道を拓く援助【リアリティセラピー】 | ウェルビーイングのおすそわけ

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心と身体と社会的な“しあわせ”に関する情報メディア
(旧タイトル「カウンセラーからのおすそわけ」)

2000年以降、
心理療法の方向性が
少しずつ変わり始めています。


それまでは、
精神障害の分類と
原因の追求が
中心となっていましたが、
現在では苦悩への対処法や
欲求充足の支援に
移ろうとしています。


リアリティセラピーは、
この潮流の中で注目されている
心理療法の一つと言えます。


リアリティセラピーの提唱者、
W.グラッサー博士に影響を与えた
人物の1人にG.L.ハリントン博士がいます。


ハリントン博士は、
ウエスト・ロサンゼルスの
重度精神科病棟206号棟における
グラッサー博士の指導教官で、
伝統的な精神医療とは異なる
革新的な考えの持ち主でした。


ハリントン博士は、
病棟のスタッフたちに
次の3つのことを教えました。
(1965,p126)


◎患者の状況を希望のないものと
 考えてはならないこと

◎患者1人ひとりに
 より良い行動の仕方を教えることができること

◎世界のどこかに
 必ず患者のための場所があること


こうしたことを
病棟のスタッフが
チーム一丸となって
取り組みました。


ハリントン博士は、
幻聴に苦しみ、幻覚に悩み、
妄想の世界に埋没している患者さんに
希望と勇気を与え、
自らの力で生きる術を教えました。


このハリントン博士のもとで、
グラッサー博士は
リアリティセラピーを創始します。


Dr.グラッサー博士は、
著書『Reality Therapy』の中で
次のように語っています。


「治療は、病気の原因となっている
過去の不幸を患者に理解させることではなく、
ただちによりよい仕方で働けるように
患者を助けることである」(1965, p53)


重度精神科病棟206号棟の
それまでの平均入院日数は15年、
退院者数は年間2人でした。


ハリントン博士やグラッサー博士らの
新しい取り組みによって
病棟を退院する患者数は、
1962年に25人、
1963年に75人、
1965年には200人と増え、
飛躍的な成果を遂げました。


現在、グラッサー博士のアイデアは、
選択理論としてまとめられ、
精神医療、矯正、教育、産業、家庭など
様々な分野で応用されています。(1998)


Dr.グラッサー博士は、
84歳になられた現在、
診断と投薬を中心とする
メディカルモデルのメンタルヘルスではなく、
心の健康教育を主体とする
パブリックヘルスモデルの
メンタルヘルスを推進しています。(2003)


これからの心理療法に求められるもの、
それは悩んでいる一人一人が
自らの道を拓くための援助を
積極的にしていくこと
と言えるのではないでしょうか。


参考文献:『現実療法』by William Glasser 真行寺功訳 サイマル出版会
     『グラッサー博士の選択理論』by William Glasser 柿谷正期訳 アチーブメント出版
     『警告』by William Glasser 柿谷正期、佐藤敬訳 アチーブメント出版
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