今回は【専門向け】ですので(特に後半)、

一般の方にはちょっと難しい内容です。

(ただし、難解な用語はできれば避けているので、

若干用語の使い方が厳密でない箇所はあります)

 

ですから、分からなくても全然問題ありません。

しかも私には珍しい社労士ネタです。

(社労士試験の勉強されていらっしゃる方には、

役に立つのかも?でもマニアックすぎるかな?)

 

月曜夜に社労士の年金研究会に出まして、

そこで教わった話です。

 

国民年金というのは、ざっくり言うと、

20~60歳(になるまで)の40年間

保険料を納めると年金が満額(現在780,100円)出ます。

(なお、厚生年金等に入っている人は、

自動的に国民年金にも入っている形です。

国民年金に厚生年金が上乗せされるという形です。)

 

ただ、保険料を納め忘れたり、

という方も珍しくありません。

 

では、最低何年納めることが必要、ですが、

長い間25年でしたが、今は10年なりました。

ただ、納める期間が短いと、年金額は減ります。

10年でしたら、4分の1ですね。

ただ、9年11か月では、1円も出ませんので、

ここの差は大きいです。

 

なお、遺族年金障害年金などで、

例外規定もあるので、10年だけ納めて後は放置、

というのは危険です。

 

失業や病気等で働けない場合などには、免除制度があり、

免除期間も含めて10年以上であれば年金が出ます。

なお、(全額)免除期間は年金額算定時には、2分の1扱いです。

例えば、40年間すべてが全額免除期間であれば、

満額の2分の1が年金額となります。

(なお、全額免除のほか、一部免除制度も今はありますし、

カラ期間という制度(昔あった任意加入期間など)もありますが、

複雑なので省略します。)

 

では、免除手続も忘れて、過去に未納期間もあったが、

今はまた払えるようになった場合、何かできないか、というと、

1つの方法として、遡って過去の保険料を払う

制度があります。

(時効による制限や、遅延利息的な割り増し制度などもあり)。

 

もう1つの方法は、60~65歳(になるまで)の間に

任意加入することもできます。

これにより、最低10年を確保しようとか、

10年は確保しているけど、年金額をより増やそうとかを、

実現することができます。

(ですので、40年分の保険料納付となればそこで満額で、

任意加入は終了です。満額以上にはできません。)

 

でも、未納期間が多いと、これだけでは足りないかもしれません。

その場合は、さらに、65~70歳までの任意加入制度があります。

ただ、この任意加入は、最低10年を満たすためだけのもので、

10年は満たしているけど年金額をより増やしたい、

という理由では任意加入できません。

10年を満たした段階で、任意加入終了です。

 

さて、ここから専門的というか、マニアックになるのですが、

この任意加入制度は、基本、口座振替で

保険料を納めることになりますが、

口座振替手続きが間に合わない部分が未納付とか、

残高不足で引き落としができなかった場合、

どうなるのか?という問題があります。

 

例えば今年5月までで、10年を満たすとして、

今年2~5月分は納付できているが、

1月分は未納でした。

で、これを例えば、8月に納付したら、

年金支給は翌月からという決まりがあるので、

9月から……と思いますよね(実は多くの社労士でも)。

 

ところが正解は、1月を普通に納めていたのと同じ、

6月分から支給、なのだそうです!

(ただし、未納の1月分を納めることによって、

6月分からの遡っての支給となるので、

1月分を遅れずに納付していた場合より、

現実の年金振り込みは遅れます。)

 

で、その根拠は、国民年金法という法律なのだそうですが、

本則でなく、下記の附則(ほぼ同じものが2回出ている)

なのだそうです。(特に、7(項)とのこと。)

 

しかし、私が読んでも、う~ん、難解な条文です。

7項で当てはまりそうなのは、これしかありません。

 

三(号) 第一項ただし書に規定する政令で定める給付の

受給権を取得したとき。

 

結局、未納だった保険料を8月に納めたとしても、

それはあくまで「1月分を納めた」となって、

それにより、5月までで、10年となるので、

そこで任意加入終了⇒翌6月から(遡って)年金支給、

という解釈のようです。

 

この辺は、私のような司法書士側に寄ってしまって、

社労士業務にあまり精通できていない者だけでなく、

それなりに社労士業務をやられている方でも、

あまり知られていないそうです。

 

それでなくても複雑な年金制度ですが、

いろんな話があるものだな、と思った次第です。

 

なお、あまり長期間、未納を放置すると、

任意加入を終了させられて、

それまでの保険料が無駄になる、

という可能性もあるので、

未納を当分放置しても大丈夫、

なんて勘違いはしないでくださいね。

 

 

(参考条文)

附 則 (平成六年一一月九日法律第九五号)

(任意加入被保険者の特例)
第十一条 昭和三十年四月一日以前に生まれた者であって、次の各号のいずれかに該当するもの(国民年金法第七条第一項第二号に規定する第二号被保険者を除く。)は、同法第七条第一項の規定にかかわらず、厚生労働大臣に申し出て、国民年金の被保険者となることができる。ただし、その者が同法による老齢基礎年金、厚生年金保険法による老齢厚生年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有する場合は、この限りでない
一 日本国内に住所を有する六十五歳以上七十歳未満の者
二 日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない六十五歳以上七十歳未満のもの


2 前項第一号に該当する者が同項の規定による申出を行おうとする場合には、預金若しくは貯金の払出しとその払い出した金銭による保険料の納付をその預金口座若しくは貯金口座のある金融機関に委託して行うこと(以下この項において「口座振替納付」という。)を希望する旨の申出又は口座振替納付によらない正当な事由がある場合として厚生労働省令で定める場合に該当する旨の申出を厚生労働大臣に対してしなければならない。
 

3 国民年金法附則第五条第一項の規定による被保険者(昭和三十年四月一日以前に生まれた者に限る。)が六十五歳に達した場合において、第一項ただし書に規定する政令で定める給付の受給権を有しないときは、前二項の申出があったものとみなす。
 

4 第二項(第一項第二号に掲げる者にあっては、同項)の規定による申出をした者は、その申出をした日(前項の規定により申出があったものとみなされた者にあっては、六十五歳に達した日)に国民年金の被保険者の資格を取得するものとする。
 

5 国民年金法第十三条第一項の規定は、第二項(第一項第二号に掲げる者にあっては、同項)の規定による申出があった場合に準用する。
 

6 第一項の規定による国民年金の被保険者は、いつでも、厚生労働大臣に申し出て、当該被保険者の資格を喪失することができる。
 

7 第一項の規定による国民年金の被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第二号、第四号又は第五号に該当するに至ったときは、その日)に、当該被保険者の資格を喪失する。
一 死亡したとき。
二 厚生年金保険の被保険者の資格を取得したとき。
三 第一項ただし書に規定する政令で定める給付の受給権を取得したとき。
四 七十歳に達したとき。
五 前項の申出が受理されたとき。
 

8 第一項第一号に掲げる者である国民年金の被保険者は、前項の規定によって当該被保険者の資格を喪失するほか、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第一号に該当するに至った日に更に国民年金の被保険者の資格を取得したときは、その日)に、当該被保険者の資格を喪失する。
一 日本国内に住所を有しなくなったとき。
二 保険料を滞納し、国民年金法第九十六条第一項の規定による指定の期限までに、その保険料を納付しないとき。
 

9 第一項第二号に掲げる者である国民年金の被保険者は、第七項の規定によって当該被保険者の資格を喪失するほか、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に国民年金の被保険者の資格を取得したときは、その日)に、当該被保険者の資格を喪失する。
一 日本国内に住所を有するに至ったとき。
二 日本国籍を有しなくなったとき。
三 保険料を滞納し、その後、保険料を納付することなく二年間が経過したとき。
 

10 第一項の規定による国民年金の被保険者としての国民年金の被保険者期間は、国民年金法第五条第一項の規定の適用については同法第七条第一項第一号に規定する被保険者としての国民年金の被保険者期間と、同法第五十二条の二から第五十二条の五まで並びに同法附則第九条の三及び第九条の三の二の規定の適用については第一号被保険者としての国民年金の被保険者期間と、それぞれみなす。
 

11 第一項の規定による国民年金の被保険者については、国民年金法第八十八条の二から第九十条の三までの規定を適用しない。

 

 

附 則 (平成一六年六月一一日法律第一〇四号)

(任意加入被保険者の特例)
第二十三条 昭和三十年四月二日から昭和四十年四月一日までの間に生まれた者であって、次の各号のいずれかに該当するもの(国民年金法第七条第一項第二号に規定する第二号被保険者を除く。)は、同法第七条第一項の規定にかかわらず、厚生労働大臣に申し出て、国民年金の被保険者となることができる。ただし、その者が同法による老齢基礎年金、厚生年金保険法による老齢厚生年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有する場合は、この限りでない。
一 日本国内に住所を有する六十五歳以上七十歳未満の者
二 日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない六十五歳以上七十歳未満のもの
 

2 前項第一号に該当する者が同項の規定による申出を行おうとする場合には、預金若しくは貯金の払出しとその払い出した金銭による保険料の納付をその預金口座若しくは貯金口座のある金融機関に委託して行うこと(以下この項において「口座振替納付」という。)を希望する旨の申出又は口座振替納付によらない正当な事由がある場合として厚生労働省令で定める場合に該当する旨の申出を厚生労働大臣に対してしなければならない。
 

3 国民年金法附則第五条第一項の規定による被保険者(昭和三十年四月二日から昭和四十年四月一日までの間に生まれた者に限る。)が六十五歳に達した場合において、第一項ただし書に規定する政令で定める給付の受給権を有しないときは、前二項の申出があったものとみなす。
 

4 第二項(第一項第二号に掲げる者にあっては、同項)の規定による申出をした者は、その申出をした日(前項の規定により申出があったものとみなされた者にあっては、六十五歳に達した日)に国民年金の被保険者の資格を取得するものとする。
 

5 国民年金法第十三条第一項の規定は、第二項(第一項第二号に掲げる者にあっては、同項)の規定による申出があった場合に準用する。
 

6 第一項の規定による国民年金の被保険者は、いつでも、厚生労働大臣に申し出て、当該被保険者の資格を喪失することができる。
 

7 第一項の規定による国民年金の被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第二号、第四号又は第五号に該当するに至ったときは、その日)に、当該被保険者の資格を喪失する。
一 死亡したとき。
二 国民年金法第七条第一項第二号に規定する厚生年金保険の被保険者の資格を取得したとき。
三 第一項ただし書に規定する政令で定める給付の受給権を取得したとき。
四 七十歳に達したとき。
五 前項の申出が受理されたとき。
 

8 第一項第一号に掲げる者である国民年金の被保険者は、前項の規定によって当該被保険者の資格を喪失するほか、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第一号に該当するに至った日に更に国民年金の被保険者の資格を取得したときは、その日)に、当該被保険者の資格を喪失する。
一 日本国内に住所を有しなくなったとき。
二 保険料を滞納し、国民年金法第九十六条第一項の規定による指定の期限までに、その保険料を納付しないとき。
 

9 第一項第二号に掲げる者である国民年金の被保険者は、第七項の規定によって当該被保険者の資格を喪失するほか、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に国民年金の被保険者の資格を取得したときは、その日)に、当該被保険者の資格を喪失する。
一 日本国内に住所を有するに至ったとき。
二 日本国籍を有しなくなったとき。
三 保険料を滞納し、その後、保険料を納付することなく二年間が経過したとき。
 

10 第一項の規定による国民年金の被保険者としての国民年金の被保険者期間は、国民年金法第五条第一項の規定の適用については同法第七条第一項第一号に規定する被保険者としての国民年金の被保険者期間と、同法第五十二条の二から第五十二条の五まで並びに同法附則第九条の三及び第九条の三の二の規定の適用については第一号被保険者としての国民年金の被保険者期間と、それぞれみなす。
 

11 第一項の規定による国民年金の被保険者については、国民年金法第八十八条の二から第九十条の三までの規定を適用しない。

 

 

※下記は、上記にある「附則第5条」に何が書いてあるか、

の参考のため引用(60~65歳の任意加入の規定です)。

附 則 (昭和三十四年法律第百四十一号)

(任意加入被保険者)
第五条 次の各号のいずれかに該当する者(第二号被保険者及び第三号被保険者を除く。)は、第七条第一項の規定にかかわらず、厚生労働大臣に申し出て、被保険者となることができる。
一 日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であつて、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができるもの
二 日本国内に住所を有する六十歳以上六十五歳未満の者
三 日本国籍を有する者その他政令で定める者であつて、日本国内に住所を有しない二十歳以上六十五歳未満のもの


2 前項第一号又は第二号に該当する者が同項の規定による申出を行おうとする場合には、口座振替納付を希望する旨の申出又は口座振替納付によらない正当な事由がある場合として厚生労働省令で定める場合に該当する旨の申出を厚生労働大臣に対してしなければならない。
 

3 前項(第一項第三号に掲げる者にあつては、同項)の規定による申出をした者は、その申出をした日に被保険者の資格を取得するものとする。
 

4 第十三条第一項の規定は、第二項(第一項第三号に掲げる者にあつては、同項)の規定による申出があつた場合に準用する。
 

5 第一項の規定による被保険者は、いつでも、厚生労働大臣に申し出て、被保険者の資格を喪失することができる。
 

6 第一項の規定による被保険者は、第九条第一号に該当するに至つた日の翌日又は次の各号のいずれかに該当するに至つた日に、被保険者の資格を喪失する。
一 六十五歳に達したとき。
二 厚生年金保険の被保険者の資格を取得したとき。
三 前項の申出が受理されたとき。
四 第二十七条各号に掲げる月数を合算した月数が四百八十に達したとき。
 

7 第一項第一号に掲げる者である被保険者は、前項の規定によつて被保険者の資格を喪失するほか、次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(第一号に該当するに至つた日に更に被保険者の資格を取得したとき、又は第二号若しくは第三号に該当するに至つたときは、その日)に、被保険者の資格を喪失する。
一 日本国内に住所を有しなくなつたとき。
二 厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者に該当しなくなつたとき。
三 被扶養配偶者となつたとき。
四 保険料を滞納し、第九十六条第一項の規定による指定の期限までに、その保険料を納付しないとき。
 

8 第一項第二号に掲げる者である被保険者は、第六項の規定によつて被保険者の資格を喪失するほか、前項第一号及び第四号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(同項第一号に該当するに至つた日に更に被保険者の資格を取得したときは、その日)に、被保険者の資格を喪失する。
 

9 第一項第三号に掲げる者である被保険者は、第六項の規定によつて被保険者の資格を喪失するほか、次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(その事実があつた日に更に被保険者の資格を取得したときは、その日)に、被保険者の資格を喪失する。
一 日本国内に住所を有するに至つたとき。
二 日本国籍を有する者及び第一項第三号に規定する政令で定める者のいずれにも該当しなくなつたとき。
三 被扶養配偶者となつたとき(六十歳未満であるときに限る。)。
四 保険料を滞納し、その後、保険料を納付することなく二年間が経過したとき。
 

10 第一項の規定による被保険者は、第八十七条の二の規定の適用については、第一号被保険者とみなし、当該被保険者としての被保険者期間は、第五条第一項の規定の適用については第七条第一項第一号に規定する被保険者としての被保険者期間と、第四十九条から第五十二条の六まで、附則第九条の三及び第九条の三の二の規定の適用については第一号被保険者としての被保険者期間と、それぞれみなす。
 

11 第一項の規定による被保険者については、第八十八条の二から第九十条の三までの規定を適用しない。
 

12 第一項の規定による被保険者(同項第一号に掲げる者を除く。第十四項において同じ。)は、第百十六条第一項及び第二項並びに第百二十七条第一項の規定の適用については、第一号被保険者とみなす。
 

13 第一項の規定による被保険者(同項第三号に掲げる者に限る。)は、第百二十七条第一項の規定にかかわらず、その者が住所を有していた地区に係る地域型基金又はその者が加入していた職能型基金に申し出て、地域型基金又は職能型基金の加入員となることができる。この場合における第百十六条第一項及び第二項並びに第百二十七条第三項の規定の適用については、第百十六条第一項中「有する者」とあるのは「有する者及び有していた者」と、同条第二項中「従事する者」とあるのは「従事する者及び従事していた者」と、第百二十七条第三項第二号中「地域型基金の加入員」とあるのは「地域型基金の加入員(附則第五条第十三項の規定により加入員となつた者を除く。)」と、「職能型基金の加入員」とあるのは「職能型基金の加入員(同項の規定により加入員となつた者を除く。)」とする。
 

14 第一項の規定による被保険者が中途脱退者であつて再びもとの基金の加入員となつた場合における第百三十条第二項(第百三十七条の十七第五項において準用する場合を除く。)及び国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号。以下「昭和六十年改正法」という。)附則第三十四条第四項第一号の規定の適用については、第百三十条第二項中「当該基金の加入員であつた期間」とあるのは「当該基金の加入員であつた期間であつて、連合会(第百三十七条の四に規定する連合会をいう。)がその支給に関する義務を負つている年金又は一時金の額の計算の基礎となる期間を除いたもの」と、昭和六十年改正法附則第三十四条第四項第一号中「同法第百三十条第二項に規定する加入員期間をいう。以下この号において同じ」とあるのは「同法附則第五条第十四項の規定により読み替えて適用する同法第百三十条第二項に規定する加入員期間をいう」と、「加入員期間の月数」とあるのは「加入員であつた期間の月数」とする。この場合においては、第百三十七条の十八の規定は、適用しない。

 

 

 

 


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