「からすみ」は、ぼらの卵巣の塩蔵品です。


長崎県野母崎町樺島地方の伝説によると、

天正16年(1588年)頃、時の関白豊臣秀吉が肥前名護屋(今の佐賀県鎮西町)に下ったとき、長崎の代官であった鍋島飛騨守信正がぼら子を取り寄せ、それを長崎名物として献上したそうです。


その珍味を初めて口にした秀吉は大いに感動して、

「これはいったい何という珍味じゃ?」と質問した。


その返答に対し、それまで「ぼらの真子」などとしか呼んでおらず、特別な名を持たなかったことから、そんな名前では価値が少ないと考えた飛騨守は、ちょうどその形が唐(中国)の墨に似ていることから、

「からすみと申します。」と答えたという。


それ以来、「からすみ」と呼ばれるようになり、御用の品として大変珍重されるようになったと伝えられています。


ただこのからすみに似たものはギリシャ、トルコ、エジプト、イタリア、フランスにも古くからあり、今でも作られているそうで、それらの国々から交易船を通して承応元年(1652年)に長崎に伝来した。という記述もあり、その由来についてはよくわかっていません。


江戸時代、からすみの主要生産地であった樺島は、九州南西部の諸大名が参勤交代の荷物や献納品を運ぶ為の寄港地として大いに繁栄していた。


その為、献納品や土産用品としてからすみを求める御用商人の出入りが頻繁であった上に、将軍家や諸大名からも大口の注文があったので、長崎奉行はからすみの確保に苦労したといわれています。


そのため、製造されたものには1つ1つ番号がつけられ、厳重に取り扱われた程だったそうです。


そんなことから、からすみはますます一般庶民とは縁遠い高貴な品となって一部の人達だけの楽しみ物となっていった。


というのがからすみの由来です。


現在日本で流通しているからすみは、国内で製造されたものの他台湾産、中国産やイタリア産のものも多く、必ずしも「ぼらの真子」で作られないものもあります。


国内でも「さわら」の卵巣で作られたものや、イタリアでは「まぐろ」の卵巣で作られるものもあります。


イタリア料理では「ボッタルガ(Bottarga)」といい、ほぐしてパスタに入れたりするのも一般的ですが、いずれにせよどこの国でも高級な珍味であるということには変わりないみたいです。


ちなみに日本の「たらこスパゲッティー」はからすみのパスタに似せて作られたものではなく、「キャビアのパスタ」に似せて作られたものらしいです。