リボンマイクが見直されて、
そのブームが始まったのはいつのことだっただろうか・・・
それはどうも「ネオジウム磁石」の登場・普及と一致しているようだ。
★ (ネオジウム磁石:1982年日本で発明、1985年量産開始そして普及へ)
これにより従来の構造にみられた鋳物や鉄の塊の大きな磁気回路は消え、代わりにネオジウム磁石を向かい合わせただけの単純な磁気回路に変化した、もはや「磁気回路」とは呼べないかも。
【温故知新】
新しいテクノロジー採用にあたっては鉄則がある。
「関連する旧技術」には意外な秘密があるものだ、軽んずることなかれ。
(新・旧リボンマイク 磁気回路のちがい)
リボンマイクは元々音響変換器としては単純な構造なのでネオジウム磁石採用による磁気回路のさらなる単純化により雨後のタケノコのように各社から新しいリボンマイクが発表され、世に送り出されている。
と言うわけで今度はオールド・リボンマイクである東芝Bベロ(OB-1161A)及びRCA 77DXを比較対象にした。
東芝Bベロ(OB-1161A)=BTS呼称 RB-1
(東芝がリボンマイクのメンテを含めたマイク事業終了時に純正リボン交換をおこなった現存する最も良好な個体であろう)
RCA 77DX (両指向性にセット)
昨年、数10年ぶりに蘇生し、リボンコンデション調整済
【ニュー・リボン型、高域改善の試み】
ニューリボンでは国産・海外問わずオールド・リボンで常識的であった「高域反射構造」が省略されていることが大変気になり、これを復活させてみた。
(高域反射板を取り付けて特性比較したマイク)
・ MXL R144
・ 自作リボンマイク(音創り研究会 DMR-02試作品をエンボス・リボン化した)
・ ALPHA-MODE Stellar RM-5
(オールド・リボンマイクの音響構造例 〈高域補償部〉 )
(ニュー・リボンマイクの音響構造の例)
(紙製の高域反射板を取り付けたニュー・リボンマイク)
左からAlpha-mode Steller RM-5、中央:MXL R144、右:音創り研究会DMR-02試作品モーター部(マイクユニット)のリボンを「エンボス」構造にアレンジしてケースに納めた自作マイク
※いずれもメッシュスクリーンを取り付けて試験をおこなった。
改善結果は上のグラフで示す通りです。
(試験用SPが小口径の為150HZ以下は無視願います)
【考察】
・高域補償構造はオールド・リボンマイクに装備されてきたがニュー・リボンマイクでは海外製・国産ともにその例が見られなくなった。
・ニュー・リボンマイクに「高域反射板」を装備してみると上のグラフのようにきわめて自然性を伴って高域補償できることが判明した。
・追加した高域反射板はケント紙を切ったもの、大きさは筐体に入るサイズ、反射板角度は90度、サイズ及び角度はさらに詰める必要あり。
・改善は歴然としている、メーカーはなぜこれをやめてしまったのだろうか。
【番外のひとこと】
リボンマイクはなぜか「重量」の重いほうがイイ音に感ずる。
気のせいだろうか、いや本質的な問題がまだある・・・・
以上
(お知らせ)
fetⅡ、fetⅡi、fet3など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問いあわせください (希少となったWM-61Aとオリジナル・パーツで製作)
(Shinの「ファンタム式パナ改マイク」は従来通りPanasonic WM-61A使用です)
モノ作り日本もっと元気出せ!
【おことわり】
★ここで公開している回路・写真・説明文などは音響家の方、アマチュアの方でハンドメイドまたは試験評価なさる場合の参考として考えております。
★製作物・加工物の性能・機能・安全性などはあくまでも製作される方の責任に帰し、当方(Shin)ではその一切を負いかねます。
★第三者に対する販売等の営利目的としてこのサイトの記事を窃用する事は堅くお断り致します。
★情報はどんどん発信していきます。ご覧いただき、アレンジも良し、パクリも結構です、Shinさん独特のこだわりと非常識を以て音響の世界を刺激してまいります。
ShinさんのPA工作室 管理人
ご意見やご質問はこちらから宜しくお願いいたします
メールはこちらから sound_ai@xk9.so-net.ne.jp