産経新聞の記事です。
「前借り感覚」実態はヤミ金、
年利500%も…被害急増
https://www.sankei.com/west/news/200306/wst2003060007-n1.html
最初に、記事の最後にある
告知を紹介します。
(終了しました)
「大阪クレサラ・貧困被害をなくす会」
(大阪いちょうの会)は、
7日午前10時~午後5時に
弁護士や司法書士による
電話相談会「ファクタリング被害110番」
(06・6361・0546)を実施する。相談無料。
会社員などから将来受け取る給料を
債権として買い取り、給料日前に
事実上、現金を貸し付ける
「給料ファクタリング」の
被害相談が相次いでいる。
⇒ファクタリングという言葉自体、
ご存じない方が多いと思います。
存在はSNSやインターネット掲示板を
中心に広がり、業者側は
「前借り感覚の気軽な資金調達方法」
とアピール。
⇒私は相談を受けたことは
ありませんでしたが、
なんとなく私もネットで
目にしてはいました、
だが法規制がないことを背景に、
多額の手数料を要求される
トラブルも目立つ。
専門家は「実質的なヤミ金だが、
周囲に被害を相談できない
人も多い」としている。
⇒見た目の手数料は数%で
僅かに見えても、給料日前なら、
せいぜい数十日で、利息に換算すると、
非常な高金利であることが多いです。
5万円前借りの手数料3万円
男性が給料日前に受け取って
いたのは約5万円。
2万~3万円が手数料で
差し引かれていた形だ。
金利換算では年率が500%超となり、
利息制限法の上限(最大20%)
を大きく上回っていた。
⇒これほどでなくても、例えば、
借入額の1%の手数料でも
(例えば、5万円なら500円)、
給料日の10日前に借りた場合、
年利に換算すると、
1%×365日÷10日=36.5%で、
上限20%をかなり超過しています。
そもそも労働基準法は、
給料は労働者への直接払いが原則で、
「事実上は利用者と業者間の
金銭の貸し借りだ」(植田弁護士)。
⇒はい。ちなみに労働基準法
にはこんな条文も。
(非常時払)
第二十五条 使用者は、労働者が
出産、疾病、災害
その他厚生労働省令※で定める
非常の場合の費用に充てるために
請求する場合においては、
支払期日前であつても、
既往の労働(=働いた分)に対する
賃金を支払わなければならない。
※ 具体的には労働基準法施行規則
(昭和二十二年厚生省令第二十三号)
です。こちら↓
第九条 法第二十五条(上記↑)に規定する
非常の場合は、次に掲げるものとする。
一 労働者の収入によつて
生計を維持する者(=扶養家族ですね)
が出産し、疾病にかかり、
又は災害をうけた場合
二 労働者又はその収入によつて
生計を維持する者が結婚し、
又は死亡した場合
三 労働者又はその収入によつて
生計を維持する者が
やむを得ない事由により
一週間以上にわたつて帰郷する場合
なお、非常時払いは無利息です!
金融庁も注意喚起
業者側が「貸金業ではない」
と主張しているため、相談先が
分からない人も少なくないとみられる。
昨年から全国で相談が相次ぎ、
金融庁は注意喚起に乗り出した。
⇒相談先が分からない場合は、
冒頭の電話相談や、
債務整理を担当できる
司法書士・弁護士に
ご相談されるとよろしいかと思います。
<参考>3~4月の相談会など
https://ameblo.jp/shimpo-shiho/entry-12578028815.html
【追記】その後の新聞記事や
金融庁の見解など
「給料の前払い」は貸金業 金融庁、業者登録必要に
有料記事(途中まで無料)
笠井哲也 2020年3月6日 19時30分
https://www.asahi.com/articles/ASN36656HN36ULFA02H.html
(一部引用)
給料の前払い」などのうたい文句で
広がる「給料ファクタリング」
という金融取引について、金融庁は6日、
貸金に当たるとの初めての見解を発表した。
業者はこれまで、取引は債権の売買
であって貸金にあたらないとして、
貸金業法の上限金利を超える
法外な「手数料」を取っていた。
金融庁における一般的な法令解釈に
係る書面照会手続(回答書)
(PDFです。) 令和2年3月5日
金融庁監督局総務課金融会社室長
https://www.fsa.go.jp/common/noact/ippankaitou/kashikin/02b.pdf
(一部引用)
照会に係るスキームにおいては、
賃金債権の譲受人から
労働者への金銭の交付だけでなく、
賃金債権の譲受人による
労働者からの資金の回収を
含めた資金移転のシステムが
構築されているということができ、
当該スキームは、経済的に貸付け
(金銭の交付と返還の約束が
行われているもの。)と同様の機能を
有しているものと考えられることから、
貸金業法(昭和 58 年法律第 32 号)
第2条第1項の「手形の割引、
売渡担保その他これらに類する方法」
に該当すると考えられる。
したがって、照会に係るスキームを
業として行うものは、同項の
「貸金業」に該当すると考えられる。