【その後のミリオネア(21世紀編)】

世紀末から新世紀へ。
現在までに至るミリオネアの軌跡をたどってみましょう。
ちなみに、現在ミリオネアは、G5と同時期にデビューしたシーラインと共にロングランのブランドネームとなっています。

毎度の事ながら年代考証はタカさんのご協力を得て記載しております。


1999年:丸形復活! ミリオネアCV-Z
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 ミリオネア CV-Z250

90年代半頃、丸形復活の先駆けとして、シマノからカルカッタが登場し、人気を博しました。
その跡を追うようにリョービもバリウスで対抗。
アブでさえ、ブラックマックスやプロマックスなんかの丸形モデルを投入(今のモラムに続く)したくらいですから、よっぽどカルカッタのインパクトは強かったのですね。
後れをとったダイワは、1999年に新丸形ベイトリールを販売開始、その名にミリオネアを付けたわけです。

これら丸形リールは、往年のフレームタイプではなく、アルミダイキャストか無垢材を削り出し加工したボディで、現在もそのトレンドは生き続けています。
本機やカルカッタのアルミマシンカットボディ自体は珍しいものではなく、トローリングリールなんかではずっと昔からありました。
小型ルアー用ベイトリールに採用したところがウケたわけですね。

14年前の1985年にカタログ消滅した、ダイキャストモノコックフレームM系ミリオネアが最新メカを搭載し甦った感じです。
ブレーキはマグフォースVを搭載し、シマノの遠心より使いやすかったのでしょうが、スタイルがちょっと安っぽかったかな。

このミリオネア、結構人気を博したようで、10年間ほど販売され、長寿モデルとなりました。
この間、雷魚用新家氏監修のブラックシープや村上氏監修の凜牙とかのスペシャルモデルもラインナップされました。
また、この頃からはやり始めたソルトルアーゲームに対応し、ベイエリアや同ブルーバッカ-がその活躍の舞台を広げていきました。

ある意味ミリオネアが最も輝いていた時期なのかもしれません。
アンバサダーの影に埋もれた70年代、ファントムの下位となり汎用機を目指した80年代、廉価版になってしまった90年代とは異なり、TD系とベイトリールのツートップを張っていました。
しかし、2008年、リョウガにその座を明け渡しルアー用ベイトリールから引退してしまいました。


アメリカ版CV系 ミリオネア-S
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アメリカンダイワ ミリオネア-S300

日本ではベイトリールから引退してしまったミリオネアCV系ですが、アメリカではミリオネア-Sとして今も活躍しています。
マグフォースから遠心ブレーキに変更してあります。


2007年:路線大幅変更? ミリオネアICV
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ミリオネア ICV100R

CV系がリョウガに道を譲り引退する前年、ミリオネアが大きく方向性を変えました。
液晶カウンターを搭載した完全な船用リールがICVです。
CV系をベースにしていますが、最早ベイトリールではありません。
この後、長らく国内ではルアー用ベイトとしてのミリオネアの系譜は途絶えてしまいます。


2008年:ミリオネアICV 100R 50周年記念モデル
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1958年に旧大和精工が創業し、2008年で50周年を迎えました(現グローブライド)。
50周年記念スペシャルモデルが色々販売され、その中にミリオネアがありました。
しかし・・・なんで船用ICVのカスタム??
私はこの企画に不満を感じました。
ミリオネアの起源はルアーベイトであり、 この年は1973年に初代G5がデビューして35年になります。
アンバサダーのようなG5の復刻版を出して欲しかったし、そうすれば私は速攻注文しコレクションに加えていたでしょう。
この年のスペシャルサイトには、創業からの歴史が書かれており、投げの名機プロキャスターなどが語られていましたが、当時のミリオネアには一切触れられていませんでした。
ダイワにとって、オールドミリオネアは触れたくない黒歴史だったのでしょうか?


2013年:新境地開拓? ミリオネアカゴ(kago、籠)
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ミリオネア KAGO-300 

遠投かご釣り用の「ミリオネアカゴ」、ベースはCV系です。
マグブレーキを捨てて、重量級仕掛けを投げる為に遠心ブレーキを装備しました。
しかし・・・「カゴ:Kago」っていう安直なネーミングがなんか悲しいです。
再びベイトリールの主役に復活することは、もう無いのか??

近年カゴ釣りでは、丸形クラシックアンバサダーがよく使用されるようで、その流れに追従したのでしょうか?
かつてルアー用ベイトリールで隆盛を極めたミリオネアとアンバサダーですが、まさかニッポンの磯でアミエビを詰めた籠を投げさせられることになろうとは・・・
こんな展開になるとは思ってもみなかったでしょうね。


海外では現役!フレーム丸形ミリオネアクラシック系
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 アメリカンダイワ ミリオネア M-C250

北米では、フレーム丸形ミリオネアが販売されていました。
2000年代後半の販売だったと思います。
その名も、「ミリオネアクラシック」、いわゆる復刻版みたいなものですね。
さすが、アンバサダー復刻版を販売し続けているお国柄だけのことはあります。
しかし、左カップ下部の太陽マークが何ともニクい演出ですね。
まあ、国内販売しても売れそうにないスタイルですけど・・・。
遠心ブレーキ無しで、キャスティング用ではなく、汎用リールです。
数年間販売されていたようですが、今は販売終了しています。


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欧州ダイワ、ミリオネアプロテウス PROTEUS 300 L/H

こちらはクラシックの欧州版。
遠心ブレーキが付いて、キャスティングに対応していますが、ルアー用ベイトではなく、現地で盛んな大型淡水魚とかのぶっ込み釣り用でしょうか?
国内では見られなかった左ハンドルがラインナップされています。
色目がクラシックよりちょっとだけカッコ良いかも・・・
(ねこの釣り師さん、情報ありがとうございました)
こちらも現在廃版になっています。


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日本JSY向け シーファイア300

某量販店JSYで発見したミリオネアクラシックの国内バージョン。
その名もシーファイア(SEA FIRE)。
完全な船用リールで、廉価版クラス。
カタログに掲載されていないJSY向け特別仕様品だったと思われます。
これも今はもう見なくなってしまいました。


アメリカのサーフで活躍! ミリオネア7HT
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アメリカンダイワ ミリオネア7HTMAGST

アメリカでは、ミリオネアはサーフキャスティングリールとして今も活躍しています。
7000番サイズの超ワイドボディにマグブレーキを装備。
レベワイを廃した遠投専用機です。
日本でも、70年代初頭まで一時期ペンのサーフマスターやスクイダーが使われていたことがある両軸サーフキャスティング。
日本では、キス釣りを主体とした投げ釣りが盛んになり、大型スカーテッドスピニングリールを投げ釣り専用に進化させ、今に至ります。
結局、サーフリール文化が根付くことはありませんでした。


2014年:またもや復活? ミリオネア
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ミリオネア100

ミリオネア新製品で復活?
ベースはCV系です。
再びベイトリールの座に返り咲くのか?
と思いきや、これも船用、ブレーキシステムも装備されていない。
おまけに、どことなくちょっと前のカルカッタ風・・・。


2015年:リョウガ? ミリオネアバサラ
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ミリオネアバサラ100H

ベースモデルををリョウガに変更し、マグシールドBBを装備。
婆娑羅とはインド語でダイヤの意味らしいです。
しかし、・・・やはり遠心ブレーキ無しの船用である事に変わりはありません。
後輩リョウガの軍門に降り、生きながらえる意味があるのだろうか??


2018年:クラシックが凱旋帰国? シーホーク
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シーホーク300遠投

ミリオネアの名前は付いていませんが、どことなく海外向けクラシック系をベースにしているように見えます。
本機は、遠投カゴ釣り用として開発されました。
クラシック系に対し、オートクラッチ(AC、サムバー)やSICガイド付きレベワイ、ロック付き遠心ブレーキなんかを装備し、かなり近代的になっています。
現在の遠投カゴ釣りでは、クラシック丸形アンバサダーが好まれるそうで、それに食い込む為のクラシックスタイル投入なのでしょうか?
しかし・・・それではCV系ベースのカゴちゃんの立つ瀬が無いような・・・


2019年:アメリカ人はクラシック好き? ミリオネアクラシックUTD
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一旦姿を消した、アメリカンダイワのミリオネアクラシックが復活しました。
基本は赤い先代クラシックと同じ、遠心ブレーキ無しの汎用リールのようです。
しかし、ドラグを強化し、クラシックには何とも不似合いな近代的ベントハンドルを搭載しての再登場です。
見た感じ、日本向けシーホークにも似ていますね。
アメリカ人は、クラシックスタイルがホント好きなんですね。
しかし、先代の右カップ太陽マークが廃止され、現在のダイワロゴになってしまったのはちょっと残念ですね。


2019年:ベイト復帰! ミリオネア CT-SV
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ミリオネア CT SV70H

2019年5月、いよいよ待ちに待ったミリオネアのベイトリール復帰です。
(この記事は2019年1月に書いてます)

ダイワホームページから
「2008年を最後にバス用としては姿を潜め、活躍の舞台をソルトウォーターへと譲っていたラウンドシェイプの名機・ミリオネア。
2019年、新基軸ユニットで武装して、バスフィッシングシーンへといよいよ戦線復帰。満を持して、群雄割拠のファーストムービング界へと乗り込んでいく。」

基本ボディは、丸形アルミマシンカットフレームのCV系を引き継いでいますが、CT(Compact&Tough)設計による小型軽量化と小口径SVスプール、新型マグ(エア)ブレーキ、を搭載し、かなり進化しています。

ミリオネアG5の誕生から46年。
自重330g→210gへと劇的進化、丸形リールとしては最軽量の部類。

今なお進化し続け、ルアー用ベイトの最先端を行くミリオネア。
今後も期待しましょう。


というか、G5の復刻版作ってくれないかなぁ・・・