絶妙の色合いをした羽の模様と、凛とした佇まいが相まって、気品あふれる輝きを放つ「オオムラサキ」。
7月9日、「見返りの塔」で有名な小県郡青木村の「大法寺」で行われた放蝶会に参加してきました。
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私が「オオムラサキ」と初めて出逢ったのは2年前の7月、長野市松代町の「国蝶オオムラサキの里」でした。
初対面にして「羽化」の瞬間にも立ち会う事が出来た、その時の状況は以下の通りです。
一方、今回の放蝶会への参加は「信州昆虫資料館」訪問がきっかけとなりました。
今年5月、信州へ旅行に来ていた知人を各地に案内する予定だったものの、あいにくの大雨で屋外観光は難しく…
で、長時間過ごせる同館にお邪魔する事にしたのです。
そこで見かけたのが、昨年7月に2度行われたという「オオムラサキ」放蝶会時の展示でした。
また、この放蝶会を主催する「青木村自然を守る会」という有志団体が存在する事も初めて知ったのです。
放蝶会が非常に興味深かったので、今年の日程がわかり次第、連絡頂けるよう同館にお願いしておきました。
そして…7月9日9時「大法寺」で放蝶会が行なわれたのです。
「オオムラサキ」の頭数が少なかった為なのか、今年の放蝶会はこの1回のみの開催となりました。
前日からの雨で開催が危ぶまれましたが、今朝には上がったぞ!
しかし、8時30分「大法寺」駐車場に到着するも…え~、1台の車も停まっていない!中止?
駐車場には「青木村自然を守る会」の立派な看板がありました。
10分後「守る会」の方の車?が一度に4台到着。4名が寺の境内へと向かったので、私も遅れて後を追いました。
が…殆ど人がいない!開始予定の9時まであと10分しかないのに…集まっているのは、主催者も含めて10名強。
それでも本日、ここで放蝶会が開催される事は確実です。
何でも小学校の行事と重なってしまった為、主役となる子供達が少なく、関係者はヤキモキしています。
たまたま観光で来ていた外国人3名も、引っ張り込みました。
放蝶会が始まるまでの短い間「守る会」の方にお話をお伺いする事が出来たのですが…
会員は30名程度いるものの、実際に活動しているのは10名程で、会員の高齢化が悩みの種のようです。
穏やかな口調でしたが、「オオムラサキ」に対する熱い情熱がひしひしと伝わってきました。
参加者も徐々に増え、定刻の9時には総勢30名程(うち子供が6名)となり、放蝶会スタートです。
まず「守る会」の代表の方から「大法寺」での放蝶会開催に至った経緯についての説明がありました。
例年の会場近くで砂防ダムの工事が行われている事や「オオムラサキ」を村全体に広げていきたいとの意向があったようです。
続いて「大法寺」副住職からの挨拶もあり…
いよいよ、待ちに待った放蝶が始まります。
今朝、保護施設?で捕獲してきたという「オオムラサキ」を入れた箱から慎重に1頭ずつ取り出し、参加者に手渡します。
見ていると、圧倒的に♀の個体が多い気がしたので「守る会」の方に確認してみると…
♂は♀よりも「羽化」が早く始まるとの事で、既に♂はピーク越えしていたのかもしれません。
本日は50頭強を捕獲したらしく、参加者より「オオムラサキ」の頭数が多かった為、私にも1頭割り当ててくれました。
そして9時10分、「守る会」の方の掛け声とともに「オオムラサキ」が一斉に放たれました。
と同時に子供達の「ワ~」っという歓喜の声が上がります。尚、この頃には参加者は40名程になっておりました。
殆どの蝶は大空へと舞い上がっていきましたが、中には洋服にとまったり…
飛び立とうとはせず、子供の手のひらでじっとしている個体もいました。
こうして9時20分、放蝶会は無事に終了しました。
20分という非常に短いイベントで、あまり華やかさはありませんが、素朴で心温まるものでした。
「青木村自然を守る会」の方々の「オオムラサキ」に寄せる熱い想いがある限り、放蝶会は今後も続いていくものと思われます。