またリブログ記事ですが、オリジナル解説も
初めにかなり付け加えます。
以前、興味を持たれたお客様にお尋ねを受け、
説明したこともありまして、それを基に、
少し番号などを変えて、説明します。
(遺産分割協議書の表記より)
「1.次の不動産は、
(住所)横浜市港南区笹下二丁目13番地22
(氏名)港南太郎 が相続する。
一棟の建物の表示
所 在 横浜市港南区笹下二丁目 13番地22
専有部分の建物の表示
家屋番号 笹下二丁目 13番22の1
土地の表示
所 在 横浜市港南区笹下二丁目
地 番 13番22」
この表記につき、「番地」と「番」が混在していて、
誤りがあるのでは、という質問を受けました。
ただ、結論から申しますと、
このあたりは、これで正しかったのです。
まず、形式的には「登記簿がそうなっている」というのがあります。
(よく、役所が「この辺は考えないでそのとおり書いて下さい」
と案内しています。)
(前回も使った登記簿(登記記録)の見本…混在しています)
もう少し説明しますと、
「土地」の「地番」や、「建物」の「家屋番号」は「番」、
ところが、「建物」の「所在」は「番地」なのです。
では、なぜそうであるか、書いてある本もどうも見つかりませんが、
登記簿の方の、「地番」はおそらく「(土)地(の)番(号)」、
「家屋番号」はその名のとおり「家屋の番号」で、
これらは「番号」なので「番」です。
一方、「建物の所在」の表記の「番地」とは、
おそらく「(○)番(の土)地」の意味です。
どの土地の上に、建物が「所在」しているかの
表示なので「番地」と思われます。
なお、マンションや今回の建物のように、
部屋ごとに登記簿があって、
部屋ごとに取引が可能になるような仕組の建物を
「区分建物」と言いますが、区分建物の家屋番号は、
「笹下二丁目」のように、頭に町名を付けます。
ちなみに、「笹下二丁目」は、なんと!
「笹下」と「二丁目」に分けられるのではなく、
「笹下二丁目」全体が1つの町の名前で、
そして、これは固有名詞なので、
横書きでも正しくは「2丁目」でなく「二丁目」です。
(ただ、間違っている役所もいっぱいあります。
マニアックすぎて役所も守れない・・・)
以上は、登記簿の土地建物の表記の話ですが、
住民票上の住所はどうなるかを次に述べます。
住居表示非実施地区は、「13番地22」「13番地の22」
のような表示のどちらかで、
やはり土地の所在上の建物の住所を表しています。
ですので「番地」です。概ね登記簿と一致します。
ところが、住居表示実施地区では、街区に番号を振るので「番」、
そして、門や玄関の位置で住居番号の「号」を付番します。
したがって、門の位置を変えると、番号が変わる場合があります。
したがって、登記簿の土地建物の番号とは
全く連動できない仕組みです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%8F%E5%B1%85%E8%A1%A8%E7%A4%BA
さて、住所の番地が複雑になり、整理したい場合、
住居表示実施地区とする場合が多いのですが、
この場合、住民票の住所は4番5号のようにしますが、
登記上は古い地番987番6をそのまま使います(変更無し)。
(この扱いが横浜では多分9割以上と思います。)
ですので、住所≠登記簿上の地番・番地です。
そのかわり、登記簿上の地番・番地は変更ありません。
一方、住居表示非実施地区では、
地番そのものを旧地番987番6から、
13番22に直してしまうのです。
(ですので住所の番地も、
13番22号ではなく、13番地22なのです。)
私の知る限り、横浜では東神奈川周辺や、
瀬谷区などで見たことがありますが、例は少ないです。
現住所と登記地番が一致している
「住居表示非実施地区」の方が、
ある意味、もちろん、便利なのですが、
一方、旧地番987番6の時代の権利証を持っていると、
権利証からすぐに現在の登記簿にたどり着けない、
という問題もあって、それも司法書士としては、
中々悩ましい事態です。
(繰り返しますが、住居表示実施地区ならば、
住所は、笹下町987番地6から、
笹下二丁目13番22号のように変化しますが、
登記記録では、昔から現在まで、地番は、
987番6のままで変わりません。)
さて、以下は、リブログの話題ですが、
これまでの話とは別の問題です。
建物が立ってから分筆がなされて、
分筆で新しい地番が付いてしまった方に、
建物がある場合……の話です。
お知りになりたい方は、元記事をお読み下さい。
別ウィンドウで見たい方はこちら↓
https://ameblo.jp/kitakyushu-touki/entry-12370002181.html
まあ、こういう現象もあるので、登記簿というのは、
専門家でも時として中々厄介なのです。