「ANTCICADA」馬喰町

 

〜美食としての昆虫食の可能性〜

(2020/10/30)

※感染拡大が懸念されていますので、皆さまもご注意して訪問されてください。

ある日Twitterで気になる投稿があった。その店をGoogle マップにメモしていた。この東京遠征で行きたい店をリストアップしてたときにふと思い出して調べた。

 

 虫料理をゲテモノではなく美食として出すお店。前々から将来三ツ星レストランではジビエの次に将来おいしい未開拓の食材として虫が来るのではないかと考えていた。また昔探偵ナイトスクープで沖縄の人はセミをおやつ代わりに食べていたのを見て興味はあった。しかしちょっと不安だったのでホームページを確認したら、料理人に次の日行く予定だったレフェルヴェソンス出身の方がいてここなら大丈夫だろうと安心して予約した。

 HPを見ると「食は作業ではない、冒険だ!」をテーマにし、日曜お昼にラーメン、金土はコース料理も提供している。

 

 外観はシンプルなロゴのみでオシャレ。建物の扉を開くと、これまたオシャレなオープンキッチンの11人掛けのカウンター。お客さんは今風のカップル、スーツを着たサラリーマン、飲食関係の人、サブカル系の兄ちゃん、田舎から来たらしい素朴な女の子まで見事に客層がバラけている。各世代の好奇心旺盛な人が来てるのだろう。。。俺も含めて笑

 

 

 

 


「スナック」×「コオロギビール」

コオロギの出汁を煮つめたもので作ったチップス。コオロギを醸造に使ったクラフトビール。
かすかに独特の苦味、カニやエビの殻のような風味はあるけど、言われないと気付かないレベル。
正直ゲテモノ料理みたいな感じで行けない出てくるかと思いきや、今風なアミューズで逆に戸惑う笑


 

「穴子、ざざ虫、きゅうり」×「桑の実を発酵した蒸留酒×蚕の糞のスピリッツ×ソーダ割り」

 

穴子と胡瓜とメインの食材はオーソドックスに盛り付けられている。ざざ虫×バターのソースらしく、ざざ虫の姿を探したけどない。もっと虫そのもの姿で来るかと思ってたらけど、ソースならまだ安心。

 

 

 一口食べたらソースがマジで美味い!でも「えっ?たらこソースじゃん。」と思ってしまった。どうやら、このたらこ味がざざむしらしい!ざざ虫はたらこ味だ!いや、タラコよりもっと美味しい!たらこよりもっとコクがあって、生命感がある。第一感はたらこスパゲッティのソースだけど、それ以上にマジで美味い!
 
 びっくりしていると、サービスの方がざざ虫は昔から日本で食べられてきた食材で、漁協で許可証を発行されるほどポピュラーな食材だった説明をしてくれる。美味しさと歴史を知り、舌と頭から虫料理への偏見が崩れていく。。。

 ペアリングの蚕の糞のスピリッツ、というと抵抗はあるけど、蚕は桑の葉のみを食べてるから、分解された桑の葉だと考えればOK。薬草系のリキュールみたいな感じ^_^


「白カジキ×コオロギ醤油」×「柑橘のブランデー」

 

 なんと大豆を使わずコオロギのみで作った醤油。魚醤なんて魚から醤油を使ってるから可能なんだろうな。食べてみると全く臭みがなく、旨味のある醤油として美味しく食べられる。
 レストランがオープンする前から醤油として仕込んでたらしい。思いつきではなく、かなりの準備をしてからお店をオープンしたんだな。凄いな。
 柑橘のブランデーがキュッと締めてくれてワサビ代わりになる^_^

 そしてコオロギ醤油は販売しているらしい。もちろん原材料はコウロギのみ笑

 

 

 

 

(追加:2024/07/13)

 今となっては僕の野食面での大きなターニングポイントとなったアントシカダ。

 この時は特に大きな考えもなく、「単にジビエの次に来る食材として、昆虫が来るんじゃないか!」「安全な食材なら虫も食べてみたい!」という超単純な好奇心で訪問しました笑

 ただいざお店に来ると、ビジネス街の端にある窓もない店舗。スタッフさんも20代の若者たちが、独特の雰囲気で自信満々に準備している。年齢層もバラバラなのに、全員が独特の熱気を持ったゲスト。

 今までのレストラン経験の中でも、全く異なる異様な空気感だったので、「やばいなぁ。東京のアンダーグラウンドなちょっとグレーなお店に来てしまったかもしれない」と、内心ヒヤヒヤしてました。

 

 ただ、ざざむしのお皿を食べたときに、超おいしいタラコ風味のソースに驚き、昆虫食に対する偏見が一気に落ちました。そして、ざざ虫が実は昔から食べられており、日本で採集免許もあるくらいのしっかりした伝統食だったと言う説明に、さらに自分の常識がボロボロと崩れ落ちました。

 今から考えると、白鳥くんの料理スキル、篠原くんのプレゼンテーションの魅せ方の上手さ、両方のコンビネーションが素晴かったですね。

 

続きます!

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