○ 駅のエスカレーターは、左側は立ち止まり、右側は歩くのがルールというか慣習になっています。少なくとも大都市では。

 これは、10年前か20年前かそれより前かは忘れましたが、新聞も鉄道会社も一緒になってPRしたところ、しばらくして根付いたものです。

 (なお、歩く側は、東京は右側、大阪や京都は左側、名古屋はごちゃごちゃ、という状態が続いていましたが、関西も中部も、どちらかというと右側が増えている気はします。ここ数年は行っていないので、最新の状況は分かりませんが。また、東京が一番しっかりと右側通行が守られているのは、それだけ乗客が多いからでしょう。)


○ 確か7月頃から、JR東京駅では、エスカレーターの右側も立ち止まるようにアナウンスが流れています。12月の今も。

 他のJRの駅のいくつかを利用している人に聞いたところ、聞いたことはないとのことなので、JR全体で取り組んでいるのかは分かりません。東京駅でもホームに直接続くエスカレーターではアナウンスしていないので、タマタマ聞いてないだけかも知れませんし(そうでなければ、東京駅で試してから他駅をどうするかを検討するのだと、善意に解しておきますが・・・)。

 アナウンスによると理由は「事故防止のため」とのことで、12月には「安全のため」に変化。エスカレーターは動いているので、歩くと危険ということでしょう。

 ただ、エスカレーターに初めて乗る人は別ですが、数回乗れば通常の階段と同じ感覚で乗れます。階段は歩かずに立ち止まれ、と言っているようなものです。

 それなら、高齢者などの転びそうな人は最初から左側にすれば良く、これだけ定着しているものですから右側歩行を知らない方が世間知らずなだけですし、あるいは、立ち止まりたい人に対して左側を使うようにアナウンスすれば良いだけです。

 知らずに右側に乗ったのであれば、立ち止まったままでも良いのでは。


○ ところで、ラッシュ時のエスカレーターの輸送量はどちらが多いかと言うと、絶え間なく乗客がいる状態であれば右側を歩くことにしておいた方が多いでしょうけれど、ラッシュ時でも右側がガラガラで左側は列が出来ていることもあります。

 そんなときは、両方立ち止まったままで良いことにしておけば輸送量は増えるのではと思います。

 そんなときも多いから常に右側も立ち止まることにした方が全体として輸送量が増える、という理由で右側も立ち止まれと言うのであれば分かるのですが。

 怪我の可能性が理由であれば全駅共通なので、JR東日本の全駅(少なくとも、それなりに乗客が多い駅、特に東京23区。)でアナウンスしているはずです(これは私が把握していないだけかも知れません。)。


○ そこで、一般社団法人日本エレベーター協会のHP(→該当ページへのリンク)

 これによると、少し分かりやすい理由がいくつか挙げられていますが、次のものが主と思われます。

「歩行禁止の呼びかけが始まっています
 慣例となっているエスカレーターの片側あけですが、危険や不便をともなう行為だということが、少しずつ浸透してきました。多数の場所でエスカレーターの歩行禁止の呼びかけを始めています。」

「歩いたり走ったりすると身体のバランスを崩します
 バランスを崩して転倒するなど、大きな事故を引き起こすことがあります。また他の利用者を巻き込む恐れもあります。」



 「不便」は、上に書いたとおり、場合によってはそのとおりです。

 「危険」や「バランスを崩します」は、そういう人は左側などで立ち止まれば良いだけでは。エスカレーターは動いているし段差が最近の階段よりは大きいから、歩くと階段より危険性が多少は高いのは確かですが、それによる危険性の上昇はわずかでは(年に何件の事故が起きているのかは知りませんが。)。

 一方、エスカレーターで立ち止まる場合でも、降りるときにタイミングがつかめないでコケそうな高齢者をごくごくタマに見かけますが(そもそも、タイミングがつかめなくて乗れない高齢者もいる。)、立ち止まっても階段より危険性がわずかに高いのも確かです。


○ 結局、どこまでの利便性と引き替えに、どこまでの危険性を許容するか、という問題です。

 そんなに危険だと言うのなら、エスカレーターは止めて階段としてのみ使えば良いのでは。

 個人的には困りますが、節電と健康のためには良いことです。



 例えば、車は便利ですが、日本では毎年5000人程度が事故死していますし(何年か前までは1万人以上だった。)、それなのに自動車を禁止しようという動きは聞きません。

 例えば、インターネットも、ハッキングや本人の不注意などによる個人情報の漏洩や、同意の上で恥ずかしい映像を恋人に撮影させて別れたらネットに載せられたりと、危険なのに禁止しようという話は聞きません。

 例えば、エスカレーターでも、ベビーカーは禁止となっているのに乗っている人は時々見かけます。それは、便利だからです。実際、きちんとつかんでいれば安全です(上の人が転んで落ちてきた場合の危険性は、ベビーカーに子供を乗せても、ベビーカーをたたんで大人が子供を抱いてエスカレーターに乗っても、転び方次第でケースバオケースのためトータルで見ればたいして変わらないのでは。)。


 ただ、HPは、JRのアナウンスよりは理由が分かりやすいです。JRがもう少し説明すれば、そうか、と思う人も少しはいるのでは、と思いますけれど。


○ 乗客も、JRがアナウンスしている理由が理由になっていないから、駅員が時々右側に立ち止まっているときと、知らずに右側に乗って立ち止まる人を除けば、皆、普通に右側を歩き続けているのでしょう。


 私は、登りでは、基本的に左側で立ち止まっているので、どうでも良いですが。
 健康のためには歩いた方が良いとは思うのですが・・・


【shin】