若田部昌澄さんの記事。
Bank Of Japan Governor Kuroda Should Be Bold, Just Like When He Started via @forbes
若田部さんは、黒田日銀総裁の直近のスピーチ(2016.09.05)を受けて、次のように評価されています。
良い点
1.金融緩和縮小という方向性を否定したこと。
黒田総裁「あくまで2%の早期実現のために行う検証ですから、市場の一部でいわれているような緩和の縮小という方向の議論ではありません。」
物価安定目標の阻害要因として、2014年4月の消費増税を認めています。
黒田総裁「第二に、14年4月の消費税率の引き上げ後の個人消費を中心とする需要の弱さ」
2.2%の物価安定目標達成には予想インフレ率が重要な役割を持つことに触れたこと。
黒田総裁『「量的・質的金融緩和」で想定していた効果波及のメカニズムを振り返りますと、その出発点は、日本銀行が2%の「物価安定の目標」に対する強く明確なコミットメントのもとで大規模な金融緩和を実施することによって、人々の予想物価上昇率を引き上げることにあります』
3.「金融緩和の限界」を否定したこと。
黒田総裁『なお、金融政策の運営について、その「限界」が指摘されることがありますが、私は、そうした考えには距離を置いています[中略]金融政策で意識すべきは「限界」ではなく、どのような公共政策においても考慮すべき「ベネフィット」と「コスト」の比較です』
悪い点
1.日銀の構造的失業率の推計値3.5%に基づき、実「ほぼ完全雇用」と日本の雇用環境を捉えていること。
実際は、失業率が3.0%の今も賃金上昇率が緩やかで、消費者物価指数(コア)はマイナスです。
2.マネタイズやヘリコプターマネーに懐疑的な見方を示すこと。
財政に関わることに触れないこともできますからね。
若田部昌澄さんは、黒田日銀総裁へ再び大胆な金融緩和を打ち出すべきと指摘され、結ばれています。
2016年9月の日銀金融政策決定会合から目が離せませんね。