またリブログで手抜き簡易更新です。

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この記事に出てくる「襷(たすき)掛け任意後見

(親が子供の任意後見人になる事)」

について、ちょっと触れたいと思います。

 

多分、一般の方では、「たすき掛け」の

意味が分からないと思います。

 

子供に(特に知的)障害がある場合、

子供が未成年の間は両親が親権者として、

子供の代わりに契約や財産管理ができます。

 

しかし、子供が成人になると、

親権から脱します。

しかし、障害があって引き続き

サポートが必要な場合は、

そのままでは成年後見(法定後見)となります。

 

ただ、この制度、私も何度も書いていますが、

 

誰が後見人になるか分からない

 (家裁に決定権がある)

後見人との人間関係・考え方の違い

・後見制度特有の問題

 (本人の財産を守るのが原則、

  贈与などができない。)

 

みたいな問題があって、使い勝手が悪く、

正直、敬遠されていると

言っても良いでしょう。

 

そこで、成年後も、親が後見人として、

サポートできるよう、任意後見契約を結ぶ

という発想が出てきました。

 

任意後見契約は、後見人になる人を

自由に選べる制度で、良い人が見つかれば、

公証役場で、本人と後見人候補者とが

公正証書で契約を結びます。

(契約を結ぶと、東京法務局で

任意後見の登記もなされます。)

 

ただ、本人がお元気なうちに、

将来の認知症に備えて、

任意後見契約を結ぶなら良いのですが、

障害児の場合、成年になっても

すでに単独で契約ができないので、

本人が未成年のうちに「親権者が代理」して、

この契約を結んでしまおうという

発想が出てきました。

 

で、親でない信頼できる第三者を

後見人候補者とするには問題ありません。

 

しかし、親が成年後もサポートしたいという場合、

親が後見人候補者であり、兼、

本人の親権者であるということになります。

 

そして、どちらの親が先に亡くなるか

分かりませんので、父親・母親それぞれを

後見人候補者とする2つの契約を結びます。

これがたすき掛けのようにも思えるので、

「たすき掛け」任意後見と呼ばれます。

 

ただ、法律の世界では、契約の場合に、

両当事者を兼ねるのはアウトで、

これを利益相反(行為)と言います。

 

例えば、売主が買主代理人を兼ねるとか

原告と被告の双方から依頼を受けて

弁護士が代理人として活動する、

というのはまずいですよね。

 

で、こういう場合は、別の人を立てます。

具体的には、後見人候補者の方は

変えられないので、親権者の方に

臨時的な別の人を立てます。

 

これを特別代理人と言い、

家庭裁判所で選んでもらいます。

 

ただ、両親は2名いるわけで、

それなら、たとえば父親を

後見人候補者とする場合、

親権者としては母親だけが関与すれば

特別代理人みたいな面倒なことを

やらないでも良いのではないか?

という発想が出てきたのです。

 

で、一部の専門職や公証人

(元裁判官や検察官という、

要は法曹資格がある人が多い)

は、これを支持して、

実際に契約も結ばれたようです

 

ところが、親権は元々2名一緒と

いうのが原則で、これはまずい、

やはり特別代理人を立てないと

正しい契約ではない→無効だろう

という批判が起きてきました。

 

そして、公証役場と法務局を所管する

法務省は、ついに(と言っても2年前)

特別代理人必要説を採りました。

 

そして、すでに結ばれた契約も

登記が保留、とされ、

「やり直せるならやり直せ」

「やり直せないものは無効扱い」という

とんでもない話となったのです。

 

(ただ、私の周囲の同業者間では

ほとんど話題になった記憶もないし、

この種の相談も受けたことは無かったです。

まあ、コロナ禍で同業者との会合や、

法律相談も減ったりしましたから……)

 

この辺に詳しく出ています↓。

 

注意!未成年障害者の任意後見契約について

(↑法務省の通達なども出ています。)


「ホリエモンを有罪にした裁判官」も関わった

…「成年後見制度」をめぐる大混乱の全貌

(↑こちらの方が、一般の方には

事実関係が分かりやすいかも。)


(同じ記事)

 

ということで、最初の任意後見の話や

たすき掛けについての説明が

結構長くなりましたが、

参考になれば幸いです。

(手抜きのつもりが、

そうでもなくなりました。)

 

 


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