夜の更新のシリーズです。
一応第7回まで予定してます。
(長い?…たまたまネタ記事
を見つけたもので。)
※「精神医療を考える」シリーズ一覧
https://ameblo.jp/shimpo-shiho/theme-10112062998.html
またも東洋経済の記事からですが
今回は薬物の問題……
合法的な薬物依存「デパス」の
何とも複雑な事情~ズルズルと
飲み続ける患者を生んでしまった
メディカルジャーナリズム勉強会
2019/11/29 5:40
https://toyokeizai.net/articles/-/316514
「全国の精神科医療施設に
おける薬物関連精神疾患の実態調査
(研究分担者:松本俊彦・
国立精神神経医療研究センター
精神保健研究所薬物依存研究部部長)」
という研究報告書を例示する。
これは全国の入院機能を持つ
精神科の医療施設を対象に
薬物を乱用して急性中毒や依存、
精神障害などの治療を受けた患者の
実態をまとめたものである。
⇒まずは前置きです。
概説すれば、この報告において
医療機関での処方や市販薬など
非合法でない薬物は約4分の1を占める。
この報告にカウントされた睡眠薬
・抗不安薬、市販薬などは定められた
用法・用量を超える量を服用する
「乱用」により関連精神疾患と
なった状態を指す。
⇒言い方が固いですが、要は、
医者の出した薬で薬物依存に
なってしまった、という話です。
違法薬物の場合は入手、所持自体が
摘発されるが、これら合法薬物は
「逮捕されない薬物乱用」ともいえる。
⇒しかし、処方箋要とはいえ、こんな薬が
精神科に行くと、処方されることは、
決して珍しくはないわけです。
この中では精神安定薬の成分名
(一般名)で「エチゾラム」という薬の
乱用が多いことが目立つ。
この「エチゾラム」の乱用は報告書に
集計された全症例の9.3%。
実に乱用で問題がある人の
約10人に1人はこの薬が原因なのだ。
⇒ということで、代表格の
「エチゾラム」の名前が出てきました。
見えてきたのは、医療現場において、
依存のリスクを軽視した「気軽な」
処方が行われたケースがあること。
そしてひとたび依存症となった
当事者に対しては「違法ではない」が
ゆえに支援の手が差し伸べられにくい、
という皮肉な事態が起きている
ことも見えてきた。
⇒そうなんです。違法薬物としての
取り締まりがないゆえに逆に問題で…。
デパス(エチゾラム)は薬学的には
ベンゾジアゼピン受容体作動薬と
称されるグループに属する。
国内で厚生労働省が承認している
ベンゾジアゼピン受容体作動薬は
デパス(エチゾラム)を含め
実に30種類を超える。
⇒私なども「デパス」とか「ベンゾ系」
という言葉の方をむしろ耳にします。
一般に乱用・依存を来しやすい薬物は、
服用後の効果出現が早く明確で、
かつ効果持続時間が短いという
特徴があると言われる。
この種の薬は服用者にとって
効果が感じられやすい分、
効果切れも実感できてしまう。
だから再び薬に手を伸ばす。
次第に服用者は薬に依存し、
それが極端になると規定の用法・用量を
超えた乱用に至ってしまう。
⇒本当の原因(不安・ストレス等)
の解消のないまま、薬物を飲むと、
薬が切れた時が怖い、
ということなのでしょうか?
同じ作用時間が短いハルシオンや
マイスリーに比べ、デパス(エチゾラム)の
乱用が突出して目立つ理由を
簡単に言うならば、服用している
患者が多いからである。
⇒ということは、他にも問題薬物は
結構多い、ということです。
こうした抗不安薬など合法的な薬での
乱用は、「治療で服用⇒常用量依存
⇒乱用」というルートをたどる。
ちなみに常用量依存とはおおむね
定められた用法・用量の範囲で
使用している中で、薬が必要な症状が
もはやないにもかかわらず、
薬を止めることができないケースである。
⇒それとも、薬が切れること自体が、
不安感を招く、ということなのでしょうか?
加えて法的規制の問題もあった。
国内では麻薬や向精神薬の乱用防止、
中毒者への必要な医療提供、
生産や流通の規制を目的に
「麻薬及び向精神薬取締法」
という法律がある。
⇒前述のとおり、対象薬物になると
これで取り締まれます。
同法では合法的な精神疾患の薬なども
別途政令で具体的な薬剤名を
挙げて指定し、この指定を受けた薬は
厚生労働大臣あるいは
都道府県知事から免許を受けた者しか
取り扱いできず、厳格な保管や
在庫記録の管理などが求められ、
医療機関同士や保険薬局同士でも
一部を除き譲渡・譲受はできない。
⇒法律用語が出てくると、
なかなか難解ですね。
ある薬が同法に基づく政令での指定を
受けていることについては
医療現場でいくつかの意味をもつ。
指定を受けた薬剤は
処方日数の上限が定められる。
一般に向精神薬の
指定を受けたものの多くは
処方日数上限が30日となる。これにより
患者の乱用へのハードルは高くなる。
また、この指定を受けることは
医師に対する「警告」的な効果も
大きいとされる。
指定を受けると、とくに精神科などの
専門医以外の医師にとっては
「注意が必要な薬だ」という
イメージが定着し、専門医以外は
処方を躊躇しやすい、つまり安易な
処方は防げる可能性が高まるというものだ。
⇒ということなのですが……
デパス(エチゾラム)も2016年9月に
指定を受けている。しかし、その指定は
発売から実に30年以上と、
医療従事者の間でもいぶかしげに
思う人が少なくないほど、
発売から指定までの期間が空いている。
⇒厚労省の時間のかかるお役所仕事、
事なかれ主義・前例主義が、
ここにも現れている、と言われても
仕方ないと思います。
依存を生みやすい薬剤特性が
ありながら、幅広い診療科で処方され、
服用者の裾野が広く、なおかつ
法的な規制が緩かったというのが
デパス(エチゾラム)が乱用されやすい
原因と考えられる。
⇒この薬、精神科だけのもので
ないところも、問題を大きくしています。
高齢になればなるほど処方量は
増加し、最も多いのは80代である。
⇒高齢者は代謝が悪いですし、
他にも薬を飲んでいることも多いし、
問題が多いところです。
常用量依存の定義は、
治療すべき症状が改善してもそ
の治療薬をやめることができない状態。
だから常用量依存を確認する
ためには、とにかく一定期間、薬
をやめても、それで症状がぶり返さない
ことを確認しなければなりません。
ところが実際の臨床現場で
それができないし、患者さんたちも
嫌がります。だからずるずる飲み続けて、
常用量依存かもしれないし、
不眠とかあるいは治療を要する
水準の不安が持続しているのかの
区別がつかないのです。これでは、
常用量依存の実態はわかりません」
⇒精神科って、薬を飲めばそのうち治る、
というところではないのが
当たり前のようになっていて、
そこが他科と違う気がしています。
本来の自分の価値観をかなぐり
捨ててでもその薬を欲しくなり、
正直者で有名だった人が
『薬なくしちゃいました。もう1回
処方して下さい』とうそを言う、
並行して複数の医療機関から
お薬をもらってくる、
医者にすごくごねたり恫喝したり
とかして処方を要求したり
とかする人たち、
あるいは、大切な家族を裏切り、
仕事を犠牲にしても薬物を使い続ける
人たち、それが私たちが日々、
依存症専門外来で診ている
ベンゾジアゼピン受容体作動薬の
依存症なんです。
⇒価値観というか倫理観まで、
“禁断症状”の苦しさから、
捨ててしまうのでしょうね。
誤解しないでいただきたいのですが、
私は、常用量依存は薬物依存症では
ないから大した問題ではない
などとは考えていません。
やはり漫然と飲んでいて高齢になると、
若いときには出なかった副作用が
急に出てくるものなのです。
⇒やはり代謝の悪さや副作用への
抵抗力が無くなっているのでしょうか?
ですから、とくにデパスのような
即効性のあるベンゾジアゼピン
受容体作動薬を漫然と
処方し続けることは、
到底推奨できるものではありません。
⇒「漫然」という言葉が怖いです。
事故につながりかねない副作用はある。
乱用にまで至らなくとも、事故などに
つながる可能性をもつ常用量依存。
しかしその実態は把握されず、
もしふらつきによる転倒が起きたとしても、
それが薬のせいなのか
そうでないのかは見分けがつきにくい。
⇒ということで、解決策の提示が
ないところが怖いです。
(なお、私は医療関係者ではないので、
医学用語等の誤りがあるかもしれません。
そこはご容赦下さい。)