前のページからの続きです。

 

話題を変えますね・・・

 

【東京と大阪は都市の規模が大きく違います】

多くの大阪人にとって東京とは「大阪とほとんど同規模か、ちょっと大きいくらいの都市」という認識だと思います。しかし実際のところ「大阪をはじめとする近畿圏」と「東京をはじめとする首都圏」は、人口や経済力などで比較すると大差が付いています。

 

1つの例を出すと、コロナ前の2018年ごろ、首都圏を拠点とするJR東日本では1日にのべ1750万人の利用者がいたのに対し、近畿圏を拠点とするJR西日本のそれは500万人でした。つまり、JR西日本はJR東日本の28.5%しか乗客がいないのです。見方を変えればJR東日本はJR西日本の3.5倍の乗客がいることになります。首都圏と近畿圏を比べると、ものにも寄りますが、おおむね2倍から3倍、あるいはそれ以上の格差があることが多いです。

 

面積や人口で比較すると、

東京23区の面積は622平方km、大阪市の面積は223平方kmで2.8倍違います。

東京23区の人口は約978万人、大阪市の人口は約277万人で3.5倍違います。

 

こういったことも多くの大阪人は知らないでしょう。東京23区の面積は淡路島より大きく、琵琶湖より小さいくらいです。そう言えば分かってもらいやすいでしょう。

 

彼らは大阪と東京は「ほぼ同格」だと考えているからこそ対抗意識が芽生え、それが2008年の夏季五輪招致や来年の博覧会開催、カジノの誘致などにもつながっていると思うのです。最近は失敗確実の博覧会から府民・市民の目を逸らすためか、F1の開催を考えているようです。

 

私は決して大阪に東京ほどの人口や経済力がなければダメだと言っている訳ではありません。もしそのような考え方であるならば、日本は東京以外すべてダメということになってしまいます。「東京ばかり意識していても仕方がない」と言いたいのです。

 

【大阪人の東京に対する感情は、昔と今で変わったと思います】

昔の大阪人の多くは確実にアンチ東京でした。東京の文化や流儀など何かにつけて文句を言う人が少なくなかったと思います。しかし今の大阪人、特に21世紀に入ってからの大阪人は、何でもかんでも東京のやることを「猿真似」するだけになってしまったように感じます。大阪都構想にしても地下鉄の民営化にしても、それらの政策の理念はともかく、なぜ名称が「大阪都」だったり「大阪メトロ」だったりするのでしょうか?「大阪は副首都」などとも言っていますね。

 

東京府と東京市を再編する形で東京都が誕生したのは事実ですが、それに加え東京は事実上の首都であるから、特に天皇陛下がお住まいであるから「東京都」という名称はしっくり来ます。しかし、たとえ大阪府と大阪市が再編されたところで、首都でもなければ天皇陛下がお住まいでもないのだから「大阪都」という名称には非常に違和感を覚えます(法律上「大阪都」にはならないそうです)。

 

ちなみに東京都の特別区では、今のような制度から脱却しようとする動きがあります。

https://www.tokyo-23city.or.jp/chosa/tokubetsuku/research/kagai04.html

https://www.tokyo-23city.or.jp/chosa/tokubetsuku/research/kagai05.html

 

東京では「やめよう」としてることを、大阪は必死に追求しているみたいですね。

 

大阪で最も人気のある政党の創設者が現役の政治家だった頃、選挙カーの上から「東京ではね、区長を選挙で決めるんですよ。すごいでしょ」「なのに大阪では大阪市の職員が区長をやってるんですよ」「みなさん、どう思いますか」などと発言し、周りの聴衆が氏の発言に賛同するような歓声を上げました。私はアホかと思いました。

 

同じ「区」という文字を用いても、東京の区は特別区でそれそのものが自治体であるのに対し、大阪市など政令指定都市の区は、自治体である市の中の一部分を表すものです。前者は自治体ですから、その首長は選挙で選ばれるのは当然です。ただし今のような公選制になったのは1975年のことです。何も知らない人が、まんまと誘導されていく様を見ているようでした。政令指定都市の是非は別とします。

 

 

地下鉄に付いて書くと、東京では2004年3月まで国と東京都が53 : 47の比率で出資する特殊法人・帝都高速度交通営団(営団地下鉄)と東京都交通局(都営地下鉄)の2つの事業者が存在していました。そのうち前者は同年4月に小泉改革の一環として民営化され、東京地下鉄株式会社として生まれ変わりました(出資者は従来通りであるため、会社化したけど民営化したとは言い難い)。しかし正式名称である「東京地下鉄」を使用すると「都営地下鉄」との混同が考えられるからか、「東京メトロ」のニックネームが使用されることが一般的です。

 

他方、大阪には地下鉄事業者は大阪市交通局(市営地下鉄)1つしかなく、会社化した際にわざわざニックネームなどを付ける必然性もないのに、東京の猿真似としか思えない「大阪メトロ」という愛称を付けてしまいました。みっともないと思わないのでしょうか?しかもOsaka Metroという半角英字で表記するのが正式らしく、日本語の文章の中にこのような字面が(何度も)現れるのは、はっきり言って読みづらいです。発音も今まで「ちかてつ」の4文字で済んでいたのに、わざわざ「おおさかめとろ」という7文字になり、まどろっこしい感じもします。

 

多くの大阪人は、東京に地下鉄を運営する事業者が2つあることなど知らないでしょう。なお、東京メトロは営団地下鉄時代でも、発売するプリペイドカードは「メトロカード」(現在は発売終了)で、駅で無料配布される路線図には「メトロネットワーク」という表記を添えるなど、「メトロ」という単語を多用していました。

 

【手本にすることと猿真似することは違います】

昔の日本は、中国の漢字や政治制度、文化、都市計画などを「手本」にし、それを自国の中で生かして行きました。それに対して今の中国は、日本や他の国にあるものをただただ「猿真似」しているだけです。だから世界中から笑いものにされてしまうのです。今の大阪は中国と同じことをやっているのです。

 

「手本」にすることと「猿真似」することはまったく違います。今の大阪は、東京にある物事の「大阪版」が欲しいだけなのでしょう。そうすれば満たされるのでしょう。大阪で最も人気のある政党も大阪人の根底にある「東京への劣等感、対抗意識、羨望、その他諸々の感情」を刺激する形で成り立っていると思います。

 

でもそれは大阪の凋落を意味しているようにしか見えません。こういった意識が変わらないと、ますます大阪は没落していくと思います。かつての大阪はオリジナリティにあふれ、ユニークなものを生み出していく能力がある街だったと理解しています。

 

一方、東京には、東京の流儀なり何なりが「最も標準的かつ最高」であり「東京と他地域の相違点を欠点視してからかう」ような人も中にはいます。もしそういう人に影響されて、東京化することが美徳だとでも考えているのなら、その考え方は今すぐやめた方がいいと思います。

 

昨年11月のNHKニュースですが、あくまで1つの指標として「世界の都市ランキング」では、大阪は世界で37位に入っています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231109/k10014252361000.html

 

世界に何都市あるのか分かりませんが、大阪はその中でベスト37なのです。これは本当は誇れるはずのことです。東京と比較して卑屈になっている場合ではありません。当然のことですが、このランキングに入っていないからと言って、決してそれらの都市に値打ちがないという訳ではありません。このような記事をご紹介しましたが、私は順位付けはあまり好きではありません。

 

【今回のまとめ】

時流を見誤っての博覧会の強行開催は何の得にもなりません。来年には「失敗」という現実を突き付けられることになりますが、その時には責任のなすり付け合いになり(国が悪い、東京が悪いなどの責任転嫁も出てくるだろうと思います)、やがては大阪府と大阪市を再編しなかったことに問題があった、だから3回目の大阪都構想の住民投票が必要だ・・・という流れにでもなるのではないでしょうか?

 

最後にお断り申し上げておきます。何度も「大阪人」という表記を用いましたが、当然のことながら、すべての人が私が指摘したような傾向を持っている訳ではありません。「中にはそういう人もいる」というだけです。

 

今回の投稿は今までの中で一番出来が悪くなってしまったように思うのですが、そのあたりもご容赦ください。またよろしくお願いいたします。今日、6月17日に書けるのはここまでです。今後、加筆・修正をする可能性があります。