奥田英朗「サウスバウンド」読みました。痛快家族小説! | 親愛なる人に-読書の薦め

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読んだ本の感想などを、本屋さんで見かける推薦文のように綴ります・・・お薦め度合いは、☆の数で評価します。親愛なる本好きの人たちに,このブログを届けたいです.

奥田 英朗
サウス・バウンド
サウスバウンド 上 下 (角川文庫 )
2005年6月 角川書店 533p(第1部はKADOKAWAミステリ2001年11月号~2003年4月号に連載された作品を加筆・修正、第2部は書き下ろし)
2007年8月 角川文庫 上356p 下274p

☆☆☆☆+


奥田英朗「サウスバウンド」読みました。


上原二郎は小学六年生。彼の妹は小学六年生、姉は10歳年上の社会人、母親は家の近くで喫茶店を経営しています。。。


彼の父親は上原一郎と言います。自分の息子に二郎と名付けてしまうくらいだから、ちょっとというかかなり変わっています。職業は自称物書きで、将来の夢は南の島に住むことです。でも、いつも家でブラブラしています。一郎は、官に嫌悪感を持っていて、税務署、市役所の言うことを聞きません。おまけに二郎の担任の南先生にも、家庭訪問に来たときに論をふっかけ絡むのでした。二郎はそんな父親を煙たく思っていました。


あるとき、二郎の友達の淳が、同級生の黒木に絡まれていました。黒木の後ろには、中学生のカツという、生まれついての残忍な不良がいるのでした。二郎も、ふとしたことで黒木に恐喝まがいなことをされるのでした。今まで遊びの場であった学校が、急に憂鬱になってくるのでした・・・


ということで、奥田英朗「サウスバウンド」読みました。面白かったです、小説を読んだって言う満足感を味わえます。あらすじだけ読むと暗そうですが、そんなことはありません。父親の一郎がすごく痛快で、それが小説全体を明るい感じにしています。


また描写が、小学六年生の二郎の視線から描かれています。二郎の家族への思いが一つのテーマなのでしょうか。揺れ動く子供心というか、でも作者の大人の視点も時々入っており、これでいいの、って感じにもなります。でも、そこがいいのでしょうね。そして、二部では本当に南の島に行ってしまいます。どうして行くのかは読んでからのお楽しみです。まさに題名通り、「サウスバウンド」south bound=南回りの、南へ向かう・・・ 


この小説、2006年本屋大賞2位この秋映画 (10月6日より全国ロードショー)にもなります 。ごきげんでお薦めな一冊です。


追記

映画の主題歌は、中島美嘉の「永遠の詩」(作詞は宮沢和史)で、NANA以外の映画の主題歌は初めてだそうです。

永遠の詩

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