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2024年1月追記
【前編より 】
前編でご説明した通り無指向性のマイクロホンクラフトと比較し、かなり神経質な一面とも付き合いながら一筋縄ではいかないのが「単一指向性」マイクの特徴です。
「なりゆき」では完成しないが、作り手の意思を強く反映した音造りできる点が「単一指向性マイククラフト」の醍醐味です。
<単一指向性コンデンサ(ECM)マイクのツボを図解>
上図ではShinのfet-u1の構造そのものを例にしています。
記事:http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-10638604587.html
この中からもずいぶん多くの「ツボ」が見えると思います。
下の写真はこのマイクのケース加工の様子です
(ケース加工の様子です)
いやはや、水道管部品とはいえXLRコネクタにこれほど「ドンピシャ」に勘合できる材料ってそんなにあるわけではありません、この場合も長さが5cmあったら「ロウ付け」などいらないので焼き付け塗装に対してもっと自由になるのですが。
【電気的なツボ】
回路的に大きな違いはないが
①近接効果・吹かれをどう扱うかによりカップリングコンデンサの容量に注目し、150HZあるいは75HZ付近よりローカットする。
②手を抜くと「ハムる」
何と言ってもケースを含む「静電シールド構造及び金属部品との関係」に尽きます。
上図をよく見ていただきたいのですが「同一筐体にある金属は分散せず一体化させる」というEMC技術 のイロハに従い「筐体GNDとの等電位化」を意識的に行っています。
マイクに手を近づけたら・・・ または反対に手を離したら「ブーン」というハム音が・・・、そういう自作マイクはこの急所が押さえられていません。
(アルミは半田付けできないし、ココを制するのは知恵を搾り出すしかないのです、どうか頑張ってください)
【音響的・機械的なツボ】
(吹かれ・風雑音)
無指向性比:10~14dB大きい (風防構造は必須である)
これを制するには電気的機械的2つの手法がある。
UEB5361 や5261を入手して まず出くわします。
驚いて諦めてしまう前にWM-61Aとは決定的に異なるこのハードルを越えてこそ素晴らしい音が手に入る事をShinの経験からも強く申し上げます
また単一指向性マイクは速度成分取り込み孔も吹かれるという事をお忘れなく。
(振動・手摺雑音)
無指向性比:10~14dB大きい (カプセルのフローティング構造は必須)
これが不完全だと手持ちで使えないことはおろかスタンド鳴きや妙なカラーレーション、クリップオンマイクでは「アーム鳴き」など、予期しない異音に悩まされる。
マイクロホンのマウント技術の範囲で振動雑音対策が完結していない場合に起こり
有名な「クラシックプロのCM5」 がそれにあたる。(ATの安価ダイナミック型などはこれよりさらにダメだ)
(近接効果)
「近接効果」を生かす・殺すは使い手の意思次第だが、「どの程度の近接使用」が適切かはマイクロホン設計者は必ず意識してカプセル作りをしている。
但し同じ単一指向性でも
アキバで拾った
このカプセルのように近接バリバリの「ベタオン」を前提にしたボーカル向きカプセルや、UEB-5361・5261のように近接でも一定距離以上で良い結果を示すカプセルとがある。
この性質の違い・使い道を理解せず逆使用するとどちらも確実に「ダメマイク」となる。
【わすれがちなツボ】(ケーブル材の選択)
ケーブル材選択で見落としやすい、しかし「肝心」なことが2つある。
LC-OFCがどうだという訳でもなく銀半田にこだわる前にこれだ!
(1)
1つ目はケーブルに触ったり、曲げたり引っ張ったりすると「ピチピチッ」などとノイズが出て踏んづけたりすると「バツッ」となる実にいやなやつです。
セパレーツ構造でない限り普通L-4E6Sが用いられますので心配ありませんが、BLMやセパレーツ形状では細ケーブルの使用が必須であり、ここのケーブル材質が問題になります。
原因はケーブルの外皮又は芯線外皮(誘電体)とシールド線や芯線との間で「急な電荷の移動」を起こすことにより、まるで「コンデンサマイク」のように動作してしまう、これが「誘電体雑音」です。
この対策はただ1つ、出所のハッキリした信頼できるケーブルを使うことです。
Shinさん御用達のモガミの3031は100円/m程度の細ケーブルですがこの心配は皆無で信頼できます。
(2)
2つ目、細ケーブルの「しなやかさ」はピンマイク形状やバウンダリーでは「命」だといえる。
モガミ3031はこの点にも十分答えてくれている。
ベルデンを使わない理由は単純に「硬いから」だ。
いかがでしたか、早々簡単にはいかないことがご理解いただけたでしょうか、しかしこれらのツボを押さえることにより「単一指向性コンデンサマイク(ECM)のクラフトは必ずうまくいくことがご理解いただけたと思います。
2回にわたり単一指向性コンデンサ(ECM)マイクの自作のツボを書き連ねましたがどうか皆様のマイクロホンクラフトのご参考となれば幸いです。
また誤りやお気付きの点などありましたらご意見をくださるようお願いいたします。
(Shin)
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