1月1日発行のShimojo ニューヨーク ニュースの一部を数回に分けて掲載しています

ニューヨークの平均的な住宅費と年収について
3.アメリカ国内の動き:

 もう一つ、いや二つ程、視察・研修の中でいつも話題に上がるものがあります。
 それは当地での平均住宅費と共に平均年収です。
 残念ながら、ニューヨーク周辺ではこの平均というのは両方ともピンからキリまであるので、平均という話しが出来ず、ピンボケになってしまいがちです。

 まず住宅費で言えば、地域により大きく違い、道路一本でも差が出てきます。 叉、こちらでは半ば当たり前のドアマンの有りか無しかにより大きく変わります。 
 それでも強いて言うなら、普通の安全な地域で、普通のドアマンが付くアパートと仮定しお話しします。
 アメリカではマンションという言葉は、とてつもなくデカイ豪邸という意味なので、日本で言うマンションとはこちらではアパートメントという言い方になります。 部屋数が十部屋以上等あって、風呂場もその数だけあり日本円にして何十億円という物件であってもアパートはアパートです。
 下はマンハッタン有数でその種の高級アパートです。

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 全くの一例ですが、マンハッタンなら1LDKの約70平米で、月の家賃が$3千~$5千、2LDKの約100平米で$5千から上でしょう。 通常は水道料金(お湯)、暖房費は込みで、電気料金は別です。 駐車場は別料金というか付かないビルも多いので、駐車料金だけでも月に$数百掛かるから車を持たない人も多い様です。
 これでは誰でもが住める物ではないので、若い人達から良く聞くのは古い(築百年)エレベーターの無いビルで3DK等を借りてルームメイトを持つ。 家賃は$4千程度で2~3人で分けると$2千以下で住めるのです。

 それでも高いですね。 その場合はマンハッタンでも外れに行くか、クイーンズやブルックリン地区等、ニュージャージー州側等に行くと選択肢はぐっと広くなります。 

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 百年ほど前には、マンハッタンを含むニューヨーク市内に上の様な建物が沢山建ちました。 
 多くは3~6階建てで、一部の建物にはエレベーターも付いています。
 当時からどの蛇口でも水とお湯が出せ、そのお湯を浴槽に張り使い捨てという今と同じ使い方の風呂場でした。 瞬間湯沸かし器等は基本的にありません。 トイレは勿論水洗です。 暖房は各部屋にラジエターが付いていて、大型集中ボイラーからポンプで各部屋に廻す方式のセントラル暖房です。 但し冷房はなかったので、今でもウインド型のクーラーを使うのが普通です。 これなら2DKが$1500.等で借りられ、二人で住むと$750.+電気代などです。
 先に述べた様なアパートのユニットを購入する場合は、マンハッタンの中の安全なドアマン付きで1LDKは$50万~$100万程度、大きな間取りで4LDKのセントラルパーク付近などでは$10ミリオン以上(約10億円)等も全くざらに有る様です。 ほとんどはその中間の価格帯です。 叉、毎月の管理費は別です。

 深くは触れませんが、賃貸、分譲の他に、協同組合形式のコーアップというアパートもあります。
 マンハッタンの一部では、写真の様な古い数階建てのビルを個人所有し、いわゆる一戸建てに近い住まい方をする場合もあります。
 多くの場合古いビルに手間と費用を掛けて完全修復するので、それらの価値は時には20~50億円となる場合もあります。

 かといってニューヨーカーがそんなに収入が良いのかといえば必ずしもそういう人ばかりではありません。 一部の人達がしっかり稼いでいてそういう高い家賃を払えるという亊であり、ニューヨークにはそういう人達が沢山集まっている、という亊でしかありません。
 その家賃で生活する場合の収入は年収で20万~30万は最低必要という計算になります。 30歳前後で年収$20万を軽く越える人もマンハッタン等には驚く程沢山居るのです。

 全米の各州では州の法律で最低時間給が決められています。 ニューヨーク州では最低時給が$7.25とされ、レストラン等チップが収入になる職種では$4.65叉は$5.50という場合もあります。 しかし物価の高いニューヨーク市とその周辺では、実質最低時給は$10.程度と思われます。
 多くの場合、ファーストフード店や一部の小売の店員は最低賃金に近い人が居て、その働き振りでも想像する亊が出来ます。 無料の笑顔などあるはずが無く、期待もしていません。
 その反対に一部の店では、従業員が生き生きと良く働いている様子が伺えます。 何故なのかは、Pー9、ウェグマンズの項でお話しします。

 ニューヨークの場合はこのチップの部分が時には非常に大きく、夕食の客単価が$100.というレストランもざらにあり、これだと4人テーブルの場合、売上げが$400.でそのチップ(普通20%)は約$80.となり、一晩に5テーブル担当だったとしても$400.程度になるのです。 時には芸能界の様になっていて、繁盛店の売れっ子ウエイトレスは大層羽振りが良いものです。 そうなる為の彼等彼女等の努力と勉強は大変なもので、飲食業のアルバイトという範囲を全く越す、プロ意識が感じられます。 しかも所得税(通常個人申請)はずっと少なく申請することも可能です。

 米国国勢調査を見ると、全米の平均年収は約$5万、ニューヨーク市の通勤圏は約$8万前後かそれ以上、高級住宅地では$20万以上、市の中心部は$15万~$20万以上というより、平均は表現しきれず、十億円超の家を考えると想像を絶する金額と思われます。 筆者の視察ではその住宅地にも入って行きます。

続く