伊予原新「月まで3 km」読みました | 親愛なる人に-読書の薦め

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読んだ本の感想などを、本屋さんで見かける推薦文のように綴ります・・・お薦め度合いは、☆の数で評価します。親愛なる本好きの人たちに,このブログを届けたいです.

 

月まで三キロ

伊予原新「月まで三キロ」

☆☆☆☆
2018年12月 新潮社 252p


○伊予原新「月まで3 km」読みました
この本は、どこかに科学的蘊蓄(うんちく)が入れられた短編集です。この蘊蓄は、作者が東京大学の地球惑星科学専攻博士課程を修了しているところが、大きいかと思います。でも、それが、この短編集の良いスパイスになっています。

登場人物は何らかの心に傷やら想いを持っています。物語を読み終わっても、それら問題がスッキリ解決することはありません。しかしどの物語も、ラストの余韻が心に響きます。この本は、読んだ人誰もが、いろいろな想いを感じる作品集になっていると思います。お薦めです。以下、覚え書きです。13121

「月まで3 km」
男は仕事も家族も失い介護してる父も介護施設に預け、あとは借金が残るだけ。自殺を考え、富士山方面に新幹線で向かっている途中の車窓を眺めていたところ、うなぎが大好物だったと思いだし、浜松で途中下車します。しかし、実際に食べてものどに通りません。

それからとあるタクシーに乗り込み「富士山青木ヶ原まで連れて行ってくれ」と頼むのですが、運転手は「それは勘弁してください。でも、近くに良い場所がありますからそこ行ってみませんか。自殺をするには良い場所ですよ」男はタクシーの運転手に従います。そして、タクシーの運転手は身の上話を語り出します。。。月まで3kmの秘密が解き明かされます。

「星六花」
私はアラフォー、毎日が慌ただしく過ぎる中、出会いもなく、いつのまにか結婚しそびれました。そんな時、合コンに誘われ、奥平さんという気象庁に勤めている人と出会います。彼は、天気の蘊蓄を語ります。そして、これからから雨が降ると言って傘を貸してくれました。そして謎の言葉を残します「クリスマス頃まで持っていて下さい」

「アンモナイトの探し方」
主人公は小学6年生。とある事情で、母の実家の祖父母が暮らす北海道で、夏休みを過ごすことになりました。田舎ですので、基本的に暇です。近くにアンモナイトが採取できるところがあると聞いて、そこで餡も煮ないとを採掘している男性を訪ねていきました。

「天王寺ハイエイタス」
60歳過ぎの伯父の哲おっちゃんは、元プロのブルースギタリストだとかですが、今は仕事をしていません。私は、兄が実家に帰省しているとき、近くの喫茶店で、お金のやりとりをしていたのを、目撃します。。。ハイエイタスとは堆積等の意味があります


「エイリアンの食堂」
謙介は、妻を妻を亡くし男で一人で小学4年生の鈴花を、食堂を切り盛りしながら育てています。そんななか、閉店間際の夜8時半過ぎに毎晩訪れる女性がいました。彼女は、決まった食事を頼みます。
鈴花は、彼女にこっそりプレアさん(プレアデス(昴)星人)とあだ名をつけています。なぜなら、鈴花は、その女性が、暗闇の中で、空に向かっておーいおいと宇宙に浮かぶ謎の飛行物体に向かって叫んでたところを目撃したと言うのです。娘に彼女が宇宙人か確認するよう言われ、しようがなく、謙介は、その女性に声をかけるのでした。。。

「山を刻む」
私は50歳も過ぎ、子育ても義父の介護も終了し、今は、義母の面倒見ている毎日です。そんな生活に疲れてしまい、日光白根山に単独登山に行きました。そんな時に大学院生と大学の講師と出会いました。。。

 

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