1519 :リボンマイクの自作に挑戦(前篇) | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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  エッ、Shinさんがリボンマイクとは意外な・・・

リボンマイクはマイクロホンの中で最もシンプルな構造をした見た通りの動作をします。



(Shinさんリボンマイク第1号)

 

YUTUBEで試聴できます。

https://www.youtube.com/watch?v=msQVsJ9AjOA

 

 

リボンマイクは向い合せた磁極の間を飛ぶ磁束を切るように導体を動かすとフレミングの右手の法則の通り電流が流れる小さな発電機。

マイクロホンに似合わずこの部分を「モーター」と呼びます。

 

切る磁束の多いほど、運動量の多いほど、導体質量の小さいほど・・・・効率の良い発電機(マイクロホン)になる実に単純明快なトランスデューサです。

 

磁石材料も現在最強の磁石、「ネオジウム・磁石」の登場で「ヨーク」無しで磁極間十分な磁束を飛ばすことが出来るようになり、かつて磁気回路の塊のような大きく重いリボンマイクが劇的に軽く、シンプルなモーター部(磁気回路・振動リボンによる発電部)が成り立ちました。

 

この「モーター」部(リボンマイクユニット)をいかにまとめ上げるかを材料(ネオジウム棒磁石、銀箔など)を前に考え込んでいた矢先、アマチュア無線分野の賢人たちが僅かながら「材料キット」として領布されてることが判明。

http://www16.plala.or.jp/ja1bbp/index.html

 

国内でのキット販売はまず例はなく、入手できればラッキーです。

ex.JA1SLXとして事情をお話しして入手したものが下写真の一式です。

≪厳選された材料キット≫

(マニュアル一式をおさめたCD-ROMにはノウハウが満載、エンジニアリング・プラスチック(POM=ジュラコン)を特別加工されたモーター枠とRCAのコピーとされるEDCOR社のトランスだけでもかなり高価です。
 


完成した「モーター」部

リボンモーターアッセンブリー(上)と リボンマイクトランス(EDCOR社のRMX-1)・・・RCA採用品を模して設計された高品質のトランス。

 EDCORのトランスは世界中に愛好者がいます。

 

 世界一強力なネオジウム磁石を使うもリボン両端に発生する電圧は「nV」(ナノボルト)、したがってトランスは1:37という高巻き数比のものになっています。

 

上記のリボンはキットに採用されている4ミクロン厚の銀箔にひだ加工したものです。

 

やはり高域不足、感度不足は否めず、何とかしようと極薄アルミ箔探しを行いました、しかし調べるほどに国内調達は不可能と判断。

そんなときこのユニットを開発された方に相談したところ快く1.8ミクロンのアルミ箔を譲ってくださった。これこそRCAの時代からのリボン厚です。

(私のわがままにご対応くださったHさん、重ねてお礼申し上げます)

 

USA製の「MADE IN JAPAN」、きっと京都か金沢で金箔製造工程で製造されたものに違いない、だろうと思っています。

厚さはリボンマイク一般に用いられる1.8ミクロン

 

双葉 ミクロン:1ミクロン(1μ)は1000分の1mm。

キッチン用アルミホイルは10~11μ(100分の1mm位)です、これでもマイクにはぶ厚い!。

 

ここまで質量が小さいと触っても手に残る感触はない、それでも何でも工作するんです。

 

双葉リボンは銀とアルミとでは単純に5~6dBアルミのほうが感度が高い。

(単位質量あたりの導電率がもっとも高い為、たとえば超高電圧送電線もアルミ製の導体を採用しているほどです)

 

発電効率のUPと音質改善を果たす「コルゲーション」加工をおこないます。



これはリボンの長さ方向に直角なほど、またヒダ(コルゲーション)は深いほど発電効率は高い(感度が高い)

 

 

かくしてここまで来た。

ヒダ(コルゲーション)加工した1.8ミクロン(556分の1ミリ)厚、長さ40mm、幅6mmという微妙なこのアルミ箔に適度なテンションを加えながら適正位置で折り曲げて半固定。

張りのゆるい場合高域がなまり、適度に張るとフラットに。しかし僅かなテンション過多でリボンはあっけなくちぎれます。

 



モーター部組みあがり、次にリボン・テンションとギャップ調整をおこないます。


磁極とリボンとのギャップは0.1mmになるよう4箇所のネジで調整。

 対向する磁極がS-Nの関係であるため強烈に引き合います。

したがってリボンと磁極の平行度さえ正確ならヘッドホンでモニターしながら進めれば0.1mmのギャップ調整は簡単に済みます。

 

ネオジウム磁石のその力たるや平行に張りついた場合、そのままでは手で剥がすことは不可能なほど強力、それが3,000ガウスのマグネットの実力。

 

かくして完成 させました。



スタンド・シャフトは切れギレに見えるかな、

スマホホルダーが良く見えています。

 

「音」

 私の場合、リファレンスマイクとして「東芝Bベロ」を使用し、音質はこれに合わせて必要な構造物もこれにならった。

 

 また、高域にエネルギーのない好ましくない音の「安価リボンマイク」も参考にした。

 

 結果Bベロで採用されている4つの高域制御板を設けたことでワイドレンジ化し、Bベロに非常に似通った音色と遠近感を引きだしてくれました。

 安価なリボンマイクにある「ドロン」としたコモリはまったく感じません。

 

☆いずれもリボンのコンデションは確認済みです。


 

 

【今回の影の功労者】


・スマホ自撮り用ホルダー(左)  

・Roland OP-MAS1 :機器側カメラネジ、スタンド側W3/8メス

(カメラ用自由雲台のため首は360度回り、角度自在)



 

今回の経験をもとにぜひこの路線を発展させたいと思います。

①ヨーク構造など磁気回路の再考

②リボン長、コルゲーション構造の見直し

③アクティブ・リボンマイク

④軸方向単一指向性マイク

⑤他形式マイクロホンと複合させた可変指向性マイク

 

 

           後編に続く

 

 

 

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