1.
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子の監護が問題になる事件と調査官調査について・・・H24.7.6訂正
家裁調査官ってそもそもどんな人達なの?
調査官調査に立ち会う理由のその1~いろいろ参考になるから!
の続きです。
私が調査官調査に立ち会う理由のその2です。
2.
それは,私自身が,その調査で私の依頼者が話した内容を情報としてしっかり頭に入れておきたいからです。
その理由はいくつかあります。
3.
まず,私自身が聞き漏らした重要情報とかが出てくることがあります。
調査官調査に至る前に,私がご本人から事情聴取をして,陳述書を出していることが多いです。
私は,依頼者との打ち合わせとか陳述書作成とか,とっても所要時間が長いタイプです。
それは不必要に聴いているのではなくて,離婚に関連する事件になりますと,本当に,これまでの経緯から現在の状況からその間の家族成員の状態とかそれぞれの関係性とかとにかく聞いておかないといけないことが多いんです。
ケースにもよるんですけど,基本的に,家族が離れていくという場面で,いろいろなことが問題になるわけです。
そうしますと,これまで事実として何があったのかをしっかりお聴きして,そこにそのときどきのその方のお気持ちをお聴きして,そして,そういう事実の経過の中で形づくられていった夫と妻の関係性,母子の関係性,父子の関係性,さらには兄弟姉妹間の関係性があるわけです。
ケースによっては,それぞれの義両親もかかわってきます。
歴史を背負った関係性の網があるので,歴史から入ることになるんですね。
そこをどのようにして要領良く時間を節約していくかということに頭を悩ませます。
このようにして,とにかく時間をかけてお聴きしようと思い,また,そう努力しているのですが,聞き漏らしとかが出てくることがあります。
事実というのは,聞くから出てくるのであって,「話してくれ」といって最初からとうとうと話す人はあまりいません。
そうすると普通に聞くことは普通に得られるのですけれど,ちょっと私の想定を超えるようなことについては,私がそれに関することを聞かなかったせいで,依頼者の方で,話そびれたとか,重要と思わずに話さなかったとか,いくらでもあるんです。
ですから,私は,調査官調査に立ち会う中で,ご本人が調査官に話したことは私自身もそれを全部把握しておいて,聞き漏らしが見過ごされることのないようにしています。
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また,たとえ聞き漏らしがそこで出てこなかったとしても,調査官の質問に対し依頼者がどう答えるかを私自身も観察しています。その観察の中で,私は,依頼者の話が信用できるものであることの再確認をします。
これも私は重要なことだと思います。
私が以前聞いて陳述書に書いていたことについて,調査官の質問がなされたとき,いろんなパターンがあります。
前回同様の内容で答えている。OKです。
前回よりもさらにいい内容が出てきている。OKです。
前回話したときの心理状態とか時間制約とかそんななかで十分に話せなかったなんていくらでもあります。
違う人が違う場所で違う聞き方をすることで,より具体的なイメージでもって語られて,ああ,なるほど~と思うことがあります。信用性が一気に高まります。
前回と違う内容になっている・・・。
こういうとき,ケースによるんですけれども,そこで立ち会っていると,違う内容になる理由とかなんとなく想像できます。
本人が調査官の前で緊張して記憶違いしているとか,調査官の聞き方が悪くて混乱しているとか。
そんなときは,調査官の調査の邪魔にならないように,調査官にお断りして,しかも,調査官に誘導と思われることのない適切な聞き方を考えて,私から質問します。
混乱が解消されたら,おちつきを取り戻して元の話に戻っていきます。
それが弁護士の不当誘導なのか混乱の解消によるものか,それは,調査官は目の前で見ていれば分かります。
その当たりの裁判官,調査官の洞察力,観察力は,私は,基本的に優れている方が多いと思っています。
騙そうなって思っちゃ駄目で,事実ありのままで勝負するのが一番の正攻法なんです。
ところがですね,私の方で聞いても,やっぱり前と違う話になるときもあります。
うーん???
さて,どうする?
そのときは,私は,前の話が間違っていた可能性を考えます。
私の事情聴取上のミスがあったかもしれない。
本人の記憶違いがそのときにあったかもしれない。
そんなときは,よく本人の話を聞いて,以前の話と違うことを確認し,その違う理由を本人に聞いていきます。
私自身が前に聞いているので,私の方で,あ~私の事情聴取ミスだったわ~と私が先に気づいている場合もありますし,本人の話から,ああ,そういう理由で前の私の事情聴取のときに違う話になっちゃったんだとすんなり理解できることもあります。
これはこれでOKです。
間違っていた陳述書の間違いが分かったので,大きな成果です。
話が変わること自体は,まあ,その変わる内容にもよりますけれど,変わったことについて,なるほど~と思える理由があれば,それは本人の話の信用性をそれほど低下させません。
一番焦るのは,話が変わり,その変わった点が重要ポイントで,しかも,変わった理由が説明できない場合です。
幸い,私は,これまでそういう経験を調査官調査の場面でしたことはないです。
でも,考えただけで怖くなります。
さて,どうする?
そういうときは,私は弁護士として,本人の話がどこまで信用できるのかを再チェックするでしょうね。
そして,もし,全体の大きなイメージが狂うような話といいますか,本人が事件全体のイメージについて,何かしらの事情で本当のことを言えなかったのだとしたら,私は,事件全体のイメージを軌道修正することを本人と話し合います。
その場面を想像すると,本当に代理人として怖いですけれど。
代理人としては,依頼者に本当のことを言ってもらえなくて,それで間違った事件のイメージで手続を進行させてしまうことが,とても辛くて恐いことなんです。
とにかく,事実から離れてはいけない。
そこで誤魔化したら,後でもっとひどいことになります。
都合が悪いと思うことでも,事実で勝負するしかないんです。
大きな嘘をつかれていて,軌道修正にも応じてもらえなかったら,最終的には辞任を考えます。
信頼関係がなくなりますもの。
これ,皆さん,え?って思われますかね。
離婚に関する事件では今のところないですけど,別のタイプの事件でありました。
5
それから,調査官調査のあとで,調査官と意見交換することがあります。
前回記事に書いたように,私は,その際,調査官調査に立ち会っていないと,自信をもって意見交換できません。
だって,私が聞いていたことと違う内容が調査官調査で出ていたら,意見公開の際に,「こう言ってましたけど・・・」と言われてしまいます。
言ったのか言ってないのか,言ったとして,その言ったことと前の話とどちらが正しいのか判断不能になります。
後で事情を聴いてみて,調査官の不適切な聞き方のせいだったとしても,もう取り返しつきません。
調査官が自分の聞き方が不適切だったなんてこと,認めてくれますかね?
それは,なかなか認めてくれないと思います。
逆に,弁護士の事情聴取の方こそ,誘導たっぷり作為的なものだったと思うんじゃないでしょうか?
それが人間の心理です。
自分が聞いたことを信じるという傾向はあると思います。
6.
こういう次第で,私は,調査官調査で出た話を,その場に立ち会って,頭に入れておきたいと思うのです。
さて,次回記事は,3番目の理由。
実はこれがメインかな。
この記事の中にすでにヒントがありますけど。
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