ことしもまたこの季節を迎えました。
Shinにとってかつては経験したことのないほど盛りだくさんの1年でした、それはまるで盆と正月とGWが何回も来たような。
正月明け、これはもう運命的としか言いようのない新事実に遭遇しました。AMAZONに、あまりにも激安な・外観も安っぽい中国製サイドアドレスコンデン
サマイクがありました、2,380円也。
期待などするはずがありません、試しに入手したことからすべては始まりました。
これは「AMAZONの激安コンデンサマイクの高級化改造」 として想像を超える大ヒットを経験することとなり、専門誌(MJ)でも取り上げられる大きな話題となりました。
https://www.youtube.com/watch?v=xWYjaKBuzXI&t=7s
「改造結果が素晴らしい」と40通を超える驚きのご報告と「お礼」メールを皆様からいただきました。
また、アマチュア無線では(Shin改造)として大ブレークを経て、もはやメジャーマイクとして定着したようです。
(この記事を書いている今、なんとスペイン語圏の海外からコメントのメールが!)
中華製カプセル(ECM及びDCバイアス型ともに)のグレードの高さに驚いた。
その一方「改善」という自浄作用がどこにもなく、総合的な「製品品質」はあてにならないことも確認した。
この問題を許容すれば「粗悪品」と呼ばれる「問題のある高性能製品」が桁違いに安く手に入る、というきわめて奇妙な構図になっていることがわかる。
OEM先の指導のはいらない現地生産品はおむね顧客に直接届けられる品質ではない。
一旦、世界レベルの製品が生産されるとそこではコピー品も同時に生まれる構造。
これは国策的方向であり世界のモノづくりのあり方をもう一度見直す時期にあることを痛切に感じた。
しかし、なにはともあれ中華激安マイクは改造でとんでもない傑作になりうることは間違いない。
粗悪品からお宝を生み出す錬金術は本当にあったのだ。
MEMSマイクの将来を垣間見た。
何よりのハードル的課題は単一指向性型と低域レスポンス向上に尽きます。
48Vファンタム動作のマイクには48V以下の低い電圧しか加わっていない。ここを勘違いするとファンタム動作そのものを見誤ります。
卓、マイクプリ、レコーダーから仮に48V供給してもこの電源、内部抵抗は1/2×6.8kΩ つまり3.4kΩだ、オームの法則によりパラレルに接続するマイクによって降圧され、実際には10数V程度~42V程度の間で使用される宿命にある。
それでも与えられた電源条件で最高の収音と伝送を約束するのが腕の見せどころです。
間違っても「プリアンプの理想形」などにこだわれば挑むほど「可能なことでも不可能に導く」ブラックホールに吸い込まれていく。
圧倒的に不利な「ファンタム電源」を唯一電源にして、その同じ場所に向けて最高の音声を送り込むアクロバット技こそがファンタム電源方式の妙味なのです。
ツェナーダイオードについてはかねてより使用を避けてきましたが今回の中華激安マイク最大の恥部はここにあったことを見てもその猛毒性はアナログ回路にはなじまないデバイスであることを再び証明してくれた。
諫早(イサハヤ)電子という救世主が「ないものねだり」だった2SK330の完全代替え版を国内生産、デビューさせてくれました。
これは2SK330と同一形状かつ差し替え使用可能なことが判明した、それが2SK2880です。
ECM(エレクトレットコンデンサマイク)は安物コンデンサマイクなのか。
http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12126769930.html
ECM(エレクトレットコンデンサマイク)は地位の低い「簡易コンデンサマイク」だという「常識」がまかり通っており、一部には「ECMアレルギー」すら存在する。
実態はまったく異なり、バックエレクトレット型になってからはDCバイアス型と変わらないパフォーマンスを得るようになり、高音圧特性などそれをはるかに上回るファクターまで備えているのが事実です。
しかしこれは口径によるECMとDCバイアス型の棲み分けがあるために発生した誤解が常識化した「風評被害」以外の何者でもないことを学びました。
DCバイアス型は大口径指向性型に使われ、ECMは小口径無指向性が多く大量生産可能な為、この点から圧倒的に安い、これが「ECM安物論」として常識化したにすぎません。
私がデンマークの定番某超高級マイクがECMであることを明かすと、かなり強い反発がありました。
この場合、メーカーは「ECMの安物常識」=風評を非常に嫌い、エレクトレット電荷方式(ECM)に対する呼び方のみ変えて煙に巻いてきたがその実態はほとんど知られず、一般にはメーカー名だけでDCバイアス型コンデンサマイクだと現在でも多くのユーザー自身が信じ込んでいる。
常識にはいつも思い込みと誤りが潜んでいるものだ。
「RCA-77DX」といえばリボンマイクの金字塔、ジャンクとはいえ磨けば名機。それがShinのところにやって来た。
あの大きな図体ながら肝心なリボン部は20mmX1.5mm、ここを制覇すればあのヤンキーな77DXの元気な音に出会える・・・・と
夢中で蘇生に取り組んだ、4月から1か月半、別モデルでリボン張り練習ばかり。
幅3mm、2mmと狭く短くして1.5mm、コルゲーション付けも良し・・・・・
こうなったら度胸しかない、6月に入っていよいよ77DXで・・・一気にやり終えるしかない、モニターで探り当て「ここぞ」というところでリボン固定、結局リボン交換はせず、かくして完全復活を見たのです。
大口径カプセルは自作マイクファンなら垂涎のまと、1インチ径の単一指向性カプセル(大口径カプセル)入手に道を開くことに成功しました。
海外ではあたりまえの事ですが日本ではおそらくはじめての出来事でしょう、「ほしい方には簡単に手に入る」という程度ですが、十分お役にたてると信じています。
LEDもまたすさまじいノイズ源だった。
そのツェナー効果は知られていたがLEDの色によってその電圧は異なる、赤色は1.7V、このノイズがまた凄い!。
これもまたブリーダー抵抗に置き換えてベリンガーC-1の「サー」ノイズ撃退に至る。
自分の声でマイク評価する合理性。
マイクロホンの性能のほとんど、そしてクセや音源親和性に至るまで大変良く判断できるのが「自分の声」。
これには強い異論があることは承知していますが、過去よりこの方法でマイクロホン開発もチューニング改造もやっていますが、現場の結果と完全一致してする為、自信を持って「マイボイス・リアルタイムモニター」をおすすめするわけです。
ほんとうに「自分の声」ほどあてにならないものはないでしょうか。確かめたことはありますか。
所属する「音創り研究会」の開発する「リボンマイクキット」の最終音決めを行いました。
もちろん音決めは「マイボイス・リアルタイムモニター」によります。
それにより6月に行われた津軽三味線のマイク鳴き合わせPAテストにおいてU-87と甲乙付けがたい結果となり、理想のリボンマイクキットとして好評です。
KORG社が現代に登場させた新しい時代の真空管「NUTUBE」、これには惹かれるものがあり、真空管マイク目指して取り組みはじめました。
K87カプセル互換品(成極電圧200Vもの)を手にして・・・
問題はA電源をファンタムから生成するアイデアがうかばない。
48V前後から200Vを生成する方法が浮かばない。ファンタムからは僅かな電流しか取り出せないからであります。これは引き続きの課題
リボンマイクのリボンはヒダ形状によって切る磁束本数を増やすと同時に形状の保持に役立っています。
これに対し、Shinの案は「エンボス・リボン」、これは無数の凸凹により、疑似ハニカム構造を得ています、このため圧倒的強度を誇り、実際の振動・輸送・衝撃試験にもビクともしない頑丈なリボンの実現を見ました。
AIWA VM-15残骸を使い音質・感度はコルゲーションタイプと完全に同一。
isk 社という聞いたことのない中国メーカーのDCバイアスコンデンサマイクが凄い!、BM-600。聴いた音に「あっ」と思った。しかし逆相、というより「3番HOT」と呼ぶべきか、それを直したり、搭載トランスの半田不良は直すと本性を表した。
34mmの大口径、これが凄い、国産超高級マイクを凌ぎ、某ドイツ製に負けないその音には驚くしかない。
BM-600はディスコンになったようですが、機種を変えてこの良さは引き継がれています。
この会社の大口径マイクはいずれも使ってみたいものばかりだ。
なんとOEMと思われる日本メーカー製品もこの通り。
http://www.micsdirect.com/isk_t3000.htm (iskオリジナル品)
http://inmusicbrands.jp/marantz_pro/mpm-3000/ (OEMと思われる日本メーカー製品)
知る人ぞ知るこのメーカーの位置づけはさらに高く国際的なものになるでしょう。
まだまだマイクロホンは発達する。
まさに発達途上の音声デバイスです。
それではみなさま良い年をお迎えください。
2016.12.15 ShinさんのPA工作室 Shin
(お知らせ)
fetⅡ、fetⅡi、fet3など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (オリジナル・パーツで製作)
(Shinの「ファンタム式パナ改マイク」は従来通りPanasonic WM-61A使用です)
モノ作り日本もっと元気出せ!
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ShinさんのPA工作室 管理人
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