0914: BOSE-101用ワンタッチ着脱式PA機(デジタルAMPが決め手) | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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この記事は公開から14年以上経過している事をご理解下さい。 2024年1月追記

 

BOSE-101をベースにした自作ミニPAを過去3年間使ってきました。

マイク音質の不満を解消すべく作り直しを行いましたので、今回そのリメイク記録と併せて本機の紹介をさせていただきます。

 

      ※写真はすべてクリックすると拡大します

 

1983年 新発売と同時に入手して26年間ノートラブルの BOSE-101MM

 

101の衝撃的な発表以来、過去各メーカからこぞって101そっくりさんが生み出されて来た経緯がありますが、絶対にマネの出来ない秘密が有る為、いずれも似て非なる「ミニSP」の域を出ず、現行モデルを含め「101そっくりさん」で成功した例はまったくありません。(JBLは2Wey)

それらを見ると、本気で2匹目のドジョウを狙ったとは思えないモノばかり・・・・・それもそのはず、101は設計思想が従来型SPの延長線上には見当たらないのです。

「101を笑う物は101にあっさりと裏切られます」 このちいさなスピーカ独特のノウハウと途方もない実力は常識では語れない小さな巨人といえる。

この101にAMPを仕込んで、単なるパワードSPを越えるPA機にしてみたい・・・という私の漠然とした想いが当初からありました、それがふとしたきっかけが後押しとなり実現しました。

 

3年前、あるイベントの練習で体育館にラジカセを持ち込んでダンス振り付け練習をしているグループがあました。

普通の人なら誰でもやりそうなシチュエーションだが、いくらなんでも1.5W×2のラジカセはキビシイ・・・

 

そんな時、「BOSEの拡声器・・・BOSE-101MXP」という絵に描いたようなドンピシャ製品が、かつて存在した事を知った。    (下写真)

「やっぱり考えていたんだなー」と妙に納得した。

 

「これです」


ShinさんのいたずらPA工作室
 BOSE-101MXP

 

 

 

BOSE-101MXPの主な仕様※2003年BOSEの発表による 

  • 出力:11W 4Ω THD 1%MONO 
  • 歪率:0.15%以下(4Ω 10W時) 
  • インピーダンス:
  • 入力端子:RCAモノラル×2、標準MIC×1
  • ワイヤレスマイク受信:ロッドアンテナ 
  • コントロール:マスターボリューム(電源SW付)、ラインレベルボリューム、WIRELESS MICボリューム、WIRED MICボリューム 
  • ユニット 11.5cmフルレンジ×1
  • 外形寸法:232×204×206mm(上部ハンドル含む) 
  • 質量:3.0kg1本) 

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よし、 同じ物を作るぞ と、すぐ取り掛かった。

 

まず、ベースとなるのは力のある超小型パワーAMPです。

そしてSPとのワンタッチ一体化構造、この2点が重要課題です。

また、BOSE デザインを踏襲し、合体時のフィット感に注力した。
 

ならデジタルAMP だ!・・・トライパス社のデジタル・パワーAMP-IC(TA-2020)を使った「カマデン」のステレオAMP(RSDA-202)に目をつけた。

20W at 4Ωというそこそこのパワー・小ささ・軽さ・圧倒的な高効率などを考え、電池運用を含め最も適したパワーAMPだと思いました。

 

中身だけを取り出し、ディスクリート回路で作ったマイクAMPを内蔵させてBOSE-101一体型PA機として結構重宝に使って来ました。

驚くことに電源効率は90%、このD-ClassのAMPはパワーICも放熱板なしで全く問題ナシ!・・・・

フルパワーで2時間使用の後でもホンノリ暖かい程度・・・これは感動モノです。

 

今までのBOSE1702、1705とは一味違い、徹底的に軽く(600g)、ワンタッチ装着式。

 

パワーは電源電圧13.5Vで10W強(at6Ω)、SP 2本パラ(3Ω)にしようが、空きのB-chから出そうが全く問題なく使え、左右で20W以上出る。

欲を言えばキリがないがこの程度でも一応?体育館を鳴り響かせるパワーとなりました。

 

※出力はACアダプタの電圧に依拠する部分が多く、15Vのアダプタを接続すると、片ch17W at 6Ωは確認出来た、やはりこの位出てくれると結構重宝ですね。

 

この時製作したディスクリートのマイクAMP部ピークマージン不足の為、機会を見てリメイクしたいと思っていました。

 

 

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【リメイク記録】

※前提条件・・・SPに対して対してはいっさい加工・改造を行わない


ShinさんのいたずらPA工作室  

これがShinさんの「BOSE-101一体型ミニPA機」のリメイク後。 

オリジナルとは少し違うけど何かスッキリしていませんか。

スペックはオリジナルより全て上位にした(ワイヤレス機能はない)

 

ステレオパワーAMPの片側使用ではもったいない、超簡易PAでなければSPは2ケ使いたい。

 


ShinさんのいたずらPA工作室

BOSE-101MMGにセットした本機

 

※実はこの101は1983年、新発売と同時に購入したもの。初期版はフロント面が黒いスポンジ製だった為、10年程でボロボロに崩れてきた。

代替に101MMGのグリルを取り寄せ、使い続けているのがこれ、26年間現役です。

裏面の銘版をはがすとXLRコネクタ用の穴(ネジ穴まであった)があったのでXLR-3-32Cを取り付けた。

裏のBOSEロゴはケース同色の黒で凸になっているだけなどで、白ペイントで塗り込んだらイメージが変わった。



 

本機の着脱構造 (着脱はワンタッチ)               
ShinさんのいたずらPA工作室 2009.11.1の記事で改善  ←クリック
BTL構成のAMPである為、Phoneプラグのスリーブ側がケースと接触しないよう、プラスチックの台座にPhoneプラグをケースから絶縁固定してある(左側)


XLRコネクタでの着脱も考えたが、よいアイデアが浮かばず断念。

PHONE形状にした結果非常に汎用性のあることがわかった。

 

101だけでなく、どんなSPとでもPHONEプラグ接続のみでACさえあれば、「とりあえず」のマイク放送が可能・・・っていろいろな場でお助けPA機としても・・・・

 

【マイクAMP部の製作】

今回はマイクAMPをディスクリート回路からOP-AMP化して「ゲイン制御やピークマージン改善を図る」という点に絞ってリメークを行いました。

Power-AMPには手を加えず、マイクAMPを1から作り直した。

 


ShinさんのいたずらPA工作室
「ブレッド・ボード」上で動作テストと回路定数決めを行っているところ

ブレッド・ボード=(パンみたいな板)は半田ナシでC・Rなどの差し替えも簡単に出来て便利です。簡易試作ボードなので、ショートしたり、試作中に結構ICを飛ばしました。

 


ShinさんのいたずらPA工作室

試作回路を基板に載せ替えたばかりの写真
シールド板は、真隣にあるIC(トライパスTA-2022)からの強烈なラジエーション(不要ふく射)の防護

 

 

◎クラシカルテクニック紹介 (シンナーチューブ)※1

ShinさんのいたずらPA工作室

シールド線先端むきだし部分の処理。(現在ではこんな面倒な手法は使われません)

◎高度経済成長時代に電電公社など官公庁(社会インフラ全て)向けに納入した機器で用いた方法。

 

※1・・・・剥いたシールド線外皮を、シンナーにひたすとまもなくフヤけてケーブルと同色・同材の被覆チューブになり、すばやくかぶせる。乾くとカチカチに固まる。

 

◎これでシールド線がどこを這いまわろうが内部回路とショートする事はない(ナニもない頃の知恵)

 覚えておいて損はありません。

 

 シンナーは現在簡単に手に入れることは困難な為、代替できるマニュキアリムーバーです。

(高いものよりも100円ショップのものの方が、よりシンナーに近く結果が良好でした)

 

注)シンナーや類似の溶剤は目に入ると激痛を起こし非常に危険です。




 

〔内部の模様〕

ShinさんのいたずらPA工作室  

              

恥ずかしいほどの裏付部品・・・試作段階できっちり突き詰めたつもりでも、いざ本チャンとなると定数の変更、部品追加、と・・・結局このようになってしまった。

(この状態をプリプロ機にして基板を起こしなおす勇気はありません ^^; )

 

◎緑の大きな基板はカマデンのデジタルパワーAMP(RSDA-202)の中身

 

◎本機の外筐はタカチ電気の金属ケース「CD-180のブラック」・・・これはBOSE-101裏面とほぼ同一サイズになります。

 

 

※操作面のレタリング、シールは前回のモノを全て外したままなので今後デザインしていきます。


ShinさんのいたずらPA工作室

操作面

 



ShinさんのいたずらPA工作室


側面



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本機の全回路図 (拡大してご欄ください)

※バランス入力回路はやや手抜きっぽいですが、きっちりとイケます。

 

※マイクレベルVRが変なところに入っていますが、サチュレーション防止とS/N稼ぎにOP-AMPのゲイン制御によるこの方法は良い結果を得ています。(この場合普通、固定抵抗をパラに入れたりしますが)

 

※SP未接続側のchにも常に信号が入力されていますが、このD-ClassパワーAMPではなんらの問題もありません

 

※デジタルAMPはスイッチング電源がそのままPOWER-AMPに変身したような原理で動作しますので中波のラジオなどを近づけると「キーン」「ジャー」といったスイッチングノイズが入ります(音声が聞こえることは有りません)

 

 

 

【リメイクを終えて】

①基本構造は3年前のままとして、「分解掃除」を兼ねてマイクAMP部をOP-AMP化した。

それによってピークマージンを大きく取れるようになった。

 

②101を使った「ミニPA機」としてはもっと思い切ったローカットなど、限られたパワーの有効利用が必要なのかもしれない・・・様子見とする。

(リメイク前はBASSコントロールのVRを設け対応していた。但しローカットすると大音量時、中域が耳障りとなる)

 

③SP一体機構はPHONEプラグ・ジャック部一箇所のみである為、水平の台に置かない限りクルッと廻ってしまう為、さまざまな一体化を試みるがいまだに決定的な方法が見つからない。

さりとてSPと「パチン錠」などで固定するのはAMPとSPそれぞれの汎用性を失う為本来の趣旨に反する。



◎この着脱機構で良いアイデアがありましたらご連絡いただければ幸いです。 


 

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