私的なメモ

金融政策と財政政策が「オン、オン」というのには賛成です。マクロ経済政策で景気安定化に積極的に動くのがケインズの考えで、その考えと合致するかと。

2013年4月のQQEと補正予算が実施され、2014年4月に消費税率8%への増税が実施されるまでの期間は「オン、オン」という状況に近かったかと思います。
(消費増税が織り込まれ、財政は必ずしもオンと言えない部分もありますが)

ゼロ金利下では、金融政策は効果なく、財政政策が効果がある、というのはケインズが言う「流動性の罠」に陥った時のこととして言われているのを見かけますね。

ただ、ゼロ金利下であっても金融政策が有効であることを示したクルーグマンの論文(1998)にある通りです。

また、高橋洋一さんの次の記事にあるように、リーマンショック時の「金融危機のGDPギャップとその埋め方」(記事内の図表)をご覧下さい。
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➡️《なぜ日本経済だけが一人負けなのか
鳩山政権は日銀に「デフレターゲット」を捨てさせろ》

図表で金融政策の規模が大きい国はGDPの落ち込みが小さく早く回復したように受け取れます。(もちろん、財政政策も効果はあると思われます)
日本は論外と言えるレベル…

IMFサイトデータで、米、英、独、日、2007-2015年のGDP成長率、インフレ率を貼っておきます。


減税や給付金などについては、何を政策目的とするのか?効果を何で測るのか?ということを考慮に入れると「効果」が小さいとは言えないこともあるかと。

貯蓄に回るなど乗数効果は低いかも知れませんが、消費の下支えや所得階層が低い世帯などへお金を配分することは、不況下の生活を守るうえでは「効果が大きい」と思います。

金融政策は雇用政策という面もありますので、財政政策による支出や公的雇用の確保などと合わせて失業率の上昇を抑えるなり、引き下げることが期待されます。

「経済政策を歴史に学ぶ」という書籍には、 “スティグリッツは失業こそ人間価値の毀損を伴う最悪の事態のひとつであり、これを解消することが人間の幸福を促進することになると明言…人間的価値から失業を捉える見方は…高橋亀吉や石橋湛山が採用した見方…リフレ派の地下水脈をなす思想” 

と、あります。
雇用と所得の安定化が重要であり、金融政策と財政政策を適切に割り当てることが大事ですね。


緊縮財政、緊縮金融政策の対極として「ケインズ主義2.0」を提言されている野口旭さんのご著書(500ページ余の大著ですが…)がオススメです。
リーマンショック後の日米欧の金融政策と財政政策のスタンス、クルーグマンが金融政策推し→財政政策推し→金融政策推しとスタンスを変えたことなども記述があります。

『世界は危機を克服する―ケインズ主義2.0』(著者:野口旭氏) http://ow.ly/LPhOh