社会保障を「人質」にした消費増税は、増税を正当化するために『善意で増税多数派工作する団体』が考えたものなのでしょうか、社会保障のためなら、消費増税もしかたがない、という方が意外と多いことに驚きます。

ナイツではありませんは、ヤホーで調べてみました。

【ポイント】
①所得再分配に逆行する
②不公平の是正が先
③緊縮策を取りながら社会保障を充実させることの危険性


高橋洋一さんによると、消費税の社会保障目的税化は誤り、だそうです。


 ⑥について、今回の増税案では消費税を社会保障目的税化しているが、そうしている国は寡聞にして知らない社会保障は、助けあいの精神による所得の再分配なので、国民の理解と納得が重要だ。

 というわけで、日本を含めて給付と負担の関係が明確な社会保険方式で運営されている国が多い。もっとも保険料を払えない低所得者に対しては、税が投入されている。ただし、日本のように社会保険方式といいながら、税金が半分近く投入されている国はあまり聞かない。

[中略]

消費税の社会保障目的税化が間違いというのは、1990年代までは大蔵省の主張でもあった。しかし、1999年の自自公連立時に、財務省が当時の小沢一郎自由党党首に話を持ちかけて、消費税を社会保障に使うと予算総則に書いた。なお、平成12年度の税制改正に関する答申(政府税制調査会)の中で、「諸外国においても消費税等を目的税としている例は見当たらない」との記述がある"(*1)


また、社会保険料を払うべき法人が支払っていない「不公平」を是正するため、歳入庁を作り社会保険料と税の徴収を一体化して徴収漏れを減らす必要性にも言及されています。(*2)



負担と給付のバランスが崩れること、逆進性の問題点もあります。若田部昌澄さんのインタビュー記事を見てみましょう。

"消費税は薄く広くとる性質があります。負担は広範に薄くなっているのに、社会保障は限られた人たちに行くわけです。負担と給付のバランスが崩れています
 
実際に、他国で消費税だけを社会保障の目的税にしているところはありません。社会保険料のような形でやっていて、足りない分を他の税金で補充するのはまれです。やろうとしていることが出来なくなったから、税金で補おうとしている。そこにねじれがあります。本来ならば税制の改正や社会保障改革をやってからやるべきですよね
 
日本の政策全体に言えるんですが、海外で成功していることはあまりやらないで、海外でやっていないことをあえてやる。変な独創性があるんですよね。たいがいそれは裏目に出ています。

[中略]

社会保障が大事だから、消費税を増税するという考え方は短絡的だと思います社会保障の財源の話と、消費税の話は分けて考えるべきです。財源が必要ならば、景気に悪い影響を与えないような取り方もあるわけですよ。
 
消費税を上げて、消費税収があがり社会保障が上手くいったとしても、景気に悪影響を及ぼし、他の税収が下がる可能性があるわけです。人々の所得と雇用が減ってしまうと、貧困者層には大きな打撃が来る。そうなってしまうと増税の意味がありません。しかも消費税は逆進性があって低所得者層に厳しい"(*3)


緊縮策を取りながら社会保障を充実させることの危険性について、田中秀臣さんが指摘しています。

"欧州の左派的な政党も組合も、日本でいうところのリフレ政策(いまの日本銀行の異次元緩和的なもの、金融政策の景気対策への割り当てとその効果)を積極的に評価している。この金融政策への積極的評価を背景にして、反緊縮的な財政政策のスタンスやまた「生活賃金」的主張、最低賃金引き上げの主張も行われている

[中略]

中央銀行(日本銀行)が将来的な名目所得全体の拡大に失敗してしまうと、名目賃金の継続的な増加は担保されなくなる、つまり「生活賃金」も最低賃金の継続的引き上げも困難になる

そして経済学的にはまったく下策であり、さらには現実にも何度も失敗してきた(事実上の緊縮の中での)社会保障の拡充などという幻想に突き進むことになる。日本の左派とリベラル(だけでなくもちろん右派や保守の大半も)この理解にまったく乏しい。繰り返すが、この認識がないかぎり、現実にも何度も何度もこれから失敗するだろう"(*4)


経済のパイを拡大させながら、社会保障を充実させることが大切ですね。
低所得者ほど重い負担となる逆進性、公平性の見直しがなされぬままの消費増税、GDPを落ち込ませる消費増税で経済と社会保障を不安定化させる消費増税がスジが悪いことが分かりました。

【ポイント】
①所得再分配に逆行する
②不公平の是正が先
③緊縮策を取りながら社会保障を充実させることの危険性



【引用元】
(*1)《6・13 国会公聴会私が述べた消費税増税反対の10大理由》(2012.06.14,ダイヤモンド・オンライン,高橋洋一)

(*2)《社会保障改革と民主党の迷走からわかる消費税増税にかける財務省の本音》
(2013.08.08,ダイヤモンド・オンライン,高橋洋一)

(*3)《【SYNODOS】消費税増税で財政再建は可能か》(2014.11.17,若田部昌澄)

(*4)《■[経済]日本の“リベラルと左派”が理解してない金融政策(リフレ)と生活賃金、最低賃金引き上げなどとの関係》
(2015.11.05,田中秀臣)


【参考情報】
(*5)《社会保障・税一体改革に関連する国会提出法案等》(内閣府)

(*6)《社会保障制度改革推進法》
(平成二十四年八月二十二日法律第六十四号)