EMC(電磁環境両立性)問題はデジタル分野の恥部として「原因不明」の闇の中に放り込まれ、ヒタ隠しにされてきた時代があります。
どこのメーカーでも「基板交換で様子見」、また同じ誤動作になすすべナシ・・・の連続。
私自身、こんな発展途上のIT業界で火消し役とひと足先の研究・対策に追われる事を余儀なくされた経験を持ちます。
やむにやまれない試行錯誤の中で当時の研究機関を巻き込んで実践の中で理論の検証と誤り技術そのものの書き換えを行ってきた経緯があります。
正体は主に最新デジタル技術とは縁もゆかりもない「超アナログ」の無線技術に属する瑕疵でありました。
具体的には「静電気放電耐力」と「インパルス・ノイズ(コモンモード)耐力」にありました。
この事を重大認識したメーカーには手を貸しました。しかし、「知らぬ存ぜぬ」を決め込むメーカーの製品は次第に市場を失い、当然の事ですが企業の淘汰が進みました。
つまりEMC問題を正面からとらえる事なく「生き残る」事は不可能でした。
アナログ分野は古くからの良質なセオリーが支配的である事に加えて「論理反転」に類する現象は存在しない為、デジタルのような行き当たりバッタリのノイズ対策は少ないためこの生き残り戦争にはあまり関係なく居られました。。
一方、
マイクロホンではハンドメイドの世界にとどまらず、国産からヨーロッパの著名メーカーに至るまで現在進行形で問題を起こしている事に今更ながら驚かされるとともに、このプロセスと対策の分かりずらさ、そして根深さをあらためて感じます。
いずれも、わずかな手抜き・手落ちが残念な結果となっているのを見るとマイクロホン出力が電気信号であるかぎり、永遠にこの問題から逃れる事は出来ないようです。
しかも接地間電位差問題や静電シールドに関わる誤解も加わり、この問題を正しく処理できる例は案外少ない。
実はECMにおいて特に説明しずらいのは、1からマイクロホンを製作する場合、カプセル周辺の処理とそれに伴う材料、そしてGND処理を含めた設計。
しかしノイズ・レス設計のキモはこの点にこそあるのです。
どれだけお役に立てるか、まったく未知数ですがこれを無視してマイクロホンのまともなクラフトは不可能です。
UEM10、13、16、20 などFET外付型カプセルを扱うにあたってこれらの点で100円ECM とはケタ違いの難しさを克服する必要があります。
(UEM10~20(FETなしバックエレクトレットカプセル)の裏・表)
(写真1)
(写真2)
「ハムが多いカプセルだ」 と思ったら、それは使い方が間違いなのです。
それぞれのカプセルは優秀です。
上記(図-1)のECMでの説明文のみを抜き出しました。
これはかつてShinがデジタル機器のEMC対策の中で経験してきた事ですが、マイクロホンというアナログ畑では形を変えて襲ってくるものであります。
(以下自身の経験によります)
①商用50/60HZ電場・電界内の金属・導体にはその誘起電圧が発生する。
②非接地金属は面積・体積に応じたコンデンサとして作用し、電荷を保ったまま他の金属・導体との間で相互に作用しあう。
③非接地金属は大地間、高抵抗・高インピーダンスであり、あらゆる誘起・帯電により障害化する。
④大地間容量の小さい分散金属は、機器最大金属にGND集結させる。
この場合「多点接地」が基本となり、最大金属は「大地アース」に等価 と
みなす。
この場合FGは「多点接地」、SGは「一点接地」、これは大変誤解が多いのでウノミにせず原理原則で考えてください。
【PS付け足し】
・あらゆるエネルギーは大地(地球)から発し、同一のエネルギーを以て地球に帰る回路上で起こるべくして起こる事象。
・エネルギー不滅の法則の中で、その実態の変化・変質がイタズラを起こす。
(Shin)
次回記事をおたのしみに
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