味覚障害に果たす歯科での役割 | ほっこり 知恵袋

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三軒茶屋の歯医者さん 下馬デンタルクリニックのブログです。詳しくはこちら⇒http://shimouma-dentalclinic.jp/

味覚障害の原因は、全身疾患や薬の副作用など様々です。歯科では、口腔内の症状として、ドライマウス、口内炎、口腔カンジダ症、歯周病の悪化などを伴っている場合が多く見られます。歯科で最も注目するべき点は、歯科疾患で引き起こされた栄養障害が味覚障害と関わってくるのではないか?という点です。口腔内の不定愁訴で来院される患者さんが圧倒的に多いのは、歯科です。口腔内の特殊性を理解し、全身との関わりを考えることから、味覚障害を考察してみようと思います。
ひらめき電球口腔内の特殊性
味蕾(味覚センサー)は殆どが口腔内にある
舌: 茸状乳頭(舌背に広く分布) 葉状乳頭(舌後方側縁部) 有郭乳頭(舌背後方部)

軟口蓋(味蕾として存在。)
唾液の存在。
唾液の量に関与している。

ひらめき電球ドライマウスと味覚障害
①唾液の量が減ると、味物質が味蕾へ到達できなくなる。
②唾液の減少で、唾液中抗菌タンパク質が減少して口腔粘膜炎を起こし、味蕾が傷つく。
③唾液中成長因子量が減少し、味蕾の再生が障害される。

ひらめき電球唾液中タンパク質と歯科疾患
シスタチン右矢印歯周病の増悪に関連
システィンプロテアーゼ阻害作用による歯周組織の破壊の制御。歯周病関連菌の増殖を抑制。
ヒスタチン右矢印口腔カンジダ症に関連
カンジダ菌の増殖を抑制。
ラクトフェリン右矢印口腔粘膜炎に関連
鉄イオンと結合し、細菌生育を抑制。
鎮痛作用、創傷治癒促進作用など。

ひらめき電球なぜ、ドライマウスを見逃してはいけないのか?
ドライマウスで摂食障害になると、栄養障害になり、味蕾(味センサー)が作られなくなるから。
ひらめき電球歯科的対応策
口腔内の観察右矢印対応策
① 唾液量は減少していないか右矢印唾液腺マッサージなど
②口腔粘膜の乾燥右矢印保湿
③ 口腔内の腫脹、炎症、傷はないか?右矢印消炎処置、抗生剤の使用など。
④口腔内清掃状態はどうか?(口腔内、義歯) 右矢印口腔ケア
⑤う蝕、歯周病、義歯不適合はないか?右矢印歯科治療
⑥摂食障害はないか?右矢印医科、リハビリ、栄養士などとの連携。

メモ最後に
味覚障害は、ドライマウスと関連があります。歯科ではよく観察し、早期に対処するようにしたいです。摂食障害から栄養障害へ移行しないように、細心の注意を払いたいと思います。栄養障害から健康障害へならないように、食べるための口腔環境を整えることこそ、私たち歯科医師の使命だと感じています。ニコニコ