平家蟹と小平家 | 日本の歴史と日本人のルーツ

日本の歴史と日本人のルーツ

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基本的に山口県下関市を視座にして、正しい歴史を探求します。

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① 平家蟹(へいけがに)と小平家(こべけ)

源平壇之浦の合戦が行われた壇之浦の海岸付近一帯でとれる奇怪な蟹がいます。

蟹の甲羅に怒りにみちた顔のような模様があり、これは、壇之浦の戦いで戦死した平家の武将の怨霊が乗り移ったものといわれ、平家蟹(へいけがに)と呼ばれています。

昔は、平家蟹が網にかかるとたたりがあると恐れられていたようで、漁師は赤間神宮へ奉納したそうです。

また、壇之浦の合戦に敗れ入水(じゅすい)した平家の女官は美しい小鯛に化身したといわれており、壇之浦の周辺で獲れる小鯛は小平家(こべけ)と呼ばれています。

(しものせき観光ホームページより)(彦島のけしきより)


② 小平家(こべけ)

壇ノ浦の合戦で命からがら逃げのびた平家の官女たちは、彦島や伊崎などに秘かにかくれて住んでいた。

やがて源氏の追っ手の者も数少なくなり、梅雨が過ぎ、夏が本格的な暑さとなったある日、官女の一人がそっと浜辺に出てみると。何百、何千という蟹の大群が浜辺を這い回っていた。

女は驚いて、みんなを呼び集めたが、ゾロゾロと出て来た女たちは、それぞれに蟹を掌に乗せてみて、一斉に叫び声をあげた。

「まあ、驚いた。この蟹には、人間のような顔がある。しかも、恨めしそうに涙まで流して…」

そのおびただしい蟹の大群は、どれを取っても、甲羅には人の顔、それも武士を思わせるようなりりしい顔がはっきりと浮き出て、目と思われるあたりからはボロボロと涙のような雫が落ちていた。

「本当に、どうしたことでしょう。この蟹たち、みな泣いているようネ。それにしても、この怒ったような、悲しいような顔、なんだか、こわいみたい」

女たちが口々にそんなことを言っていると、掌の一匹の蟹が、小さな声で、それでもはっきりと人間の言葉で話しはじめた。

「我々は、本当は蟹ではない。ついこの間まで、お前たちと苦楽を共にして来た平家の一門だ。あの日、壇ノ浦で、天皇様のお供をして海へ飛び込んだが、どうにもくやしゅうてならん。我々を滅ぼした源氏が憎うて、このままでは到底、成仏できん。それで今は、蟹に身を変えて鎌倉打倒の機会を待っているのだ」

それを聞いた女たちは一斉にシクシク泣き出した。

「知らないこととは言いながら、ほんに、おいたわしいこと。それに引きかえ、私たちは、こうして彦島に隠れ住んでいますが、毎日をひっそり生きてるだけで、本当に申し訳ないことです」
「そうです。これから私たちも、源氏を倒すために、何かお役に立つことを考えましょうよ」

その時、一人の女がこう言った。

「私たちは、蟹ではなく、魚になりましょう。そうだ、魚の王様、鯛になりましょう。そして生きている人びとに食べられることによって、私たちの怨念を人間に乗り移らせるのです」「そうよ、私たちのような可弱い女には、源氏を滅ぼす良い方法といえば、それしかありませんね」

女たちはまたたくまに同意して、多くの蟹たちが心配げに見上げる中を、次々に海に入っていった。彦島と下関の間の小門海峡は、その頃、日本一流れが速かったから、女たちはみるみるうちに流されて沈んでしまった。

それから何か月かたって、この海峡では、今まで全く見られなかった小さな美しい鯛が群をなして泳ぎはじめた。

「これは平家の官女たちの化身だ。恐れおおいが、これをたらふく食べて、一日も早く源氏が滅びるように祈ろうじゃないか」「そうだ、これは平家の… いうなれば小さな平家、つまり小平家の怨念がこもっている。その恨みつらみを、ワシらが代わって晴らしてやろう」

彦島の漁師たちは、その小鯛を釣りあげて口々にこういった。そして、それからというもの、彦島や下関では、小鯛を小平家(こべいけ)と呼び、塩焼きののち酢漬けにして、しこたま食べる習慣が出来た。

しかし、平家を食べるということは良心が許さず、小平家(こべいけ)のことを小平家(こべけ)と詰めて呼ぶようになったが、それでもなお気がとがめたのか、いつの頃からかコマコダイとも呼ぶようになった。

(富田義弘著「平家最後の砦 ひこしま昔ばなし」より)

(注)壇ノ浦で入水した平家武将の化身だと言われる『平家蟹』は、ラフカディオ・ハーンの作品によって世界的に知られている。これに対して『小平家』は10センチ内外の小鯛で、下関では平家の女性たちの化身だと信じられてきた。どちらも悲劇的ドラマに凝縮させた動物変身伝説の典型である。

(彦島のけしきより)


参考

平家蟹(wikiより)


ヘイケガニ平家蟹Heikeopsis japonica は、ヘイケガニ科に分類されるカニの一種。日本近海の浅い海に分布する小型のカニで、甲羅の凹凸と平氏にまつわる伝説が知られている。

人の顔に見える理由

ヘイケガニの甲羅の溝が怒った人間の顔に見えることは、明治から幾人かの科学者の興味を呼び起こしてきた。 1952年に進化生物学者ジュリアン・ハクスリー ライフ誌でヘイケガニを取り上げ、この模様が偶然にしては人の顔に似すぎているため、人為選択による選択圧英語版 が作用したのではないかと述べている。 この人為選択説では甲羅の模様の成因を、それが顔に似ている程、人々が食べることを敬遠し、カニが生き残るチャンスが増えたため、ますます人の顔に似て来たのだと説明する。

1980年に天文学者カール・セーガンも、テレビ・シリーズ『コスモス』と同名の著書の中でこのヘイケガニの人為選択説について取り上げている。彼は、平氏の亡霊が乗り移ったという伝説が、人間の怒った顔に似た模様が出ている甲羅を持つカニを漁獲するしないの選択に作用しているならば、その伝説が色濃い瀬戸内海、特に壇ノ浦に近いところほど、漁師がこのカニを捕まえるのを嫌がったかもしれず、そうすれば壇ノ浦からの距離が近いほどより人間の顔に近い模様になっているのではないかという仮説を提唱した。

この説については甲殻類学者酒井恒が著書『蟹 — その生態の神秘』の中で触れており、ヘイケガニやその近縁種は日本以外の北西太平洋にも分布し人の顔に見える特徴は変わらないこと、化石の段階で既に人間の顔をした模様が認められること、ヘイケガニは食用にならないため捕獲の対象とされないことなどの理由で否定している。


② 小平家(こべけ、日子の島より、参考)

関門海峡では 10センチくらいの美しい鯛のことを「小平家」と呼んでいます。源平の合戦の際に海に消えていった官女の生まれ変わった姿だといわれています。毎年7~8月ごろになると金色のうろこに白い斑点のあるこの鯛が海峡に現れます。



③ 小平家の料理(第一生命、参考)