【本】今日の一冊…山平重樹『連合赤軍物語 紅炎(プロミネンス)』 | クズレコハンター下手のパンダはただ今授業中~ロックと映画とアイドルと…~

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こんばん優☆ & こんばんポノック♪




連合赤軍を題材にした山本直樹の漫画『レッド』の副読本として買った一冊。

これだけの分量の割に、滑らかと言うか軽やかな筆致でスイスイ読めてしまった。


連合赤軍事件と言えば関わった人物も相当な数に上るし、
事の次第も込み入っていてイマイチ全体像が掴みにくい。

『レッド』も、漫然と読んでいるだけでは誰がどちらのグループに属しているかなど
分かりにくいところがある(キャラクターの見分けがつきにくいという問題もある)。



この本は、次から次へと関係人物が登場したり時系列が前後したりする第一章・第二章こそ
読み進めるのに時間がかかるものの、一旦役者が揃えば後はグイグイ引き込まれてしまう。

『レッド』ではひとコマで処理されてしまった、いわゆる『よど号
ハイジャック事件』にかなりのページを割いているのも有り難い。


また、登場人物ひとりひとりの心理的な動きがきちんと描かれているのも助かった。

『レッド』はやや突き放した描き方をしていて、キャラクターが何を
考えているのかなど、内面的な部分が見えにくいところもあるので。



ただ、一冊にまとめられているため、『レッド』にはある
細かいエピソードが省かれていると思われる箇所もある。

なので、両方を突き合わせつつ読むのも面白いのではないかと。


『レッド』では全て仮名の登場人物も、主要な人物なら誰が誰なのかアタリは簡単につきますから。



それにしても連合赤軍事件については、いろいろと考えてしまうことがある。

一つにはやはり、山で繰り広げられる、総括と称したリンチ地獄に見る集団心理の恐ろしさ。


人が集まりグループが出来ると、その中で自ずと階層や
暗黙の規律が出来上がり、それに反する者は叩かれる。

端から見たら明らかに非常識なルールも認められてしまい、
仮に疑問を抱いたとしても、保身のためには従うしかない。



こんなことは何も特別なことではなく、一般社会から学校、果てはヲタの間でもある。

だからこそ自覚的、意識的になる必要があると思う。さもなければ呑み込まれ、流されてしまうだけ。


本の中ではこれら一連の総括の様子が淡々と描写され、読んでいるとただただ陰鬱な気持ちになる。

彼らがリンチを正当化するために口にする“総括”、“共産主義化”と
いった言葉がどんな意味を持つのかも、自分にはサッパリ分からない。



そしてもう一つは、彼らにどれだけ明確な目標や目的があったのか、ということ。

革命を起こしてどうしたかったのか、いやそもそも彼らの
目指す革命とは何だったのかが、どうも伝わって来ない。


よど号ハイジャック事件も当初はその先の計画があったのに、
結局はハイジャックして亡命して終わってしまったわけだし。

あさま山荘事件にしたって計画的でも何でもなく、機動隊から逃げるために突発的に立て籠っただけ。



しかしその一方で、(矛盾してるかもだけど)おかしいと思ったことに
おかしいと声を上げ、“行動”することの何が悪いんだとも思う。

例え“革命”だの“連帯”だのといった言葉に酔っていただけだと
しても、“行動”したこと自体は責められることではないと思う。


それに、彼らは何も世界征服をしようとか人々を苦しめようとか、そんなことを
考えていたわけではなく、ただ自分たちが理想とする社会を築きたかっただけ。



間違っていたのはその手段なのではないかと。

もし彼らの中にカリスマ指導者とでもいうべき存在がいて、彼らを正しい方向に導いていれば、
あるいは“革命ごっこ”に終わることなく、身内に被害者を出すこともなかったかもしれない。


ただ、くどいようだけど“行動”すること自体は決して悪いことではないと思う。

少なくとも『ま、しょうがないか』で済ませるよりはよほど意味があると思う。



まぁ、今の日本はとりあえず平和だからね…アイドルがブームになるぐらいだから。

大方の人はその日その日が楽しければそれでいいんだろうし。


でも、だからと言って今の状況に浸かってボケてしまうことだけはないようにしたい。

おかしいと思ったことにはおかしいと言える人間ではありたいな…と。



とにかく、今まで関心はあったものの全体像が見えにくかった連合赤軍事件。

この一冊で大まかではあってもだいぶ掴むことが出来た。


終章に向けて動き始めた『レッド』も、単行本を改めて読み直してみたい。

では、今日はこの辺でおやすミサティ★