【ネタバレ】


◎「恋に至る病」


 「君は、僕のために人を殺したの?」

 「僕は君が好きだ。たとえ殺人犯だとしても。ふたりがたどり着いた、切なすぎるラスト4分。」


 「この恋は、純愛か洗脳かーー」

 「僕の恋人は殺人犯でした。切なすぎるラスト4分。彼女の本心が明かされる。」


 2025年10月24日(金)公開、監督は廣木隆一、脚本は加藤正人、加藤結子、原作は斜線堂有紀(2020年刊行)、PG12、109分。


 公式HPの「TikTokで200万回再生の大反響を呼んだ衝撃の恋愛小説」というのは刊行後に本の紹介動画が再生された数でした。


 長尾謙杜(なにわ男子)(宮嶺望(みやみね のぞむ)役)、山田杏奈(寄河景(よすが けい)役)のW主演のほか、醍醐虎汰朗(根津原あきら 役)、中井友望(善名美玖利 役)、中川翼(木村民雄 役)、上原あまね(緒野江美 役)、小林桃子(氷山麻那 役)、井本彩花(大関華 役)、真弓孟之(AmBitious)(井出翔太 役)、忍成修吾(宮嶺義彦 役)、河井青葉(宮嶺久美子 役)、前田敦子(入見遠子 役)など。


 総合評価点は、上中下で中くらい。


 1週目の入場特典は「純愛と洗脳のオリジナル両面カード」、2週目は「長尾謙杜&山田杏奈インタビュー映像先行視聴特典付きエモーショナルポストカード」、3週目は長尾さん、山田さん、廣木監督による副音声上映(スマホにイヤホンで副音声を聞くやつ)。最初から2回見るつもりでしたが、3週目が副音声だったので3回見ました。






○山田杏奈さんが出演ということで無条件で見ることにしましたが、単館系っぽい雰囲気の事前情報からして山田さんが出演しなくても1回は見ていたと思います。


 山田さんの悪い顔と可愛い顔が見られて良かったです。

 長尾さんの地味で冴えないキャラというのも、誰?、という感じで良かったです。

 映画全体の雰囲気も好きなタイプです。

 ただ、物語にちょっと違和感が。


・原作は未読ですがあらすじによると景が自殺教唆ゲームの「ブルーモルフォ」(青い蝶)の主催者で150人以上を自殺に導いたとのことですが、映画では主催者は別にいて(主催者だとして逮捕された)、景は模倣犯(別の主催者か、主催者と言えるほどではないが同じことをしている者。)のように見えました。そこはあまり本質的なことではありませんが、そのゲームをしていると洗脳され、あの程度の指示に従ってアレするというのが謎です(ギャグ系ではないのに)。あの程度で洗脳されるの?、とは思いました。実際に洗脳する方法を示すわけにもいかないでしょうからあの程度の描き方だったのかもしれませんので、あの程度で洗脳されないようにしようという注意喚起ということにしましょう。

 まあ、そういう設定ということで、そういうものだと思うことにしましたが、説得力に少し欠けるので、少ししっくりこない感じはありました。


・「切なすぎるラスト4分」ですが、景が刺され、望が救急車を呼ぼうとするのを景がとめて、自分への罰だとして死ぬことを覚悟しますが、ここも今一つしっくりこないところ。

 その時の望はスマホを持っていなかったのかもしれませんが、教室とかにカバンを置いていてその中にあるのかもしれませんが、いずれにせよ景を置いてでも電話がありそうなところに走って行って救急車を呼べばいいのですが、そこは動揺していたから思いつかなかったということで理解はできます。


 一方、景が救急車を呼ぼうとする望をとめて死ぬことにした理由は、罰だと思ったから、というだけでいいのかなあ。

 主催者として100人以上をアレさせていたのであれば、その程度でやってきたことを後悔して罰だと思うものなのかなあ、でも望と付き合って後悔するようになったというのはありえるなあ。

 望をいじめたクラスメイトへの復讐を契機にブルーモルフォを始め、クラスメイトなどを死なせたというのなら、罪を犯し始めたばかりで我に返ったことから罰だと思うのもありかなあ。

 でも、望をいじめたクラスメイトを死に追いやったことを景は後悔していないはずなので、罪悪感もないと思うしなあ。

 とはいえ、景の洗脳による面が大きいのでしょうけれど、友人の女子2人は景を守るために実行犯になり、うち1人がアレし1人が不登校になるなど、そこに罪悪感はあってもおかしくないしなあ。

 そもそも景は望も友人女子2人も利用していただけで恋愛でも友情でもなかったのなら、望と死に別れることに未練は感じないでしょうし、女子2人に罪悪感は感じないでしょうし。でも、最後で、景が望に口づけを求めたシーンと、望の消しゴムをこっそり取ったのは景だと望が知ったシーンと、これは景の恋愛と考えるのが妥当です


望の景への気持ちは純愛か洗脳か、と公式Xが感想をつのっていて、結果はほぼ半々でした

 望を洗脳した形跡はあまりなかったので純愛かなと思いつつ、描写されなかっただけかもしれませんし、設定として簡単に洗脳されるということかもしれません。

 望が景に、洗脳できる景ならアレさせることができる旨を言っていましたが、景はずいぶんと信用されているものです。

 景の死後の事情聴取で刑事の入見遠子は、景は望を利用していただけで望は景に洗脳されていると言いますが、望は違う旨を言いますが、望の微笑みの表情は洗脳されている面の方が強いと考える方が妥当です。本音を隠すため、あるいは、景を信じなければいけない/守らなければいけないと思い込んでいるために微笑みでごまかしている可能性はありますが、後者の場合は洗脳によるものである場合も考えられます。純愛の面はあるにせよ、洗脳の面の方が大きいと思いました。

 そもそも好きになったら「あばたもエクボ」とも「恋は盲目」とも言いますから、それは自分で自分を洗脳しているみたいなものなので、そういう意味でも、景を今でも好きな望は洗脳状態と言えるのかもしれません。


○パンフによると、2024年7月に約1ヶ月で、ほぼ順番に撮影したとのこと。

 以下、副音声を聞いて。


・映画を2回見た後とはいえ、ちょっと考えながら見た方がいい映画のため映画に結構な気が行くので、副音声の内容はあまり覚えていません。

 長尾さんと山田さんが主に話し、廣木監督は控えめ。山田さんも長尾さんも、暑かったと何回か言っていました。


自転車に乗り降りするときと、閉じ込められた飛び箱の中から出るとき、景が制服のスカートの裾(今どきの女子高生なのでスカートは短い。)を気にしてないのですが、景だからか、山田さんだからか(見せパンの類をはいているとは推測していますが、それを抜きにしても)。

 後ろに足をあげてまたぐタイプの自転車で、乗るときも降りるときもスカートがサドルにどうなるかを気にしていませんし、スカートに触ってもいませんし直してもいません。

 山田さんは、自転車が下手で小さいころに親から止められていたからあまり乗っていないと言っていましたから、自転車の乗り方みたいなことがよく分かっていない可能性はあります。女子高出身とも言っていたので、中が見えることをあまり気にしなくなる可能性はあるなとは思いました。以前の出演映画で上下とも下着を見せていますし、その際に、必要とあればヌードもありと言っていましたが、中が見えてもあまり気にしないのかもしれません。

 なお、薄いロングのスプリングコートみたいな上着を着て(前ボタンは1つも閉じていない)、海辺のベンチに座るとき、はだけないように裾を軽くまとめる仕草はありました。そこは景の視界に入るから、というだけのことかもしれません。


・山田:まだ高校の制服が大丈夫か気になった。

 (→2001年1月8日が誕生日で今年度で25歳、撮影時の2024年7月は23歳、童顔なのでまだ大丈夫ですが、それが山田さんへの誉め言葉かどうかは分かりません。)


・モノレール内から自転車の望を見ている景が「がんばれ」と小声で言うシーンは撮影当日に廣木監督の指示で追加されたとパンフにもありましたが、モノレールから降りてきた景を抱きしめる望というシーンも当日追加したものなのだと。

 (→両方ともあった方が良かったかと。抱きしめられた景ですが、抱きしめ返していなかったような、ちょっと記憶が曖昧です。恋人というには2人の接触シーンが少ないというか、景が望を洗脳しようとしているようにも見えるとき以外の身体的接触ってあったっけなあ?。)


・前田敦子さん登場のシーンで長尾さんと山田さんが、(AKB48の)世代だから、云々と共演を嬉しそうに話していました。

望が入見遠子に取り調べを受けるシーンで長尾:やっているときは真面目にやっていたけれど、あっちゃんに取り調べを受けている!と思った。


・景の幼少時からの写真として望が見ていたものは山田さん本人の写真で、事務所に預けてあるものとのこと。

 小学生くらいでしょうか、やけにオデコが広い写真があって、おや、と私は思いました。


・ドローンが遠ざかって望が小さくなっていくラストシーン、山田さんは左端に隠れていた、スタッフもそこや別の場所に隠れていた、撮影が終わって集まった、とのこと。


○公式HPから。

 『内気な男子高校生・宮嶺と学校中の人気者・景。不器用で一途な初恋、ふたりが交わした約束。

 「どんな私でも守ってくれる?」

 しかし、同級生の不審死が続発し、宮嶺は景に対して疑惑を抱く。

 「もしかして君は、僕のために人を殺したの?」

 殺人犯へと変わりゆく景。

 それでも、宮嶺の気持ちは変わらない。

 やっぱり僕は君が好きだー。

 切なすぎるラスト4分。

 《彼女の本心》が明かされる。』


○本作とは関係ありませんが、たぶん載せたことはないと思いますが、2025年5月の名古屋市のミッドランドスクエアシネマにて、山田杏奈さんの手形。





【shin】