華麗!!限りなく格調が高く、どこまでも優雅な国蝶「オオムラサキ」との出逢い | 信濃路てんこ盛り

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自然界が作り出した最高傑作と言っても過言ではない、魅惑的な美しさを携えた「オオムラサキ」。

 

その美しい佇まいは、圧倒的なオーラを放ち、恐ろしいくらいに格調高く、優雅そのもの。まさに「華麗」と呼ぶに相応しい「国蝶」です。

 

 

私と「オオムラサキ」の必然的(?)な出逢いは、神様からの贈り物なのかもしれません。

 

 

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今年5月、知人を通じて知り合いとなったYさん。

 

ブログを書いている事を話したところ、グループで「オオムラサキ」の保護活動をしているので、取材に来てほしいとの依頼が…

 

場所を確認すると、何と私が昨年から定期的に湯治に通っている長野市松代町の「加賀井温泉」とは目と鼻の先!!

 

何だか、不思議な縁を感じ、「オオムラサキ」の一般公開が予定されていた7月4日に出かけてみる事にしました。

 

しかし、唯一の不安材料が天候。このところはっきりしない空模様が続いています。

 

「少雨決行」だけれど、「雨天中止」。1週間延期といった選択肢はなく、翌年まで順延との事でした。

 

そして当日。時おり、ポツリポツリとフロントガラスをたたく雨を気にしながら、11時すぎに現地へ到着。

 

「中止」という最悪の事態は免れ、ほっと一息。でも一般見学者は既に帰ってしまって、グループの方々が残っているだけでした。

 

まずは、「オオムラサキの里」入口付近に設置されたテント内でのビデオ学習からスタートです。

 

その後、グループの方の案内で、「里の中」へと入場しました。

 

 

と、すぐに目に飛び込んできたのは、「エノキ」の木。

 

今回は森の奥まで立ち寄りませんでしたが、ここには900本にも及ぶ「エノキ」の森が広がっているようです。

 

この「エノキ」の葉を食べて成長するのが「オオムラサキ」の幼虫です。

 

そうです。ここ松代町竹ノ入の森は、まさしく「オオムラサキの楽園」なのです。

 

 

当日は天候が悪く、自然界を舞う「オオムラサキ」は残念ながら見る事は出来ず、飼育ハウス内を案内して下さいました。

 

 

この飼育ハウスは「エノキ」の低木を農業用パイプハウスで囲い、幼虫を外敵から守る目的で、2017年末頃に作られました。

 

それまでは全て自然任せで、成虫(蝶)が大発生する年もあれば、全く見えない年もあったとか。

 

特に2015年頃からの数年は成虫が飛んでいなかったようです。

 

さて、ここで飼育ハウス内で撮影した写真を交え、「オオムラサキの一生」を簡単に確認しておきます。

 

8月頃、卵から「孵化」した幼虫は、「エノキ」の葉を食べて、成長していきます。

 

 

11月頃、幼虫は緑色から茶色となって、木を降りて枯れ葉の裏で越冬(越冬幼虫)します。

 

やがて「エノキ」が芽吹く頃、また木を登って葉を食べ、再び緑色(上の写真)となります。

 

こうして、6月頃から蛹へと変態します。案内の方の指示に従って、胴の中央部を軽くつまむと、「ブルルン!」と全身を振動させます。

 

よく枝から落ちないものだと感心しました。

 

 

そして、7月頃に「羽化」が始まり、成虫となるのです。冒頭の♂個体が羽を広げると深い紺色ですが、羽の裏側は黄色みがかっています。

 

 

一方、茶褐色のこちらが成虫の♀です。成虫は樹液や花の蜜、果物等が好物のようです。

 

 

成虫はやがて交尾を行い、産卵(一度に40~100個)するのですが、今回飼育ハウス内では、卵の確認は出来ませんでした。

 

飼育ハウス内のあちらこちらで、撮影をしていたところ、案内して下さっていた方から「羽化」が始まったとの声が…

 

11時59分08秒(蛹の一部が割れ始めました)

 

12時00分09秒(1分後、割れ目が大きくなり…)

 

12時00分48秒(出てきました!)

 

12時01分06秒(完全に抜け出しました)

 

12時01分22秒(反転して向きを変えました)

 

この段階では、まだ胴の部分が太いようですが、一連の「羽化」の過程で体液が羽の方へと送られていくようです。

 

今回は時間の都合で、「羽化」を最後まで確認出来ませんでしたが、やがて、本来のスリムな胴と力強い羽となっていきます。

 

 

保護活動は、飼育ハウス内に留まるものではありません。こちらは、「袋がけ」の様子です。

 

鳥類等の餌にならないよう、幼虫を「エノキ」の枝ごと袋がけして包み込んでいます。

 

やがて、幼虫が袋の中の「エノキ」の葉を食べつくしたら、別の枝に「袋がけ」を移していきます。

 

 

「オオムラサキ」の保護活動の他にも、「アサギマダラ」が好んで訪れる「フジバカマ」の栽培等も行っています。

 

とにかく、自然が相手です。自然に任せ、ただ指をくわえてみているだけでは「オオムラサキ」等の保護活動は前へと進みません。

 

何とか保護しなければという強い使命感にかられ、日頃から地道な活動を続けられているようです。

 

 

しかし、問題は高齢化。現在、会員数は50名程度いるようですが、実際に活動に参加しているのは10名ほど。

 

環境整備、特に草刈り等の重労働が年々、厳しさを増しています。

 

加えて、広報活動。この「オオムラサキの里」をいかに効率的に情報発信し、より多くの人に認知してもらえるか、課題は山積しています。

 

今回、この「オオムラサキの里」が出来るまでの経緯やその過程で培われてきた飼育ノウハウ、今後の問題点等を学ばさせて頂きました。

 

とにかくグループの皆さんが、非常に熱い情熱と危機意識を強く持たれ、日々努力されている事に感服しました。

 

我々が見学を終えるのを待っていてくれたかのように、本格的に降りだした雨。

 

来年は快晴のもと、自然の中で乱舞する「オオムラサキ」と出逢える事を楽しみにしておきます。

 

その前にまずは、「アサギマダラ」の飛来時期である10月頃にお邪魔し、その美しさに酔いしれたいと思っています。