手作りマイクの
あの無骨さをなんとかしたい・・・と最初に思った。
前面に黒い不織布が張られたむき出しのECM。
なんとも不細工なこれまでの「自作マイク」、無言なるその国内共通デザインから早く抜けだしたい。
何とかしてメーカー製品同等のフロントがほしい、日本よりはるかに進んでいる海外クラフトマン達のこだわりに学びたい、そんな想いだけが先走った。
そこで取り組んだのが「金属メッシュの絞り加工」によるフロントデザインの構築です。
手作りマイク必須の課題は「手作りに見せない事だ」
しかし工作機械など有るわけもない、素手で突撃だ。
(このブログトップの写真がそのころの銅メッシュ絞り例です)
新旧fetⅡの外観
もう元には戻れないでしょう。
大きな銅メッシュで練習開始(2012年)
【練習作】
徐々に小さなものへ・・・
絞り治具になるスクラップ材を東京大田区の町工場から手に入れたり、スケールの穴を使ったり試行錯誤の連続。
そしてfetⅡクラスの小口径マイクフロントに安定的な絞り加工のメドがついた。(2013年)
【 fetⅡへの応用実際 】
ステンレス、100メッシュを小さく切りスケールの穴を使ってドリルのお尻
などでグリグリと押し出し成形する。(深さ、Max 5mm程度で良い)
このとき上下左右・対角線にやや深く切れ目を入れる。
これが全円周にシワを作らず円形絞りを成功させる秘訣です。
周囲に切れ目なしで押出し成形したものは必ず円周にシワが生じてしまう。
円周の1箇所にでもちぢれジワか出来たらモノになりません。
この作業はかなりコツがあるので習得には結構失敗を繰り返すはずです。
3線式改造したWM-61A
半田済電極部はエポキシ系接着剤で固定、十分絶縁しておく。
周囲を円形に切り取った絞り済みメッシュでカプセル前面をスッポリ包む。
カプセル収納筒(マイク前面)にメッシュで包まれたカプセルを収納する。
編のワイアーがはみ出ないように丁寧にメッシュを押し込む。
このときマイクカプセルが正面を向くように、フロントのメッシュ盛り上がりが美しく先端が整っていること。
コツがあるけどやるつもりになればできる。
位置は決まり、形が整ったら裏側(リード線側)からエポキシ接着剤をカプセルとメッシュが固定出来るよう爪楊枝など使って綺麗に流し込む。
出来あがったものは
・カプセルGNDとメッシュ、そして金属ケースがすべて電気的に一体化され、怪しいハイインピーダンスな「浮き金属」や部分露出などのない完全な「ファラデーシールド」を構成させています。このため内部のカプセル周辺では外部電界から一切の誘導(ノイズ)を受け付けません」。
fetⅡ にフロントメッシュ追加完成!
メッシュは「カチッ」と固定できています。
いろいろ応用できる
追記. メッシュ材について (SU=ステンレス)
SU 100メッシュ は「見た目」と「音への影響」を最大限考慮した選択です。 直火であぶれば「黒色化」・・・(ステンレスの黒染め)も可能です。
・ 10メッシュ~200メッシュまで市販されています。
・ 荒いメッシュは加工しやすいですがfetⅡのような超小型マイクには見た目がアンバランスです、200メッシュクラスは美しいですが加工しにくく音への影響が無視できません。
・ 他に銅メッシュ、真鍮メッシュがあり、銅色、真鍮色などがデザインでき加工し易いですが30メッシュが限界のようです。
思ったことは必ず叶うんですね
やるか やらないか
ただそれだけじゃないのかなー
以上
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fetⅡ、fet(Ⅱi、fet3 、fet Vなど、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (希少となったWM-61Aとオリジナル・パーツで製作)
(Shinの「ファンタム式パナ改マイク」は従来通りPanasonic WM-61A使用です)
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