スマホを見ていたら、

こんな記事が表示されました。

 

職業柄の悲しさで、

こういうのが出ると

ついつい読んでしまいます。

 

なお、3回シリーズでちょっと長いです。

 

【ルポ・遠距離相続の落とし穴】

 

1 移動距離300km…亡くなった親の

銀行口座の凍結解除への長い道のり

 最大の難関は「出生から死亡まで

つながった戸籍謄本」

 

2 相続人が海外在住だと大変なことに

…窓口に本人がいても

「在外公館の署名証明が必要」と

帰国する羽目になった

「ゆうちょ銀行の口座凍結解除」

 

3 義務化された「不動産の

相続登記」を自分でやってみた

 父に続いて母も亡くなり、

父名義のままだった実家の

「数次相続」手続きの苦労

 

まあ長いですが、興味をお持ちの方は

頑張って読んでみて下さい。

 

で、読んでみて、いくつか感じたことや、

気になったところを以下書きます。

 

まず、その1から。

実は葬儀を依頼したのが

JA葬祭というJA系の葬儀社で、

申し込み窓口が同じであるため、

母が死んだという情報が回って、

口座が凍結されてしまっていたのだ。

 

はい、連絡しなくても、

何かで死亡情報を知った場合は

凍結されることがあります。

(特に地方部、地方紙に

訃報が載ることも多いです。)

 

口座が凍結される前にお金を

引き出すと、法に触れるのか。

 

これについては、文中で監修?の

杉谷司法書士が答えている通りかと。

 

つまり、まあ親族仲が良ければ

問題にはならないでしょう。

ただ、不信感があったり揉めたりすると、

使途を追及されたりします。

そうなると、亡くなった人のために

使ったという立証責任は、

基本、使った人にあるので、

請求書や領収証はきちんと保存したり

領収証が取れないものは出納帳なども

用意しておくべきです。

 

実は戸籍法が改正され、今年3月1日から

「戸籍証明の広域交付申請」という

サービスが始まっている。

 

当初ほどのトラブルは無いようですが、

トラブル全面解消とも言えないようで。

https://www.moj.go.jp/MINJI/kosekirenkei.html

でも、基本、これを使うのが良いかと。

 

ただ、「自分の直系は取れる」が、

「配偶者の直系は取れない」という

お役所的な不思議な規制もあり、

子供が無く、親や兄弟が相続人となる場合は、

この方法は使えないのです。

 

で、その2に移ります。

口座凍結解除の最大の山は、

その後に控えていたゆうちょ銀行だった。

 

はい、ここは、他の銀行と違って、

意味不明で実効性の乏しい

細かいことを言ってくることも多く、

たしかに専門職でもかなり

ちょっと苦労することも多いです。

 

(預貯金の相続手続きでは)

なぜ出生から、あるいは婚姻から

死亡までつながっている戸籍謄本などと

いうものが必要になるのか。

口座の名義人が死んだことも、

筆者と姉が子供(相続人)であることも、

そこまで調べなくてもわかるのではないか。

 

よくある質問です(笑)。

これも杉谷さんの解説のとおりかと。

 

外国は戸籍制度が無かったり、

昔はあったけど廃止した国もあったりですが、

そうなるとどうなるか??

 

これらの国は基本は、「出生証明書」

「婚姻証明書」「死亡証明書」

などがありますが、逆に言うと、

亡くなった方の証明書だけでは、

相続人全員を確定できません。

 

そのため、遺言等の制度で

渡す相手を決めておかないと、

裁判所が関与して数年間もかかり、

そして費用も高額な手続きが必要です。

 

よく「戸籍廃止」とおっしゃる方もいますが、

廃止された後、相続等の諸手続きが

どうなるかも、よく考えた方が良いです。

 

海外在住者であれば、現地の日本大使館で

サインと拇印を登録し、「署名証明書」を

発行してもらって、印鑑登録証明書の

代わりに提出せよと言うのである。

 

はい、たしかに海外在住の日本人では

この方法を使います。

 

しかし、日本帰国中なら、委任状なり

遺産分割協議書なりの必要書類に

日本の公証役場で「認証」をもらえば、

印鑑証明書の代わりになるはずです。

 

これは変な話ですが、国内日本人でも

実印や印鑑カードを忘れてきた場合、

取りに行く余裕がない場合でも、

免許証やマイナカードを提示できれば、

この方法を使えます。

(意外と知らない専門職も多い??)

 

ただ「代わりになるはず」と言ったのは、

理由があって、まず、登記ではこの方法は

確立されていますが、ゆうちょ銀行は、

前述のとおり意味不明なことを

かたくなに言うことも多いので、

法理論が絶対通ると言えないのです。

 

(ゆうちょ銀行には店舗が多いとか

ATM時間外手数料が無料とか、

良い点もそれなりにありますので、

全面否定する趣旨ではありません。)

 

それともう1つは、パスポートでは、

現在住所欄は廃止され、

本籍も記載が都道府県までなので、

パスポートを公証役場で提示して、

認証をもらえても、それが戸籍等と

同一人物とみてもらえるか??です。

 

ただ、戸籍(本籍+氏名)と、

登記簿預金口座(住所+名前)を

つなげる正式な書類は

「本籍入り住民票」

(住所+本籍+氏名)ですが、

相続人(生きている人)については、

登記でも預金でも、ここまでは要求しないで

氏名と生年月日の一致でOKとするのが

一般的な扱いです。

(死亡者については、本籍入り

住民票除票が必要なことが多い)

 

であれば、パスポートにも

生年月日の記載はあるので、

認証を受ける書類に生年月日を付記すれば、

「実印+印鑑証明書」と

同一の効力はあるはずです。

 

で、それでも足りないという場合は、

宣誓認証で本籍や現住所を自認すれば

100%と名では申しませんが、

より証明力は高まります。

 

なお、海外在留者の住所証明

(住民票の代わり)は、

「在留証明書」現地の大使館・

領事館等で出してもらいます。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000554.html

実は、印鑑証明書の代わりは

ここに出ている「署名証明書」ですが、

印鑑証明書には住所の記載もあるので、

「署名証明」と「在留証明書」を

セットで取るのが実務の扱いです。

(ここのところで、日本国内で住所の証明が

取れないところはちょっと

ネックではあります……。)

 

要は長くなりましたが、

一旦外国に戻らなくても、

国内でやれる方法があったのではないか?

ということです。

 

今回の記事は、とにかく

このことがネックになっていて、

そのため急ぎモードと

なってしまったわけです。

 

なお、記事中にも

財産分与について記述した

公正証書遺言(遺言者と証人2名が

遺言書をもって公証役場へ出向き、

公証人が確認し、3者が

署名・捺印して作成)を残しておけば、

口座の凍結解除等が簡単に

できるようになるという。

……とある通りで、海外在住者がいる場合は、

遺言作成をした方が良いです。

(なお、「財産分与」は離婚時の

用語なので、正確ではありません。)

※ 前にも書きました↓

 

ということで、その3に続くのですが、

かなり長くなったのでここで一旦切ります。

続きをお楽しみに……。

 

 


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