馬体の見方まとめ③ | 馬体診断のプロ / 元・大山ヒルズ厩舎長の【極!一口馬主】

馬体診断のプロ / 元・大山ヒルズ厩舎長の【極!一口馬主】

一口馬主になる時、避けて通れないのが馬体の見方。
G1馬を多数手がけた経験を生かして、私なりのチェックポイントをお伝えしたいと思います。

推進力をいかに伝えるか

 

 

個人的な馬体の見方では、骨格気性を重視して推進力を考えている。

 

 

 

骨格面は、推進力を生み出せるか、故障につながりにくいかを主にチェックしている。

気性面は、能力をレースで発揮しやすいかどうかにかかわっていると考えている。

 

 

 

ここからは具体的に、話を進めていく。

募集時の歩行動画において、細かく見ていきたい(以前、勉強会で話したことをまとめてくださった方がいる。それを元に、再構成していく)。

 

 

 

 

 

 

 

 

骨格

 

 

①    立ち姿(動画でも最初に映されることが多い)

 

立たせている状態をずっと映してくれていることもあれば、静止画にしているクラブもある。静止画であればカタログとほぼ同じだが、じっと立たせているときには気性面をみることができる(気性については後述する)。

 

 

 

 

 

静止画(横から)としてみた場合、以下をチェックしていく。

 

 

 

・キ甲の抜け具合

キ甲の高さと腰の一番高いところを比較して、骨格の成長度合いをみる。

 

 

 

・蹄の角度(形)、蹄鉄

蹄の角度が立ちすぎている、寝すぎている場合、そこからつながる繋ぎの角度・腕節へのラインに注目する。

蹄鉄を履いているかどうか、も時期によっては調教の進み具合をみるのに役立つ。通常、前肢から履かせて、慣らしてから後肢も履かせる。この順番が違っていたり、他馬に比べて履かせる時期が遅れていたりするのは、順調さを欠いている可能性がある。

 

 

 

・蹄の色

黒い方が硬く、白い方が柔らかい。

リスクとしては、黒い方が裂蹄、白い方がボロボロになりやすい。

日常は蹄油の塗り方で調整するが、状態悪化時には装蹄師・獣医と連携する必要がある。

 

 

 

・繋ぎの角度と長さ

足元のリスクにつながりやすく、推進力とも関係がある。

*球節の柔軟性とも関連が深いため、静止画上で想像しながら動画で確認できると良い。

 

前肢

寝すぎていると返す時に裏スジに負荷がかかりやすい。その反面、屈腱をゴムのように使える。

 

前肢後肢

立ちすぎていると、接地時の衝撃吸収が少なく関節に負担がかかりやすい。その反面、足抜きが良いためダートに向きやすい。蹄の形状もあるが、芝のレースでは雨で滑りにくいこともある。

 

後肢

立ちすぎていると地面をつかみにくく(グリップの効きが悪くなる)、推進力が伝わりにくい。逆に寝すぎていても、推進力が逃げてしまったり飛節への負担が大きくなってしまったりすることがある。

*ロードカナロア産駒は、後肢の繋ぎ~球節が柔らかい馬が多い印象。しかし、アーモンドアイは適度な柔軟性だった。

 

 

 

・球節と管

腕節から球節にかけて、まっすぐに、スッキリしているのが理想的。

肢軸のズレ、球節から下が外向(or内向)していると、接地時の負担が増す。

また球節の上部が膨らんでいると、浮腫んで腫れている可能性がある。血流が悪い、炎症を起こしている、等に注意。

管に、骨瘤やソエ、キズ痕等の有無をチェック。

 

球節は、歩行時に適度な柔軟性があるのが望ましい。

繋ぎ、腕節・肩関節、飛節・股関節との関連が深く、四肢全体を総合的に評価できると良い。

 

 

 

・後躯(トモ)の大きさ

馬体全体とのバランスで、大きすぎても小さすぎても良くない。

臀部の線(スジ)がくっきりと見えていれば、筋肉量は一定以上あると判断できる。

臀端が尖っている場合、トモの筋肉量が少ない可能性。後面からもチェックして、馬体の幅・馬体重・調教の進み具合との兼ね合いで判断する。

 

 

 

・飛節の角度

真っすぐすぎる(直飛)、曲がりすぎている(曲飛)は注意して確認する。

 

 

 

 

 

次回

 

 

は、動画での骨格チェックポイントを予定している。