続きです。



 『合格実績』に代わる塾の数字

『合格実績』を公表しない風潮の原因を探る前に、では塾のホームページで『合格実績』の代わりに何を一目瞭然の数字として公表しているのでしょうか。

様々な塾のホームページを見ると、2つあります。


A、学校の定期試験や通知表の成績アップの事例

B、学校の定期試験での上位順位の獲得人数


どちらも『地域の教育に貢献』という意味において大きいとは思います。

しかしですね、Aは実はあまり意味がなかったりします。

というのも、塾に入る前とその後では、入塾した後の方が成績が上がるのは、当然です。

そもそも学力や学習量が何らかの理由で足りないから入塾するのであり、入塾すれば以前より学習量が増えて、テストに向けて効果的に演習する量も増えるのですから、成績が下降するほうがおかしいのです(教科や単元による場合もあるが)。

で、塾で学べば成績が上がる!と生徒も保護者も自信を持ち、通塾が継続されていくわけです。

そうなると、説得力のある塾の規模や力量を推し量る一目瞭然の数字はBなのではないかと思うのです。

確かに大手の一斉指導の塾には、元々学習能力の高い生徒が集まりやすい傾向にあります。だから各中学校の定期試験のトップクラスが、どのくらい地域の学習塾に在籍しているのか(もしくはどこにも在籍していないのか)を探るのは、言い方は悪いですが『出来レース』をチェックしている気がしないわけでもない。

しかし、成績上位層がどの塾を選んで通っているのか?というバロメーターになる数字なのは確かです。そしてそのことは、塾選びに迷う生徒や保護者、果ては地域の人々に対して塾の力量や規模を推し量る物差しになり得るのではないか、と私は思うのです。


 佐鳴予備校の場合

話を戻します。

なぜ『合格実績』を公表しない風潮なのか?

建前の理由は前回も説明しましたが、改めて言うと… 


①、前述のように、『個人情報保護』の観点。

②、『合格実績』は塾を推し量る物差しではない。


でもこれはあくまで『建前』に過ぎません。

具体的に指摘しましょう。

例えば佐鳴予備校は、静岡県と愛知県の公立高校入試の『合格実績』を公表しています。しかしいつの頃からか、静岡県中部(静岡市や藤枝市など)の公表を見送るようになりました。

原因は明らかです。 

秀英予備校にこの地域で合格実績どころか、校舎数や集客数でも大きく負けているからです。

いや、実のところそれでも数年前までは佐鳴予備校も公表していたのです。しかし、例えば藤枝市や焼津市などの校舎を生徒数が集まらず、大量に閉鎖した結果、秀英予備校との差がますます顕著となり、合格実績の公表をしなくなったのです。

私は思うのです。

たとえ少なくても『合格実績』であることには変わりない。何を恥じるのか?と。

ここには、塾というのは教育産業とか教育サービスなど言われていますが、所詮は私企業なので利潤を追求し、その為には『都合の悪い数字は世の中に出したくない』という姿勢が私には透けて見えます。

しかし、ですよ。

そもそも佐鳴予備校のスローガンは、『最大であるより最良であれ』だったはずです。

だとしたら、静岡県中部のように『最大』の『合格実績』を得られていなかったとしても、何らそれを恥じることなく、公表すべきなのではと思うし、私のような『ひねくれ者』は、もしや『最良』でもないのか?と穿った見方をしてしまいたくなります(笑)。

とにかく『地域の教育に貢献』した証として、人数の多少に関係なく、『合格実績』は公表すべきと思います。


 進学会の場合

もうひとつ例を挙げましょう。

進学会です。創業の北海道では北大学力増進会などの塾名で有名ですね。本州以南でも特に東北や関東で校舎展開しています。まあ、中部や中国地方における校舎は一時期より減りましたがね。でも東証一部上場企業ですからね。

で、東証一部上場企業である『進学会』の『合格実績』って、こんな感じです。



どうです?塾を選ぶ生徒や保護者どころか、株主をも馬鹿にしたような内容に思うのですが、どうでしょう?私はこれを見る度に、怒りが湧いてきますムキー。こんなの見せられても何の意味があるのでしょうか?

まあ、企業それぞれの判断と言われれば、それまでなんですがね。

でもね、この進学会だって、創業の北海道では過去にはっきりと『合格実績』を公表していたのですよ。これが証拠です。



今から5年程前までなら、こうして少なくとも地盤の北海道に関しては、まぁまぁ公表していたのですよ。
それが、あんな『意味のない』公表に転じたのは、はっきり言えばライバルの『練成会グループ』に創業の地である札幌ですら、太刀打ちできなくなった、ということが大きな理由でしょう。
なぜ太刀打ちできなくなったかは…ここでは長くなるので語りませんが、結局、『佐鳴予備校』と同じで、自分たちに都合の悪い、敗北を認めるような数字は公表したくないという『企業』としての判断が見え隠れしています。
確かに東証一部上場企業の立場もあるのでしょう。それは理解します。しかし同時に『教育』に関することをしているのならば、地域にどれ程の貢献をしているのか、リアルに見せるのも必要なのではないのでしょうか。

 そして、新展開(笑)

しかし、『佐鳴予備校』と『進学会』で大きく違うことがあります。
それは、『合格実績』に代わるデータの公表です。
そうです、冒頭に取り上げた2つのデータを『佐鳴予備校』では、各校舎のホームページで公表しています。

A、学校の定期試験や通知表の成績アップの事例

B、学校の定期試験での上位順位の獲得人数


このことをしているだけ、『佐鳴予備校』をまだ私は評価したいと思います。
しかし前述したように、個人的にはAよりBのデータの方を個人的には重視したいと思います。
が、『佐鳴予備校』だげが、Bのデータを公表したところで他塾との比較や地域の貢献度はなかなかできません。
つまり、『〇〇中学校定期試験学年1位獲得!』と言われても、どれ程の価値があるのか、凄いことだとしても、学年にどれだけの生徒がいるのか、他塾はどうなっているのかとかが、漠然となっていて、いまいち『ピン』と来ないのではと思うのです。
ということで、日本の『ある地域』の『ある中学校』の『2021年度一学期中間テスト』の『5科目総合得点上位10位までの生徒』が『どこの塾に通塾しているか』を『一覧』にまとめたものを、次回は試験的に公開して、何が見えるのか伝わってくるのかを検証してみたいと思います。

多分、史上初じゃないですかね?

続きます!