スイスにも地震や津波はやって来る! | 日本の歴史と日本人のルーツ

日本の歴史と日本人のルーツ

日本の歴史と日本人のルーツを解明します。

基本的に山口県下関市を視座にして、正しい歴史を探求します。

ご質問などはコメント欄にお書きください。

学術研究の立場にあります。具体的なご質問、ご指摘をお願いいたします。

1500年前、スイスのレマン湖の東端あたりの山が地震で崩れ落ち、レマン湖に流れ込んだ土砂で津波か発生し、レマン湖西端のジュネーブに襲いかかったとか!

ル・グラモンとレマン湖東端を南から北へ望む(3D)

スイス、ヴーヴリー     ル・グラモン


ジュネーブ市内の超高層ビルを見ると、地震が全く来ないことを前提としているとしか思えない。地震が来ればITUのタワー棟なんか真っ先に倒壊するし、ILOのビルも一階は押し潰されるに違いない。





参考

① スイスに潜む津波の危険性

Simon Bradley in Geneva, swissinfo.ch(2018.9.26、参考)

1601年、ルツェルン湖底で起きた地震で街は水浸しになった

※この記事は2012年10月に英語で配信された記事の翻訳です。

スイスで津波被害が起こるのは時間の問題だ。ジュネーブ大学の研究者、ギー・シンプソン氏はこう話す。同氏はレマン湖で563年に起きたがけ崩れと地滑りが、大津波を引き起こしたとする共同研究を発表した。

研究結果は科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス」に掲載。論文によると、大きながけ崩れが起きたのは、ローヌ川がその西端でレマン湖に注ぐ河口付近にそびえるル・グラモン山(標高2172メートル)。河口の三角州が崩壊し、地滑りとなって湖に流れ込んだ。

当時の記録から、どれだけ大きな波が発生し、湖畔のあらゆるものを飲み込み、村を壊滅させたかを解き明かした。波はジュネーブ中の橋や水車を破壊し、街の防壁を乗り越えたという。だがどれだけの住民の命を奪ったかは分からなかった。

ジュネーブ大の研究チームは湖底の堆積物の放射性炭素から年代を特定し、記録から読み取った事実と照合した。

その結果、三角州から流れ込んだ堆積物がレマン湖の最も深い部分を覆っていることが分かった。それは長さ10キロメートル以上、幅5キロメートル、厚さ5メートルの巨大なレンズ状で、体積は2億5千万立方メートルに上る。

シンプソン氏は「これだけ多くの堆積物が湖に流れ込み、地形が変わってしまった」と話す。

研究チームはコンピューターモデルで津波を再現し、ローザンヌ付近では最大13メートルに達したと結論づけた。がけ崩れの発生から70分後、70キロ離れたジュネーブに3~8メートルの津波をもたらしたという。

レマン湖は今後また津波が発生するリスクがあると研究チームは指摘する。ローヌ川が浸食した岩盤は河口の三角州にたまり続けており、再びがけ崩れが起きたり、地震や大きな嵐が来たりすれば同じように津波を引き起こす。

レマン湖畔には少なくとも100万人が生活する。特にレマン湖の水位とほぼ変わらない高さにあるジュネーブ市は津波の被害を受けやすい。半月型の湖の先端という位置も、波が集中して増幅する可能性がある。

論文は、同じような高さの津波が街の中心を襲えば、その大半が壊滅すると指摘した。

過小評価

湖で起きる津波は発生頻度こそ低いものの、スイスでは激甚災害の一つだ。にも関わらずその危険性は低く見積もられていると研究者らは警告する。

「スイスの湖のいくつかは急斜面に囲まれている。そうした場所で災害が起きるのは時間の問題だと確信している」(シンプソン氏)

連邦環境省専属の地震学者、ブレーズ・デュヴェルネー氏はそもそも湖の津波を重大リスクと見なしていない。「確かに過去に起こったことかもしれないが、効果的な予防策というのは実際のところないのでは」

一方、スイス地震サービスの地震ハザード・リスク査定部長のドナート・フェー氏は、湖の津波が引き起こす危険は高まっていると感じている。

「昔の人は、蚊が出る湖畔には住みたがらなかったが、今は違う」とフェー氏はスイスインフォの取材に語った。「リスクはあるが、幸運なことにそうそう起こることではない」

同氏によると、1601年にルツェルン湖に大津波をもたらしたようなマグニチュード6以上の地震は、およそ100年に1度起きている。直近では1946年、ヴァレー(ヴァリス)州で観測された。

だが津波は地震だけでなく、湖底に積み上がった堆積物が引き起こすこともある。フェー氏はそう念を押す。

「津波の危険を過小評価していると言い切るのは難しい。リスクについて今はより多くのことが分かっているし、スイスの地震リスクは並程度だ。だが一般社会は往々にして津波が起こす被害を忘れがちだ」

スイスの津波の歴史

563年、レマン湖東端・ローヌ川河口の三角州で起きたがけ崩れで、岩石が湖に流入。大津波が発生し、沿岸地域に壊滅的な被害をもたらした。

1584年、ヴォー州にあるローヌ谷のエーグル近郊で起きた地震で、レマン湖北岸沿いの村が損壊。がけ崩れで320人が亡くなり、ヴィルヌーヴ、ローザンヌ、ジュネーブなど湖畔の町や村が浸水したとされる。

1601年9月16日、ルツェルン湖底でマグニチュード6の地震が発生。大津波でルツェルンの街全体が水中に沈んだ。

1687年、ルツェルン湖畔ブルンネン付近にあるムオッタ川の河口三角州が崩落し、高さ5メートルの津波が起きた。湖畔に浸水被害が広がった。

1806年9月2日、スイス中央部ロスベルク山のがけ崩れがふもとのゴルダウ村を遅い、457人が犠牲になった。崩れ落ちた岩石がラウエルツ湖を襲撃し、高さ15メートルの津波を引き起こした。湖の南岸で起きた洪水で10人が死亡した。

(英語からの翻訳・ムートゥ朋子), swissinfo.ch


② 6世紀のジュネーブを襲った「湖の津波」、スイス研究

2012年10月29日 13:36
発信地:パリ/フランス [ ヨーロッパ フランス ]


【10月29日 AFP、
参考】スイスのジュネーブ湖(Lake Geneva)で約1500年前に、土砂崩れが原因で高さ13メートルもの津波が発生し、湖畔の村々が壊滅的な被害を受けたとする研究結果が28日、同国の研究チームによって発表された。

ジュネーブ大学(University of Geneva)の地球科学者カトリーナ・クレマー(Katrina Kremer)氏らの研究チームは、西暦563年に起きた「Tauredunum Event」と呼ばれる事象についての報告書を英科学誌ネイチャージオサイエンス(Nature Geoscience)で発表した。

当時のフランク王国の司祭、トゥールの聖グレゴリウス(Gregory of Tours)はこれを、奇怪で恐ろしい出来事として記録した。湖から押し寄せた巨大な波は、村々や家畜の群れを飲み込みながら湖の西端に面したジュネーブの城壁まで到達し、そこでも数人が溺れ死んだという。

一部の専門家はこれが「湖で起きた津波」だったと主張し、その証拠としてジュネーブ湖の東部に流れ込むローヌ(Rhone)川の、湖から5キロほどの場所に山の一部が崩れ落ちたことを指摘している。

■山崩れが津波の原因に

この出来事の詳細を解明すべく、クレマー氏のチームは高分解能のレーダー機器を用い、ジュネーブ湖の最も深い部分の湖底を調査した。そこはジュネーブ湖東部の、ローヌ川がジュネーブ湖に流れ込む三角州が始まるところで、長さ10キロ以上、幅5キロ、厚さ5メートルに及ぶ巨大な楕円形をした堆積物の層が存在していることが分かった。堆積層のコアサンプル(地質試料)を4つ採取し、含まれていた植物性残存物の炭素年代測定を行ったところ、西暦381~612年という結果が出たという。

研究チームは報告書で、「この期間の歴史的資料で記録されている大規模な自然現象は西暦563年の事象のみであることから、われわれはこの年代測定結果は堆積層と563年の土砂崩れおよび津波との関連を強く示していると考えている」と書いた。

ジュネーブ湖は、長さ約73キロの細長い三日月形をしており、泥と水の渦の力が集中して高い波ができる条件が整っているという。浅瀬モデルを用いたシミュレーションの結果、湖東部の三角州で土砂崩れが起きると、わずか15分後に高さ13メートルの巨大な津波が湖畔の各地を襲い、70分後には高さ8メートルの波がジュネーブに到達することが分かった。

■山間地の湖やフィヨルドで津波の危険

これほどの高さの波が6世紀のジュネーブを襲ったならば聖グレゴリウスが書き残したような甚大な被害が出ていたとみられ、これが現在起きてもジュネーブ中心部の大部分が完全に冠水する被害が出ると考えられるという。

大規模な土砂崩れは過去1万年間で数回発生しており、三角州の斜面には土砂の堆積が進んでいることから、再び土砂崩れが起きて湖畔に住む100万人以上が被害を受ける恐れがあるほか、ジュネーブ湖以外の山間地の湖やフィヨルド(陸地の奥深く入り込み、両岸が急傾斜した入江)に近い都市も同様の危険があると報告書は警告している。

津波は通常、陸地に近い海底で起きる地震で海底が持ち上がったり、沈み込んだりすることによって発生する。だが2004年のインド洋大津波以後の研究により、火山の噴火やダム決壊など他の原因によっても津波が発生する可能性が指摘されている。

(c)AFP/Richard Ingham and Veronique Martinache


③ スイスの高層ビルは地震が来ることを考慮されていない。