2013年冬アニメの感想の続きです。


◎「琴浦さん」

 Tokyo MXの映りが悪く、このアニメは他局では放送していなかったのですが、見られなかった最終話はニコニコ動画で見ることが出来ました。



○ 1話の後半途中まで、琴浦春香(cv金元寿子)が他人が考えていることが読めてしまうことからくる、両親の離婚や、友達から気持ち悪く思われて孤独になる様や、それらもあって自信のないひねくれた性格になる様々な出来事を、視聴者に印象づけるために結構シビアに描いていました。

 1話終盤以降、変わってている琴浦を気にせず話しかけるノホホンとした男子の真鍋義久(cv福島潤)に興味を持たれて琴浦が変わる予感もあり、真鍋と付き合うようになり。

 エスパーの母が嘘をついていると言われながら自殺したため世間を恨んでいるから世間に母が嘘つきではないことを証明するためにエスパーを探している部長の御舟百合子(cv花澤香奈)と、百合子が片思いしている副部長の室戸大智(cv下野紘)のESP研究会に入って友達も出来ました。

 とは言え、3話で自分に気を遣って怪我をした真鍋を気遣って琴浦が転校したところは展開が早いなと思いました。
 それだけ、自分に自信が無く迷惑ばかりをかけてきたことを思い詰めたことを表したのでしょう。


○ さて、琴浦に友達が出来ないのは、他人の心が読めてしまうからというよりも、読めたことを何の配慮もなく、かつ、悪意のような冷たい口調で皆に言ってしまうからという方が大きいわけで、つまり、自分の超能力を隠さなかったからであり、それは自業自得なわけです

 相手の気持ちが読めてしまい、それに苦しんでとか戸惑ってとかで自分から友達を作らないようにしたということでもないです。


 小さい頃は、単に自分の能力が普通とは異なるということに気付いていなかったようですし、また、口に出したことか頭の中で考えているだけのことかの区別が付かなかったようですから、ズケズケと口に出してしまって軋轢が生じたのでしょう。

 琴浦が浮気をしている両親の考えていることを口にして、結果として浮気が互いにバレて離婚させてしまって母から産むんじゃなかったと言われたとか、いくつかの経験を経てからは、自暴自棄になったからクラスメイトの気持ちを口にしてワザと傷付けたのでしょう。


 何て後ろ向きなのだ、と言うことはたやすいのですが、現実世界にだって、そんな感じに自暴自棄になる人は一定程度いるでしょう。


 それとて、自業自得としか私は思いませんが。

 つまり、中学や高校になったら区別できているでしょうから、その気になれば口に出さないでいられたのではと思いますが、自暴自棄になった琴浦はそれをせずに他人の迷惑になることを進んでしたわけですから、理由はどうあれ、他人に大きな迷惑をわざとかけるというのは非難されてしかるべきです。


○ さてさて、登校拒否にならず、超能力を隠すこともなく、それは琴浦は精神的に強いからだと言うことも出来ます。しかし、転校を繰り返していることからすると、一概にそうとも言えないです。

 先生や同級生達は迷惑だから転校してほしいと思うでしょうけれど、中学までは公立であれば退学にはならないですし、公立高校であっても、そういう理由で退学させるというのは難しいでしょう。私立の中学や高校であれば何だかんだと理屈を付けて退学はあるかもしれませんが。


 つまり、転校しなければしないで済むはずなのに転校しているということは、琴浦は学校にいずらくなったから転校しているのでしょう。

 よって、琴浦は精神的に強いというわけではないと考えた方が良いです。


 弱い犬ほど良く吠える、のような、意識的にせよ無意識的にせよ弱さを隠すために、あるいは、弱さを自覚しているから今にも壊れそうな自分を支えるために悪態をつくという、よくあるパターンとも言えます。


○ 連続通り魔(画面では、相手の女子高生が死んでいるようにしか見えませんでしたが。)が女性警官だったわけですが、その警官とは途中から知り合いになって何度も話をしているのに琴浦は心が読めませんでしたが、二重人格ともなると、裏の顔の存在を知らない表の顔のときは、琴浦が読めないのも自然なことなのでしょうね。


○ 全体として、真鍋の工口い妄想に気付いて怒ったり恥ずかしがったりする琴浦が可愛かったり、コメディを上手く混ぜていて、普通に楽しめました


 真鍋とも少しずつ進展し、ESP研の友達もでき、自分の存在意義を見出した琴浦です。

 最終話で、幼少時の琴浦を残して出ていったけれど母親なりに自責の念にかられていることを読み取り、自分の存在意義を見出していたこともあって母親を許し、母娘が一緒に暮らすようになり、母親はまだまだぎこちないですが、一応和解したようですし。


 最後はちょっといい話になっていましたが、それもありでしょう。

 琴浦のトラウマの解決も、コメディ的には差し支えない程度には上手く描かれていましたし。


○ 2年位前だったか3年位前だったか、新聞だったか雑誌だったかは覚えていませんが、花澤香菜さんが出るとアニメの格が上がるという趣旨のことを書いているアニメ評論家だったか何だかの記事がありました。

 どんな役でもそうだとは思いませんが、それは私も感じていたところで、花澤さんの声はアニメ全体を引き締めて引き上げる素晴らしい声だと思います(昨秋から今冬では、出番は多くはなかったものの「絶園のテンペスト」が一番そう感じましたが。)。

 多くのアニメに出ているのも当然です(多過ぎなので、もう少し減らして出し惜しみをしても良い気もしますけれども。)。

 このアニメでも少しその効果が出ていたと思います。


 そんなことも含め、喜び、怒り、泣き、笑い、喜怒哀楽のバランスの良い、意外と良いアニメだったかも、という感想です。


【shin】