【本】今日の一冊…朝井リョウ『武道館』 | クズレコハンター下手のパンダはただ今授業中~ロックと映画とアイドルと…~

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Finolia Girlsの皆(特にSurvive-ZERO)、元SDN48の野呂佳代さん、AKB48チームK卒業生今井優さんを応援し、チームBの片山陽加さんも応援している日本語教師が仕事や趣味について語るブログ。


こんばん優☆ & こんばんポノック♪




アイドルを題材とした小説ということで買ってみた一冊。

読み終わった後に何とも胸が痛くなり、またいろいろと考えさせられもしました。


小説でもドラマでも、アイドルを扱うと大抵アイドルか
ヲタ(またはその両方)を茶化した様な内容になりがち。

じゃなきゃ『きらりん☆レボリューション』みたいなアイドル夢物語とか。


どちらにしても、西洋人がよく知らないまま日本を舞台に撮った映画みたいにトンチンカンな
描写や解釈が目立ち、アイドルが好きな者から見ても納得できる作品ってそうないものです。



ところが、これは珍しく全てにおいて違和感がなく、かつ題材に頼り過ぎて
中身がないわけでもなく、一編の小説として最後までじっくり読めました。

とにかく登場人物の設定や会話が自然で、文体も心地いい。
イベントやコンサートの描き方などもしっかりしています。


と同時に、ヲタとしてはかなりツラい内容でもあるわけで…

『アイドルだって人間なんだ』という、散々使い古されて来たチンプな
物言いを、いろんな意味で突き付けられた様な気持ちにさせられます。



まー何というか、アイドルヲタなんてなるもんじゃないですな。

アイドルもヲタも己に正直になれば、最後は必ず誰かが傷付いて終わるんだから。


それでもやるならクソDDになるか、在宅決め込んで距離を置くかのどちらかしかないのでは。

あるいは、あくまでも趣味や道楽とスッパリ割り切って楽しむとか。



でも大抵のヲタはそこまで達観できず、悶々と悩んで一人相撲を取ってしまうんだと思います。

当のアイドルはそんなこと塵ほども気にかけてないというのに。


いやーヲタって本当に厄介な生き物ですね。困ったもんです。



一方、アイドルはアイドルで大変なんだろうなとも思う。

本の中で語られている様に、ただ歌うことと踊ることが好きでアイドルになった
のに、“アイドル”になった途端、誰が決めたか分からないルールに縛られて。


これ、是非アイドル自身にも読んでもらって感想を聞いてみたい。

かといって「これ読んで!」なんて押し付ける気はありませんが。


もし読んだアイドルがいたら(絶対いるはず)率直な感想を聞かせて欲しい。



次はアイドルから見たアイドル物語ではなく、ヲタから
見たアイドル物語、なんてのも読んでみたいものです。

アイドルはファンがいないと成立しない職業であり商売であるにも
関わらず、ドラマやマンガでは常にないがしろにされてますから。


自分の知る限りヲタから見たアイドルをきちんと描いた
作品は、映画『キサラギ』ぐらいしか思い浮かばない。

ヲタにとってアイドルとは何なのか…もちろん簡単にひと括りには出来ないと
しても、そんな部分に斬り込んだ作品を、誰か創ってはくれないでしょうか。


では、今日はこの辺でおやすミサティ★