「余命半年、僕はこうして乗り越えた!」西村元一(著)を読んで | ほっこり 知恵袋

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医師でがん患者となった、西村元一先生の熱いメッセージ❗医療者であり、がん患者でもある立場から、両方の気持ちを正直に伝えて下さっています。医師である自分と患者である自分。診断を下し、治療する立場と治療される側。
こころに残る言葉がいくつもありました。
特に印象にのこっている言葉(大体の内容、細かい性格ではないのでご容赦ください。)


「医療者の知っているフリ、患者の元気なフリ」

この言葉には、ギクリとしました。
患者の元気なフリに騙されるということ。
患者は医療者に対して、正直に話していると思っていました。ところが、患者も誰に対しても本心を話すとはかぎらないこと。
言いたくないこともあること。人をみて話すこと。色々と気持ちの揺れがあること。
自分を理解してくれる人を見極めているのではないかと思いました。
インフォームド・コンセントは、当然行われていますが、医療者目線が強く、患者側の生活面での背景まで理解はされていません。患者側の迷いを相談できるところが、病院外ではないという現状です。

そのために、各種NPO、患者会などがあります。もっと、生活の場として気軽に相談できる所として「マギーズ東京」、http://maggiestokyo.org/
があります。この度、2016年10/10にopenしました。




「がん患者は、退院してからも続く。終わりがない。」
がんサバイバーの方は、生活の場に大変多くいます。既に退院して、病状安定しているかたも多いです。完治したとしても、再発の不安を抱えているかたも少なくありません。日頃、外来患者の多くは、口腔内の不調も多く、口腔乾燥についてよく相談されます。私が歯科医師としてできることは、口腔ケアと口腔内の不調に対するケアです。味覚障害についても相談されます。少しでも美味しく食べること、お口の健康を保つことはとても大切です。

「キャンサー・ギフト」
西村先生の著書の中には、がんになってから分かったことが沢山書かれています。経験したからこそ、見えたこと。その気付きを著書の中で、「キャンサー・ギフト」と呼んでいます。西村先生の「キャンサー・ギフト」は、《マギーズ東京》のように、《金沢マギー》を作ることだそうです。そのための寄付を「元ちゃん基金」として募っています。皆様のご協力お願いします。http://genchan-kikin.jimdo.com/

「小さな幸せを大切にする」
悪いニュースもあれば良いニュースもある。相殺して、良いニュースが多ければそれで幸せではないかということ。気持ちの持ちようで、意識して楽しいことを探すと、色々見つかるそうです。幸せを感じる閾値が低いと、笑顔が増えますね❤😄

「記憶に残る死を目指して」
記録ではなく、誰かの記憶に残る死でありたいという意味。医療者として、医療に何か足跡を残したいということ。
素晴らしいです。多くの患者や医療者にとって学ぶきっかけを作って頂きたいです。

メモ感想

がんの闘病記は、多くの著書が出ています。勿論、医師でがん患者のかたの手記もあるなか、西村先生のこちらの著書は、医療者と患者、両方に対する強いメッセージが込められています。単なる経験談ではなく、がん患者も変わらなければならないこと。自分の人生を医師に委ねるのではなく、積極的に関わることも言っています。「誰のための人生なのか?」「自分の人生をどう締めくくりたいか?」「ゴールを見据えて、今出来ることする。」つまり、時間を意識して過ごすことで、より充実した時間をつくること。
「有限である時間を意識する。」この事は、誰にとっても当てはまります。
更に、医療者と患者のコミュニケーションの場づくり、相談できる場として、《金沢マギー》を考えらました。患者の不安、生活の場での相談窓口、様々な職種のサポートを受けられる場所。地元に合った形で。金沢の町屋風のなじみのある場所として。ぜひ応援したいと思います。
「がんサバイバー」ですと、カミングアウトする人は以前よりは増えました。芸能人も続々とカミングアウトしています。
それは、大変勇気のあることで素晴らしいと思います。しかし、各々の体が異なるように、自分と全く同じ境遇の人はいないのではないでしょうか。支えてくれる家族やその他のサポーター。お金や保険の問題もあるでしょう。大切にしたいことは、いざというときに、「どこへ相談しに行けばよいのか?」そんな駆け込み寺としての場所は、「自分の地域にあるのか?」などと、
考えてみたいです。「医療コミュニケーションは今後どのように変わっていくのか、いや変えていくべきなのか?」そんな問いかけも本書から感じられました。
多くの気付きを与えてくれた著書でした。
ぜひ、ご興味のあるかたはご覧下さい。