☆☆☆☆+
2009年7月 275p 講談社現代新書 、「本」2008年6月号~2009年7月号
福岡伸一「世界は分けてもわからない」読みました。
福岡伸一の思索の旅です。間違いなく知的興奮が得られます。それぞれの章が独立していると思いきや、実は繋がっているのです。ミステリーを読むようです。面白いです。科学エッセイ好きな方にお薦めです。9219
以下、章ごとの覚え書きです。。。
プロローグ パドヴァ 2002年6月
作者は「国際トリプトファン研究会」に参加します。。。
第1章 ランゲルハンス島、1869年2月
解像度が上がれば、その狭く視野は暗くなる。人間の網膜は、周辺部の方が解像度がよい。。。
第2章 ヴェネツィア、2002年6月
須賀敦子と「ザッテレの海岸で」という絵画の秘密。
第3章 相模原、2008年6月
コンビニのサンドイッチに入っているソルビン酸。腸内細菌とヒトの場合はどうか。。。
第4章 ES細胞とガン細胞
両者の違いはわずか。。。
第5章 トランス・プランテーション
移植された植物たち。鼻はどこまでが鼻か。。。
第6章 細胞のなかの墓場
エントロピーの増大を防ぐため、進んでタンパク質を分解していく我々の細胞。。。
第7章 脳のなかの古い水路
あまりになめらかなのものは、おかしいと感じ、自ら空目をする、私たちの目。
第8章 ニューヨーク州イサカ、1980年1月
実験に言い訳はない、あるのはポジティブの結果だけだ、とする凄腕のボス、ラッカーの前に彗星のごとく現れた、スペクター。。。
第9章 細胞の指紋を求めて
スペクターのSDS-PAGE(タンパク質の電気泳動)をやる様は、まさにエレガント。
第10章 スペクターの神業
スペクターはP32 で、タンパク質を可視化します
第11章 天空の城に建築学のルールはいらない
スペクターとラッカーはエレガントな大発見をした?!
第12章 治すすべのない病
ラッカーは語ります。「彼に対して怒りを感じたことはありません。それと同時に。彼に対して寛容になりうる余地もないのです・・・」
エピローグ かすみゆく星座
夜空に輝く北斗七星。目の悪い人には7つ星に見えるが、どんどん解像度をあげていけば、やがて星に埋もれて見えなくなるでしょう。。。
テーマ:(ふ)福岡伸一 はこちらです
テーマ:新書・ビジネス・社会科学 はこちらです。