3回シリーズ記事の続きです。

 

前編:【ルポ・遠距離相続の落とし穴】

義務化された「不動産の相続登記」を

自分でやってみた(その1)

 

 

【ルポ・遠距離相続の落とし穴】

 

1 移動距離300km…亡くなった親の

銀行口座の凍結解除への長い道のり

 最大の難関は「出生から死亡まで

つながった戸籍謄本」

 

2 相続人が海外在住だと大変なことに

…窓口に本人がいても

「在外公館の署名証明が必要」と

帰国する羽目になった

「ゆうちょ銀行の口座凍結解除」

 

3 義務化された「不動産の

相続登記」を自分でやってみた

 父に続いて母も亡くなり、

父名義のままだった実家の

「数次相続」手続きの苦労

 

 

では、続きのその3に。

死んだ母を除外して父から筆者が

不動産を相続する形になるらしい。

 

この考え方はちょっと危険です。

まず、「父死亡時」の相続人は、

母と子供たち、です。

次に「母死亡時」の相続人は子供たちです。

 

つまり、除外ではなく、「父相続人」と

「母相続人」を兼ねる、と考えます。

 

もちろん、大抵の場合は、

同じ子(X,Y)だけになるわけですが、

例えば母が再婚で、

前婚時に父親の違う子Zがいる場合

Zは父の相続人ではありませんが、

母の相続人なので、Zは除外できません。

 

(この場合、配偶者の法定相続分は

1/2なので、母相続時にはそれが3等分され、

1/6(=2/12)ずつとなります。

Zはこれだけですが、他の子X,Yの2名は、

父相続時の1/4ずつの法定相続分があるので、

1/4+1/6=5/12ずつの法定相続分を有します。)

 

実は記事の後の方にも……

具体的には、「被相続人(父)は

何年何月何日に死亡し、

その相続人の一人である○○(母)が

何年何月何日に死亡したので、

それらの相続人である○○(筆者)と

○○(姉)は被相続人の遺産につき

分割することを協議した」と記述する。

……という記載があります。

 

法務省は、申請書を作成して

そのままネット申請できる

「申請用総合ソフト」を無料公開している。

それを使おうと考えていたのだが、

法務局での無料相談では、

「ネット申請はやめたほうがいい」と、

紙で提出することを強く勧められた。

 

この最大の理由は、「訂正」でしょう。

紙であれば、訂正印を押せば不備を直せます。

しかし、オンライン(ネット)申請では、

マイナカード等の電子証明書が必要で、

訂正もネットで電子証明書も使って

やる必要があります。

一般の方だと若干の訂正が出ることが

多いのではないでしょうか

 

さらに、添付書類(戸籍や協議書)は紙なので、

結局郵送か持ち込むしかなく、

それなら申請書を紙にしても、

特に負担が増えるわけではありません。

 

しかし、戸籍謄本にせよ、住民票にせよ、

固定資産評価証明書にせよ、

民間金融機関に提出するなら

仕方がないが、役所でもらった証明書を

また別の役所に提出するという作業には、

何か腑に落ちないものを感じる。

地方と国という違いがあるとはいえ、

申請した時点で、役所からそうした

関連文書をネットで参照できるように

すればいいのではないか。

「そっちでなんとかしろよ」と思う。

 

まあお気持ちは分からなくもありませんし、

そういう方向の改善もなされてきています

(不動産登記申請で会社の登記簿は

付けなくても良くなったなど)、

ただ、それでは、他官庁の情報を簡単に

参照できるようにしちゃってよいのですか?

という話になります。

 

現に、マイナンバー制度はこの趣旨ですが、

「情報の紐づけ」は、「情報漏洩の危険」

である、と訴える人もいます。

 

それに、無料相談もそうですが、

役所の負担を増やせば、人員も必要で、

その費用は税金で賄われています。

 

無料相談の待ち時間を無くして、

法務局がマイナンバーで紐づけされた

住民票や戸籍を、ある意味勝手に順に見ていく、

仮に戸籍を見られても良いとしても、

これを実現するには増員のため増税するか、

他の公的サービスを削減するか、です。

 

今の制度が完ぺきとは申しませんが、

でも、あまりに緩い制度とすれば、

偽物相続人が不動産や預金を

取って行ってしまう可能性もあります!

 

一応制度には、その目的があるわけです。

(戸籍→死亡の事実や相続人の確定、

 印鑑証明書→なりすましの防止、

 評価証明書→公平な税負担、など)

 

この辺を考えないで、批判だけされても

制度改善にはつながらないと思います。

 

最後に、記事中に時々登場する

杉谷範子司法書士さんですが、

実は知っている方です。

と言っても最近はすっかりご無沙汰で。

 

以前のお付き合いの多かった頃は

千葉県でやられていたのですが、

今は東京駅そばで、法人化もされ、

勤務司法書士もいらっしゃり、

TV出演などもされているとのことで、

なんかとても立派になられてます。

もう口を利いてもくれないかも

しれません?……いや、良い方です。)

 

東京方面の方は、こちらに相談されてみても

良いかもしれません。

(遠くて良ければ私でも対応しますが。)

 

実は、こちらの最後の方で紹介している

・『新会社法5つの罠と活用法』(出版文化社・共著)
・『銀行員のための新会社法』(銀行研修社・共著)

は、杉谷さんも共著者なんです。

(本投稿に際して、連絡を取り合ったりも

しておりません。念のため。)

 

ということで、長くなりましたが、おしまい。

 


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