なかなか賃金上昇が進みませんね。
名目賃金は上がっており、実質賃金もここ数カ月はプラスですが、緩やかな上昇です。
その根本理由について、村上尚己氏の記事が参考になります。
《日本で賃金上昇がなかなか進まない根本理由 企業のデフレ心理払拭する金融緩和の徹底を | インフレが日本を救う - 東洋経済オンライン》(村上尚己,2015.11.30)
賃金がなかなか上がらない要因として、消費増税の影響が大きいとする村上氏のご意見に賛成です。
GDPギャップは駆け込み需要もあり、一時プラスになりましたが、消費増税により大きくマイナスへ。
《2015年7-9月GDP一次速報後のGDPギャップ》(内閣府,2015.11.27)
「消費増税の影響は軽微である」
「V字回復する」
というような意図的とも取れる楽観論がメディア等で蔓延したこともあり、在庫が積み上がり、生産調整を余儀なくされた面もあります。
8%の消費増税による実質所得減少は、恒久的に毎年約8兆円が民間から吸い上げられることとなります。
この影響を受けて、「底固い」とされる消費は停滞したままです。
デフレ脱却を2年程度で実現することなどを掲げたアベノミクスも、消費増税以降はパッとしません。
内需の弱さに加え、チャイナショックなど外需の弱さもあります。
需要が弱く先行きが不透明な中では、企業が賃金を上げてまで雇用を確保するインセンティブが低下してしまいます。
経済安定化政策をシッカリと実施し、GDPギャップを埋めて、デフレ脱却を確実なものとすることが、企業や消費者のマインドを変えて賃金上昇を高める良薬ではないでしょうか。
家計への給付金・消費減税など、実質所得減少に対応した政策対応を期待します。