金利がペッグされる今回の補強措置を受けて、このどえらいリスクは起こらなくなりましたので、消費増税を停止しても安心ですね、黒田さん 笑)

二つ目は、消費増税で社会保障の持続性が高まり安心して消費を増やす、という非ケインズ効果と言える効果の有無です。

政府・日銀と海外経済学者(クルーグマンやスティグリッツなど)とで、「消費増税の総括検証」を行うべきではないでしょうか?

・最後に、予想インフレ率上昇につながるような具体的な金融政策が割り当てられたことになるのか、よく分からない、という点です。
フォワードルッキングよりも、過去の実績に適合する傾向がある、と分析しているようですが、その傾向があるならば、2013年から2014年4月までは物価上昇傾向という実績があったにも関わらず、それを腰折れさせた消費増税の影響の大きさを強調すべきではないでしょうか?

素人の与太話はここまでにして、プロの見解を見てみましょう。

《より野心的になった日本銀行のリフレ政策》(田中秀臣,2016.09.21)

財政との協調を前提にされていると思われますが、田中秀臣さんは好意的に捉えています。

《The latest from the Bank of Japan》(Ben S. Bernanke,2016.09.21)

バーナンキも同様です。
当日に記事を上げるあたり、関心の高さが伺えます。

《Bank Of Japan Should Do More With Its 'New Framework' 》(若田部昌澄,2016.09.21)

若田部昌澄さんは、もっとやれることがある、との部分を強調されています。

果たして、安倍政権は財政拡大へ動くのか?
この金融政策補強措置の効果は?
次の日銀の一手は?

なんだか、色々と待たされる感じです。
どこかの財務官のように「四六時中注視」出来ませんが、今後も状況をウォッチしたいと思います。