1.
前記事
子の監護が問題になる事件と調査官調査について・・・H24.7.6訂正
家裁調査官ってそもそもどんな人達なの?
の続きです。
シリーズものを同時進行で乱発しまくって収拾がつかないようになりつつあります(笑)。
『mother』,「イソノ家」,「スミレとヒロシ」,「面会交流」等々,忘れたわけではありません。
これらのシリーズものの更新ストップに不満のお持ちの方がおいででしたら,お詫びとともに,その不満を期待の表れと受けとめて,嬉しく思います。
ありがとうございます(と,「済みませんをありがとうに変える」テクニックを使います。)。
2.
さて,この記事で,いよいよ,私が依頼者に対する調査官調査に立ち会うようにしている理由を紹介していきます。
これは私なりの理由であり,弁護士ごとにいろいろな考えはあると思います。
また,紹介の順序は,重要性の順序を意味しておりません。
3.
理由の1つは,私自身が,それに立ち会うことで参考になることが多いからです。
先の記事で紹介しましたように,調査官は,心理学とか社会学とかの知見をもって調査を行っています。
そして,裁判所での on job training(仕事を通じての訓練)で,その知見や経験知や洞察を磨いていきます。
この当たりは,前の記事で紹介した裁判所のHPにあります調査官のメッセージを読んでいただけると,具体的にイメージしてもらえるかなと思います。
実例に多く当たって経験知や洞察力を磨いているというのはとても大きな強みです。
ですから,そのような調査官の調査に立ち会いますと,違う問題意識とか,違う切り口とかに触れて,なるほどと参考になることが,私にはかなり多いです。
もちろん,あからさまな意見を言ったりすることはあまりないです。
調査官がどういうことをどういう角度で質問するかを聴いていると,そういういろいろな視点や問題意識に気づくということです。
あと,いろいろな場面で調査官と意見交換する機会があります。
少年保護事件(20歳未満の人が罪を犯したとかで,少年院に行くか保護観察になるかとかいったそういう事件・・・アバウトな説明m(_ _)m)では,ほとんどの事件で調査官と意見交換します。
そうすると,調査に立ち会っていなければ,意見交換もしずらくて,そうすると,そういう意見交換の中で別の視点や切り口に触れるということも不十分になるように私は思います。
もちろん,調査に立ち会わなくても意見交換はできて,そこで調査官の視点や切り口に触れることはできるのですけれども,私は,調査に立ち会った上で,それをベースにして,いろいろお話した方が充実するかなと思っています。
4.
さて,このように書くと,個々の事件では,「私のケースの調査官はトンデモだった」という声も出てくるでしょう。
その可能性ももちろんあります。
弁護士も,調停委員も,裁判官も,検察官も,警察官も,行政機関の担当者も・・・本来は,そうあってはいけないのですが,現実問題として,やはり,いろいろな人がいます。
また,その事件における相性といいますか,価値観が大きく左右する領域ですので,ある事件では,その当事者の一方から見てはすばらしい調査分析をされるが,別の事件では,その当事者の一方から見てトンデモと感じられるということもあると思います。
その人自体がどうかという問題より,その事件,その人との関係でどうであったかという部分が大きいかもしれません。
こう考えますと,属人的に,「トンデモ○○」と表現するのは,慎んだ方がよいかもしれませんね。
ある事件で素晴らしい判決を書いた方が,別の事件で,こちらが目点になる判決だったりとか,実際,ありますし。
もちろん,目点の事件では,まず自分自身の主張立証がまずくなかったかを最初にチェックしないといけませんが。
でもね・・・ここまで事実として認定しといて,最後に,この慰謝料の金額は冗談ですか?と言いたくなるようなものもあったり・・・・。
やはり,価値観に左右されますので。
5.
このような発想を,私は他の場面でもしていることがあります。
たとえば,裁判の尋問ですと,相手方の弁護士の尋問の方法が上手いと思ったら,私はそれを取り入れます。
裁判官が補充質問する点については,ああ,そこを聞きそびれていたなぁ,そこを裁判官が気にすることは思っていなかったなぁと思います。私は,裁判官が補充質問しないような尋問ができればなぁと思っています。
裁判官が知りたいことは全て私の方で質問済です~みたいな。
日常生活の中で,そのように他の人から取り入れようと意識を張り詰めているわけではなくて,むしろ,ボンヤリしている方かもしれなくて,至らないところが多すぎる私ですが,職業的なところで,このように意識的に他の立場の方の視点とか切り口とかを取り込もうとする部分があります。
さて,拍子抜けする理由だったでしょうか。
次の記事で,いよいよ,依頼者の利益に関わる理由に入っていきます。
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