池井戸潤「空飛ぶタイヤ」読みました | 親愛なる人に-読書の薦め

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空飛ぶタイヤ(Amazon)

☆☆☆☆+
2006年9月 489p 実業之日本社(文庫本も出ました) 「月刊ジェイ・ノベル」2005年4月号、2005年6月号~2006年9月号


赤松は、40過ぎの赤松運送会社の二代目社長です。妻と3人の子供がおり、子供達の小学校のPTA会長をやっています。父親から会社を引き継いで10年あまり、一生懸命、何とかやってきました


そんなある日、彼の会社のトラックが事故を起こします。それも、タイヤが外れて主婦にタイヤがぶつかり死なせてしまいます。


会社には警察から家宅捜索が入ります。また事故車を製造していたホープ自動車からは、整備不良との回答が出ます。さらに、取引していた会社からも契約を解除され、さらには、取引銀行からも借金をすべて返すように言われます。家では、子供が学校でいじめられ始めました。


まさに、どん底、八方ふさがりのなか、車の整備は確かだったと確信があった赤松は、整備不良と回答したホープ自動車と、全面的に対立していくのでした。。。


ということで、池井戸潤「空飛ぶタイヤ」読みました。この小説は三菱自動車株式会社のリコール隠しをモデルにしているということがわかるのですが、2段組の長めの小説でしたが、あっという間に読んでしまいました。


はっきりいって面白かったです。銀行、自動車会社、中小企業、家庭、それぞれの立場の人が、この事故に対して、色々な反応をします。その描写がリアリティがあります。そして、ふだんなにげなく便利に使っている車、しかしいったん事故を起こすと、さまざまな軋轢を起こします。交通事故の悲惨さも描かれています。


登場人物は多いですが、上手に描かれており、混同することはありません。出てくる登場人物、誰かに自分を投影できるはずです。また自分だったら、この立場だったらどうするということを考えていくと、リアリティがあります。


日々これ平穏に過ごすことが、いかに大切か、いったん歯車が狂い出すと、」そこから立ち直るのがいかに難しいか、そんなことも考えさせられました。万人にお薦めの一冊です。ぜひ、自分の立場に置き換えて読んでみてください。ちなみに題名の「飛ぶタイヤ」とは、文字通り、タイヤが車から外れて、宙を舞う様を表しています。。。1140



追記

↓WOWOWでドラマも放映されたそうです。見ていません。

このドラマ、アマゾンでの評価が☆☆☆☆☆

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