九州遠征2日目の2021年7月23日(金)は、佐賀県の多良岳と経ヶ岳(佐賀県最高峰)に登ってきました。
自戒のために書きますが、標高1000m前後という山の高さ、そして夏の暑さを甘く見て熱中症になりかけました。詳しくは本文で。
GPSログです。黒木第3駐車場に車を停めて、多良岳、経ヶ岳と反時計回りに歩くルートです。
歩行距離:10.4km
累積標高差:±1150m
コースタイム:黒木第3駐車場(6:20)→多良岳(8:25)→経ヶ岳(11:00)→黒木第3駐車場(13:10)
黒木第3駐車場は30台ほど停められる広い駐車場です。自分が到着した時にはまだ5~6台ぐらいでした。
写真奥に多良岳に続く稜線が見えています。
駐車場から八丁谷までは林道を歩きます。
八丁谷から本格的な登山道に、しかし傾斜が緩やかなのでペースよく登っていきます。
ただし蒸し暑さを考えてポイントポイントで水分補給しながらの登りです。
しばらく登ると見たことがない花の群生が!
彼岸花かと思いましたが、「オオキツネノカミソリ」だそうです。斜面一面に咲いている姿は圧巻でした。
ペースよく登って西野越で稜線に出ます。ここから金泉寺までは緩やかなトラバースコース。
西野越からすぐに金泉寺。奥深い山の中の立派なお寺です。安全登山を祈願して多良岳に向かいます。
急な階段を登って。
ちょっとした岩場の鎖を登ると。
多良岳山頂です。展望がないのですぐ金泉寺まで引き返します。
ここまでは何の問題もなく順調そのものでした。
予定が狂い始めるのはここからです。金泉寺から中山越に向かうルートは、稜線をほぼ平行にトラバースする楽なルートだと思っていたのですが・・・
実際には細かいアップダウンが延々と続き、足元は大小様々な石が転がる歩きにくいルートで、徐々に体力が奪われます。
金泉寺から予定時間の1.5倍掛かって中山越に到着。
ここからは経ヶ岳に直登するルートと、平谷越を経由する斜度が緩い(と思っていただけ)ルートに分かれます。
ここは計画通り平谷越を経由ルートに進路をとりましたが、このルートも岩場の歩きにくいルート。
そして登山道が不明瞭なので、ピンクテープ・リボンをよくよく確認しながらの登りで精神的にも疲れました。
なんとか平谷越に到着。ここで大休憩して経ヶ岳の最後の登りに備えます。
平谷越から経ヶ岳山頂までは標高差約100m、楽勝だと思っていたら実際は急登の鎖場の連続でした。
幸い持ち手はしっかりあって鎖がなくても登れる岩場でしたが、ここでも精神的に疲れました。
多良岳から2時間30分掛かって経ヶ岳の山頂に到着。予定時間を30分オーバーしました。
しかしここまで来れば後は標高差700mを下るだけ、心に余裕もできて風景も楽しみました。(この油断が良くなかった)
多良岳と歩いてきた稜線。そしてその奥に雲の掛かった雲仙普賢岳です。
大村湾方面だと思います。
昼食を取りながら大休憩。
今日持ってきた水は2L。スポーツドリンク1Lとお茶500ml、凍らせたお茶500mlです。
ここでスポーツドリンクを飲み干しましたが、あとお茶500mlあれば十分だろうと思っていたのですが・・・
経ヶ岳からつげ尾まで下る道も想像以上の急坂と足場の悪さで体力を消耗します。
そしてつげ尾から黒木に下る道も足場が悪くルートもわかりにくくて体力、精神力が持っていかれます。
こんな下りが延々と続きます。残りのお茶500mlもあっという間になくなっていきます。
そして駐車場まで残り標高差300mというところで両足が攣りました、今までにない痛みです。腕も痺れています。
意識はハッキリしていますが、1歩1歩下るのが辛い状況です。
とりあえず15分ほど休憩、お茶の残りはあと1口ほど、後は凍らせたお茶の残りが少しあるだけです。
実はペットボトル500mlもう1本買っていたのですが、そんなに要らないだろうと思い車の中に置いてきてしまいました。
登山人生の中でこれほど後悔したことはないですね。
しかし目の前には標高差300mの下りがあるだけ。なんとか1歩1歩下っていきます。
そうしたらなんと水場を発見!
地図に水場のマークがなかったので、まさかの幻覚かと思いましたが、本当に水場がありました。
凍らせたお茶の残りに水を注いで何杯も飲みました。こんなに美味しい水は本当に初めてです。
そして塩分補給のために最後の1個となっていたおにぎりを食べて15分ほど休憩。
これで体力も回復しました。
空になっていたペットボトルにも水を補給。人間正直なもので、水に余裕ができると精神的にも余裕ができますね。
あとは快調に下山。途中の沢では頭から思いっきり水を被りました。
麓の田んぼが見えてほっと一安心。
登山開始から約7時間掛かって無事駐車場に戻りました。
帰り際萱瀬ダムから見た経ヶ岳(最奥の尖った山)です。
あの時水場がなかったら本当にどうなっていたかと想像しただけでも怖くなりました。
反省点としては
①登山口が標高300m、経ヶ岳の標高が1075mなので、標高差775mなら登り下りとも2時間あれば大丈夫だろうとコースタイムを甘く見ていたこと。
②金泉寺から中山越のトラバース道は大したことないと思い、体力の中に入れてなかったこと。
③経ヶ岳の最後の登りで長い鎖場があることを知らなかったこと。
④経ヶ岳から黒木への下山道はザレ場ということは知っていたが、そこまで歩きにくい道だとは想像していなかったこと。
⑤真夏の1000m級の山の暑さを甘く見ていたこと。
⑥水2Lとおにぎり2個、ウィダーインゼリー1個で行けるだろうと甘く見ていたこと。
①②③④については、最近山の情報はWebで調べることが多かったのですが、やはり知らない山域に行くときはガイド本を読むのが必須だと思いました。
⑤⑥については暑さを考慮したつもりでも、食料は大丈夫でしたが水分が圧倒的に足りていませんでした。
そして足が攣るのは水分不足だけなく塩分不足でもあるので、食料プラス塩飴や塩タブレットなどを携行しなかったことを反省しました。
どんな山でも甘く見ると痛いしっぺ返しを喰らいますね。
自然が悪いわけではなく全部自分の責任で行うのが登山だと言うことを改めて心に刻みました。