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2018年9月 中央公論社 447p 読売新聞朝刊2016年10月12日~2017年9月29日 加筆・修正
○三浦しをん「愛なき世界」読みました
国立T大学の目の前にある洋食屋「円服亭」は、円谷店主と住み込み店員藤丸陽太で切り盛りしています。円服亭では、しばらくやっていなかった出前を再開したところ、T大の植物学の松田研究室からから、出前の注文がくるようになりました。
藤丸は、松田研究室に出前を行くうちに、研究室の大学院の博士課程の学生、本村を好きになってしまいました。そして、思わず告白してしまうのでした。
三日後に返ってきた答えは、「わたしは誰ともつきあいません」、理由は、「愛のない世界を生きる植物に、決めています」。困惑する藤丸、、、
ということで、三浦しをん「愛なき世界」読みました。大学でのいわゆる基礎研究、たとえば、なぜ植物の葉が丸いのか、ギザギザなのか、その動機がどこからくるのか、垣間見られた気がします。
一見平穏な出来事しかないような研究生活ですが、そこには、非常に強い情熱と思いがつまっていることがわかりました。純粋に研究に、そして一心に打ち込めるという環境と才能がある人は、幸せだなあとも思いました。
実験描写もわかりやすく書かれています。また、装丁も、さりげなくエッペンチューブやピンセットがデザインされていて、オシャレです。
静かな、でも、熱量にあふれた物語、お薦めの一冊です。Y0119
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